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【弁護士解説コラム】景表法改正に向けた報告書が公表されました。

消費者庁の「景品表示法検討会」報告書の内容について

消費者庁の「景品表示法検討会」は令和5年1月、景表法の改正に向けて、確約手続きの導入や悪質業者に対する規制強化を柱とする報告書を取りまとめました。ここでは、明らかになった報告書の内容について、ポイントとなる点を説明します。

(消費者庁景品表示法検討会報告書)

課徴金と措置命令の対象の実質的な拡大

報告書では、早期に対応すべき課題として、違反行為に対する抑止力の強化が上げられています。中でも、①課徴金の件、②措置命令の対象の実質的な拡大―が大きなポイントとなります。

課徴金について

まず、①の課徴金についてです。繰り返し違反行為を行う事業者に対しては、割増算定率の適用(実質的な課徴金の上乗せ)が考えられる対応として挙げられました。

また、課徴金算定のための基礎となる事実を把握できない事態等に対応するため、課徴金対象行為に係る売上額等を合理的な方法により推計できる規定の整備も提案されています。

「課徴金に関する割増算定率の適用(実質的な課徴金の上乗せ)」も「売上額等の推計の規定」も、法律改正が必要な事項ではあるものの、景表法の実効性を高める観点からすると、大きな影響を与えるものと考えられます。

独占禁止法及び金融商品取引法(昭和23年法律第25号)は、一定期間内に繰り返し違反行為を行う事業者に対して、抑止力を高めるために原則の算定率ではなく、割り増した算定率を適用した課徴金を課すこととしている(独占禁止法第7条の3第1項、金融商品取引法第185条の7)。

措置命令の対象の実質的な拡大

次に、②措置命令の対象の実質的な拡大についてです。法人を隠れ蓑として、自然人が実質的には不当表示を行っている等と認められる場合に、実質的な違反行為者と評価できる当該自然人に供給主体性・表示主体性が認められるときは、当該自然人を「事業者」(景品表示法第2条第1項)として認定して措置命令・課徴金納付命令の対象とする対応が挙げられています。

措置命令の対象の実質的拡大(今までの運用は、法人を対象としていました。)については、運用基準の変更によって対応が可能(法律改正の必要まではない)と考えられるため、ある程度早期に実行することが可能となります。

具体的には、法人を複数持っているオーナー等が対象となると考えられますが、オーナー等が実質的な供給主体・表示主体と認定されることによって、景品表示法の実効性を高めようとしていると考えられます。

このような運用が始まると、実質的なオーナーが複数法人を持ち、一法人に一つの商品を販売し、措置命令等を受けたら、当該法人を消滅させるといった方法は取れなくなることになります。

確約手続きの導入について

今回の報告書では、早期に対応すべき課題の第一番目に、確約手続きの導入が挙げられました。こうした点から、消費者庁としても、確約手続きの導入に意欲的だということが伺われます。

  • ① 比較的軽微な行為を対象とする(入札談合や価格カルテル等は対象外)
  • ② 確約計画の策定、認定
  • ③ 行為、確約計画の内容等の公表

独占禁止法では、既に導入されている確約手続において行われることになるのは大きく次の3つです。

独禁法上、既に導入されている確約手続において行われることになるのは大きく次の3つです。

  • ① 比較的軽微な行為を対象とする(入札談合や価格カルテル等は対象外)
  • ② 確約計画の策定、認定
  • ③ 行為、確約計画の内容等の公表

独禁法では、対象としない行為類型がある程度明確となっているのに対して、景品表示法では、悪質性の高い行為類型を必ずしも明確に区分けすることができません。この点に、行政の裁量が入ることになりますが、本来であれば、対象とすべきではないような行為を対象とする、またはその逆になるなどの課題があるように思われます。

また、確約計画の策定、認定においては、事業者の負担が大きくなる可能性がありますし、せっかく確約計画を策定して認定してもらったとしても、公表されることとなります。

B2Cの企業にとっては、「公表される=大きなダメージ」となりますので、公表されてまで確約計画策定の負担を負うかというところが大きな問題になるように思われます。

一般消費者の保護が景表法の最終的な目標

景品表示法の最終的な目的は一般消費者の保護です。この観点から、消費者への返金を確約計画認定の要件とする場合(比較的軽微な行為に適用があると言われており、課徴金納付命令の対象とならない行為が対象になるのではないかと言われています。そうなると、金銭的な負担をしてまで対応するかというところに、少し疑問符が生じると思われます。)、公表されたうえに、金銭的な負担を負うということになります。

実際に、実効性のある確約手続とするためには、独禁法の手続をそのまま導入するというよりは、景品表示法やその目的に合った形での変更、導入が必要となると考えられます。

既述のように、景品表示法に確約手続を導入することには、まだ課題があるように考えられますが、事業者としては、確約手続が景品表示法に沿って、どのように変更・導入されるのか、そして、その要件や事業者へのメリット等の内容を注視することになるのではないかと思っております。

今後の課題

今回の報告書では、早期に対応すべき課題、中長期的な課題のいずれにも、景品表示法の実効性を高めるという趣旨の記載があります。このことから、景品表示法の違反は、事業者側、会社にとってメリットがないと感じるように、より法の実効性を高めていく(規制強化の方向)流れと思われます。

また、規制強化の軸となる可能性のある課徴金の強化や措置命令等の対象の実質的な拡大は、事業者にとって大きな影響を与えることになります。今後の流れにより着目していく必要があるでしょう。

当事務所では、法改正などについても今後、随時情報を発信していく予定です。

景表法、薬機法、特商法などに関するご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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