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【令和4年12月改訂】健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について【弁護士解説】

1 あきらか食品も健康食品として規制対象であることを明示

「健康増進法第65条第1項は、錠剤やカプセル形状の食品のみならず、野菜、果物、調理品等、その外観、形状等から明らかに一般の食品と認識される物を含め、食品として販売に供する物に関し、健康保持増進効果等について虚偽誇大な表示をすることを禁止している。」上記下線の内容が留意事項に追加となりました。

これは、いわゆる「あきらか食品」も健康保持増進効果等を表示すれば健康増進法と景表法の規制対象となることを改めて明示したということになります。

背景として、「あきらか食品」であれば、健康増進法や景表法の誇大広告の規制の対象外と勘違いされているケースが多いため、このような改定がされたものと考えられます。関連する事項として、薬機法では「あきらか食品」は規制の対象外と厚労省からも通知があったことも挙げられます。

2 健康保持増進効果の例示の追加

昨今指摘の多い内容について、健康保持増進効果の例示が追加されています。

・疾病の治療または予防を目的とする効果
コロナウイルス予防、認知症予防

・身体の組織機能の一般的増強、増進を主たる目的とする効果
「新陳代謝を盛んにする」、「若返り」、「アンチエイジング」、「細胞の活性化」等

・特定の保健の用途に適する旨の効果
「体脂肪を減らすのを助ける」、「本品は骨密度を高める働きのある○○○(成分名)を含んでおり、骨の健康が気になる方に適する」

・栄養成分の効果
「ビタミンDは、腸管でのカルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける栄養素です」

・「健康保持増進効果等」を暗示的または間接的に表現するもの
「妊活」、「腸活」、「スリム○○」、「減脂○○」、「デトックス○○」、「カラダにたまった余分なものをスッキリ」

上記のような例示が追記されました。これらの例示は、最近広告等でよく目にし、かつ、消費者庁から指導されている内容がそのまま例示になったという印象です。

3 「表示」(広告)方法の注意事項の追記

「表示」(広告)の方法に関しても大きく下記2点が追記されました。

・複数の広告が一体となって、当該商品自体の購入を誘引していると認められるとき
商品に対する単体の広告だけではなく、他の広告も併せて一連の表示として捉えられ、それらが複合的に一つの広告となる場合は、単体では規制に抵触しなくても、全体として見れば規制に抵触する場合も対象となる旨追加になっております。例えば、初めの商品広告にリンク等があり、別の画面に遷移をしてそこでも商品広告がある場合には、一体として見なされる可能性がありますし、同封された複数の冊子に跨って商品の広告がされている場合が挙げられます。

・特定の食品や成分の名称を商品名やブランド名とすること
商品名自体が、健康保持増進効果等を想起させる場合も規制の対象となることが追記されています。例えば、食品名をそのまま○○成分配合サプリとする等が挙げられます。

4 アフィリエイト広告の責任について

アフィリエイト広告についての責任に関する注意事項も追記されました。簡単に言うと、第三者が作成したアフィリエイト広告は、原則として販売主等が広告したものとは見なされませんが、販売主等が当該アフィリエイト広告の表示に関して、コントロールできる状況であれば、責任は販売主等にも及ぶというものです。景表法に関連するところで、昨今アフィリエイト広告に関する行政指導等が複数実施されていることが影響し、留意事項にも記載されたものと考えられます。

5 身体の組織機能等に係る不安や悩みなどの問題事項を例示して表示するもの

今回の改訂で特に注意しておきたい内容のように思います。「健康保持増進効果等」を暗示的または間接的に表現するものの例示と保健機能食品以外の健康食品(いわゆる健康食品)において問題となる表示例、共に追記となっています。

・暗示的または間接的に表現するものの例示は以下のとおりです。
「こんなお悩みありませんか?疲れが取れない。健康診断で○○の指摘を受けた。運動や食事制限が苦手。いつもリバウンドしてしまう。メタボが気になる。」、「最近、体力の衰えを感じるのは、○○が不足しているせいかもしれません。」、「年齢とともに、低下する○○成分」

また、保健機能食品以外の健康食品(いわゆる健康食品)において問題となる表示例としても、上記の内容が追記されており、相当に間接的、暗示的な表現であっても健康増進効果の表示に該当する点について、十分に注意する必要があると言えます。

6 No.1表示について

No.1表示に関しても注意事項について、景表法でよく指摘される内容ですが、留意事項にも追記となりました。No.1表示が合理的な根拠に基づかないなど、事実と異なる場合には、No.1表示の根拠となる具体的な調査条件や出典等が明瞭に記載されていない場合が挙げられています。

以上、大きな変更内容としてご紹介させていただきました。その他にも細かい点はありますが、概要としては前回の改訂から今回の改訂でよく指導される内容が明記された印象です。今後はこの留意事項を踏まえた上で、健康食品の広告を行うようにしましょう。

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