2025年3月28日、東京都はダイエット食品を販売する「株式会社ダイエットプレミアム」に対し、景品表示法に基づく措置命令を出しました。注目すべきは、今回の違反に「ステルスマーケティング(ステマ)」が含まれていた点です。そして、地方自治体として初めてステマを理由に処分が下された事例でもあります。
SNSやインフルエンサーを活用した広告手法が一般化する今、企業が気をつけるべきポイントがはっきり示された事件といえるでしょう。
■ どんな違反があったのか?

東京都の発表によると、違反は以下の3点です。
① 誇大な効果をうたう「優良誤認表示」
ダイエット食品を紹介するアフィリエイト広告で、「飲むだけで痩せる」といった表現が使われ、また写真で過度なビフォーアフター表現が掲載されていました。
しかし、その効果を裏付ける合理的根拠(エビデンス)は存在しないことが判明しています。
② 実績を装う「No.1表示」
広告には「米国ダイエット部門人気No.1」「セレブに人気」といった記載もありましたが、事実ではありませんでした。
このような根拠のないNo.1表記も、景品表示法で禁止されています。
③ ステルスマーケティング(ステマ)
企業がインフルエンサーに報酬を支払い、商品のInstagram投稿を依頼。その投稿を広告であることを明示せずに、自社サイト上に掲載していました。
これは、「一般消費者が広告だと気付けない表示」として、景品表示法違反(第5条第3号)に該当します。
■ なぜこれが重要なのか? ― 初の地方自治体によるステマ処分
従来、景品表示法違反に対する措置命令は主に消費者庁が行っていましたが、今回は東京都が独自に調査・処分を行いました。背景には、都がSNS広告などデジタル分野の監視強化のために立ち上げた「東京デジタルCATS」という専門チームの存在があります。
つまり、今後は地方自治体レベルでもステマが摘発対象になる時代が本格化してきたということです。
■ SNS広告を活用する企業が気を付けるべきこと
アフィリエイト広告やインフルエンサーマーケティングは、正しく活用すれば非常に有効な手段です。しかし一方で、次のような表示には細心の注意が必要です。
- 「No.1」「90%が推奨」などの評価表現 → 客観的根拠の提示が必要です。
- 広告であることの明示 → ステルスマーケティングとみなされないよう、投稿には「#PR」などの記載を明確にし、自社のサイトに掲載する場合にも自社の広告として掲載していることを明確にしましょう。
- アフィリエイト広告もチェック対象 → 自社が直接出稿していなくても、表示内容には責任が問われます。
■ 広告表示のコンプライアンス、確認していますか?

SNS広告やアフィリエイトは、つい「グレーゾーン」に頼りがちな分野です。しかし、誤った表示はブランドイメージの毀損だけでなく、法的な処分や信頼の失墜にもつながります。
広告表示に不安がある場合は、コンプライアンスチェックを専門の弁護士に依頼することを強くお勧めします。
丸の内ソレイユ法律事務所では、広告表現に関するチェック体制や、インフルエンサーとの契約書の作成など、企業の法令遵守をサポートしています。
「これって大丈夫かな?」と思ったら、ぜひ一度ご相談ください。
誤解されやすい表現から企業を守る。広告の透明性が、信頼と結果を生みます。
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東京都のホームページはこちら
https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2025/03/2025032839
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