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【令和6年8月】富士通クライアントコンピューティング株式会社に対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について弁護士が解説

消費者庁は、令和6年8月2日、富士通クライアントコンピューティング株式会社に対し、同社が供給するノートパソコンに係る表示について、景品表示法第8条第1項の規定に基づき、4223万円の課徴金納付命令を発出しました。

消費者庁「富士通クライアントコンピューティング株式会社に対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について」
https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_cms209_240802_01.pdf

問題になった広告表示

富士通クライアントコンピューティング社は、同社の販売するノートパソコンの取引に関し、自社ウェブサイトにおいて次のような広告表示をしました。

これらの広告表示について、消費者庁は、取引条件について実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるため、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示(有利誤認表示)にあたり、景品表示法第5条第2号に違反すると判断しました。

二重価格表示

富士通クライアントコンピューティング社は、例えば、ある商品について、「WEB価格(税込) 187,880円 キャンペーン価格(税込) 148,425円 21%OFF(10/5 14時まで)」と表示し、あたかも、「WEB価格」と称する価額は、自社ウェブサイトにおいて通常販売している価格であり、「キャンペーン価格」と称する価額は当該通常販売している価格に比して安いかのように表示していました。

しかし、実際には、WEB価格は、自社ウェブサイトにおいて、販売された実績のないものでした。

期間限定表示

富士通クライアントコンピューティング社は、自社ウェブサイトにおいて、
「WEB価格(税込) 187,880円 キャンペーン価格(税込)148,425円 21%OFF(10/5 14時まで)」と表示し、記載された期限内に購入した場合に限り、キャンペーン価格で購入することができるかのように表示していました。

「“まとめ買いキャンペーン実施中”買えば買うほどお得! 対象商品のお買い上げ数量に応じて割引額がアップするお得なキャンペーンです。3台以上のお買い上げ→1台につき3,000円OFF!5台以上のお買い上げ→1台につき5,000円 OFF!」「[期間:2022年10月26日(水)14時まで]」 と表示し、記載された期限内に「まとめ買いキャンペーン」と称する企画の対象商品を複数購入した場合に限り、キャンペーン価格から更に値引きした価格で商品を購入することができるかのように表示していました。

しかし、実際には、期限後に購入した場合であっても、キャンペーン価格(上記①につき)や、キャンペーン価格から更に値引きした価格(上記②につき)で購入することができるものでした。

実際には期間経過後もディスカウントされた価格で購入できるのに、あたかも期限内でしか当該価格で購入ができない、と表示することで、取引条件について実際よりも消費者に著しく有利であると誤認させるというのは、有利誤認表示のわかりやすい事例といえます。

二重価格表示について

二重価格表示とは

一方、二重価格表示についても、有利誤認表示との関係でよく問題になります。

二重価格表示とは、事業者が自己の販売価格に当該販売価格よりも高い他の価格(比較対照価格)を併記して表示するものをいいます。

たとえば、「通常価格5000円を4000円」などのように表記する場合です。

比較対照価格には、過去の販売価格のほか、希望小売価格や競争事業者の販売価格等様々なものが用いられますが、いずれについても、比較対照価格が虚偽のものでは、消費者に販売価格が安いとの誤認を与えるおそれがあります。そのため、二重価格表示を行う場合には、比較対象価格に実績があるかといった点が問題視されます。

二重価格表示が認められる場合(過去の販売価格と比較する場合)

今回、富士通クライアントコンピューティング社は「WEB価格」として比較対象価格を表示していましたが、これについて消費者庁は、「自社ウェブサイトにおいて特定本件7商品について通常販売している価格であり、『キャンペーン価格』と称する価額・・・が当該通常販売している価格に比して安いかのように表示」していたと評価しました。

 まずこの点に関し、明示的に「通常販売価格」と記載しない場合も、比較対照価格がどのような価格であるか具体的に表示されていないときは、通常、同一の商品が当該価格でセール前の相当期間販売されていたものと消費者は認識するものと考えられる、というのが消費者庁の見解です。このような見解のもと、本件についても「WEB価格」と称した価格を通常販売している価格として表示したと評価したものと考えられます。

「通常販売価格」、過去の販売価格との比較を行う場合、一般的には以下を満たす価格であれば比較対象に用いることができるとされています。しかし、本件では、「WEB価格」は販売実績のない価格であったため、有利誤認表示と判断されました。

  • セール開始時点から過去8週間のうち、4週間以上の販売実績(販売開始から8週間未満のときは、販売期間の過半の販売実績)がある
  • 上記を満たし、かつ、当該価格で販売されていた期間が通算して2週間以上ある
  • 上記を満たし、かつ、実際に販売した最後の日から2週間以上経過していない

課徴金の金額

景品表示法に基づく課徴金納付命令では、課徴金対象期間に取引した有利誤認表示の対象となった商品等の売上額の3%が課されます。

課徴金対象期間とは、

  • 有利誤認表示をした期間に、
  • 課徴金対象行為をやめた日(たとえば問題となった広告の掲載を終了した日)から6か月を経過する日、又は、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれを解消するための措置をとった日のいずれか早い日までの間に、取引をした場合には、最後に当該取引をした日までの期間が加算されます。

まとめ

二重価格表示や期間限定表示は、セール価格の安さを強調するわかりやすい広告例として事業者がよく使用する方法ですが、実態を伴わない表示をすると有利誤認表示になるおそれがあります。

特に課徴金の納付命令を受けるような事態は避ける必要がありますので、広告のリーガルチェックを事前に受けるなど、対策が必要です。

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