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事業主なら知っておきたい、社会保険、労働法一般、解雇について

事業を営んでいる方が人を雇い入れる場合、社会保険や労働法の問題、場合によっては解雇の問題等がかかわってきます。これらにつき、法律などにより様々なルールが定められておりますが、ここでは、事業主なら知っておきたい一般的な内容について見ていきたいと思います。

事業主なら知っておきたい、社会保険の適用ルールとは?

日本の社会保険制度においては、会社や事業主側が手続きをしたり、支払いをしたり等しなければならない部分が多々あるため、事業主側において社会保険の適用ルールを知っておく必要があります。

そこで、今回は、社会保険が適用になるルールなど、事業主の目線で社会保険をご紹介したいと思います。

社会保険とは

一般的に、社会保険とは、次の5つの保険を包括した総称のことを言います。

  • 健康保険:病気やケガによる通院・入院・長期休業、出産、育児休業関係の保険
  • 介護保険:介護ケア関係の保険
  • 年金保険:遺族の生活保障、障害状態の生活保障、老後の生活保障関係の保険
  • 雇用保険:失業時の生活保障、スキルアップ関係の保険
  • 労災保険:業務にかかわる病気やケガ関係の保険

※なお、雇用保険と労災保険をあわせ、労働保険と呼びます。

これらは、加入することが国から義務付けれている保障制度であり、病気などの理由で仕事ができない状態になった時でも最低限の生活ができるように個人が国に保障されている保険と言えます。事業主はこれらの社会保険の保険料を従業員の給与から計算し、会社としてあるいは従業員の代理として支払うなどします。労災保険については会社・事業主が全額負担になっており、事業主にかかる負担は大きいと言えます。

社会保険の適用ルールとは

社会保険の内の健康保険、年金保険について見ますに、それらの保険は会社に所属していない個人でも、保険に加入し保険料を支払っています。会社に所属していない個人、または個人事業主の場合は、原則として、自分で国民健康保険と国民年金に加入することになっています。加入しないと、医療費の3割負担等がなくなり全額負担になるなどします。

このように、本来自分で加入することができる保障制度ですが、法律により、従業員を雇用した場合において社会保険の切り替えが必要なことなどが定められています。それでは、事業主側はどのような場合に社会保険に切り替えなければならないのでしょうか。

健康保険法第3条や厚生年金保険法第6条で、強制加入の事業所とはどのような場合かが明示されています。

健康保険、厚生年金保険の強制適用事業所とは下記の事業所をいいます

健康保険・厚生年金保険においては、「事業所」を一つの単位とします。健康保険の適用を受ける事業所を適用事業所といい、法律によって加入が義務付けられている強制適用事業所と、任意で加入する任意適用事業所の2種類があります。

強制適用事業所は、次の1又は2の事業所です。

  1. 次の事業を行い常時5人以上の従業員を使用する事業所a製造業b土木建築業c鉱業d電気ガス事業e運送業f清掃業g物品販売業h金融保険業i保管賃貸業j媒介周旋業k集金案内広告業l教育研究調査業m医療保健業n通信報道業o士業など
  2. 国又は法人の事業所常時、従業員を使用する国、地方公共団体又は法人の事業所

概ね、1は個人事業所の場合、2は法人の事業所の場合と整理できます。

(農林漁業、サービス業を除き)個人事業所の場合は、5人以上の従業員を常時使用する場合、強制適用事業所となります(サービス業は除きますので、個人事業の場合、飲食店や美容業等のサービス業については、従業員が何人いようと強制適用事業所にはなりません。)。法人の事業所の場合ですが、代表取締役や役員も加入の対象となります。よって、法人の事業所であれば規模を問わず全ての事業所において原則加入が義務付けられます。現在、個人事業主であっても、今後、従業員を雇う場合や法人に切り替えるときのために、社会保険制度についてはきちんと知っておく必要があります。

事業主なら知っておきたい労災について。雇用保険とその法律とは?

次に、社会保険の一つである、雇用保険について見ていきたいと思います。

雇用保険は国の保険制度であり、強制保険です。その役割は、労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行うことなどです。日本では、昭和22年(1947年)に失業保険法として制定され、昭和49年(1974年)に雇用保険法に改正されました。事業主は労働保険料の納付、雇用保険法の規定による各種の届出等の義務を負うことになっています。雇用保険の適用ルールを、分かりやすくポイントに分けて紹介します。

雇用保険とは

【ポイント①】

雇用保険については、(農林水産業の一部の事業を除き)業種、規模等を問わず、すべて適用事業となり強制加入が必要です。雇用保険の適用事業に雇用される労働者は、原則としてその意志にかかわらず当然に被保険者となります。ただし、1週間の所定労働時間が20時間未満である方や同一の事業主に係属して31日以上雇用されることが見込まれない方は雇用保険の適用除外となるなど、雇用形態等により被保険者とならない場合もありますので確認が必要です。

【ポイント②】

1人でも従業員を雇用していれば、雇用保険加入手続きが必要となります。正社員の外、パートやアルバイトであっても(適用除外になる場合を除き)雇用保険への加入が必要となります。

【ポイント③】

雇用保険法に基づき、適用基準を満たす労働者については、事業主や労働者の意思に関係なく、被保険者となった旨を公共職業安定所(ハローワーク)に届け出なくてはなりません。こちらの届け出は事業主が行うものとなります。具体的には次の通りです。

【雇用保険の加入手続き方法】

事業主は、事業を開始し労働保険の適用事業となったとき、まず、「労働保険の保険関係成立届」を所轄の労働基準監督署または公共職業安定所に提出します。そして、その年度分の労働保険料を概算保険料として申告・納付することになります。

また、雇用保険の適用事業となった場合は、上記のほかに、「雇用保険適用事業所設置届」および「雇用保険被保険者資格取得届」を所轄の公共職業安定所に提出しなければなりません。その後新たに従業員を雇い入れた場合は、その都度、事業所を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)に「雇用保険被保険者資格取得届」を提出しなければなりません。

この届出によってハローワークから交付された「雇用保険被保険者証」については事業主から本人に渡す必要があります。用意する書類等については、専門家へ相談するのがいいでしょう。

アルバイトを雇う前に。知っておくべき雇用ルール【契約面】

雇用における法律などは、企業内における人事や法務など専門的知識を持ち合わせた人でない限り、あまり知らないというのが現状です。また、アルバイトやパートタイム従業員を雇用する際、ともすれば安易に考えがちになってしまいますが、アルバイトやパートタイム従業員を雇用する際にも労働法等が適用されます。そこで、ここでは、募集をかけて実際にアルバイトを採用することになった時、従業員が働く前にすべきことを、労働基準法等に基づいてご紹介します。

【社会保険への加入】

採用したアルバイトが事前にどんな保険に入っていたかはさておき、事業主側は以下で適用する条件に沿ってそれぞれの保険に加入する義務があります。

【労災保険】

雇っている人数、期間や労働時間に関係なく、1日だけの短期アルバイトも含めてすべての従業員が対象の保険です。労災保険は、万一の労働災害や通勤災害の時に従業員を守るものであることはもちろん、わずかな保険料で事業主に代わって補償・給付を行う制度ですから、忘れずに加入しましょう。

【健康保険・厚生年金保険】

アルバイト等が被保険者の対象になるか否かの判断は、同じ事業所で同様の業務に従事する一般社員の所定労働時間および所定労働日数を基準に判断することとなります。労働時間及び労働日数がいずれも一般社員の4分の3以上である場合は、被保険者になります。その他、特定適用事業所等の場合は、4分の3未満でも該当する場合がありますので、詳細は専門家に確認するのが良いでしょう。

【雇用保険】

1週間の所定労働時間が20時間以上であり、31日以上引き続き雇用されると見込まれる従業員は、アルバイトまたはパートタイマーであっても雇用保険の対象となります(但し、学生は原則として雇用保険の適用除外となります。また、季節雇用者も適用除外になる場合があります。)。

雇用した際、保険に加入すると、保険料負担につき事業主側が負担する部分があり、支払っている給料以上に出費がかさむことから、これをおろそかにする事業主が少なくありません。ですがそれは違法行為となってしまいますので、加入義務があるかを確認し、今からでもスムーズな手続きを行いましょう。

【雇用契約書を交わす】

保険等の手続きも重要ですが、実際に働く前には、働く条件等を記載した雇用契約書を従業員と結ぶなど、労働条件を明示することが必要です。アルバイトなのか正社員なのか、雇用形態により契約書等で記載及び合意する事項が異なりますので注意が必要ですが、共通していることは雇用契約書や労働条件通知書などの書面で従業員に通知することが義務づけられていることです。

雇用契約書や労働条件通知書には、

  • 労働契約の期間
  • 仕事をする場所・仕事の内容
  • 勤務時間、残業の有無、休憩時間、休日・休暇、交替制勤務の場合のローテーション
  • 賃金の決定、計算と支払の方法、締切と支払時期
  • 退職に関すること、解雇事由等

等を記載する必要があります。記載すべき条件につきましては、労働基準法第15条、同法施行規則第5条、とパートタイム労働法(正式には短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の完全等に関する法律といいます。)第6条等をご確認頂ければと思います。更に、労働条件の明示については改正があり、2024年4月から労働条件明示のルールが変わることになります。

それまでは、「雇い入れ直後」の就業場所・業務の内容を明示するだけでよかったのですが、改正により、これらの「変更の範囲」についても明示することが必要になりました(変更の範囲とは、将来の配置転換などによって変わり得る就業場所・業務の範囲を指します。)。そのほかにも明示する事項が増えるなどしていますので、改正後のルールについてもご注意下さい。

【解雇に関して】

解雇に関してのトラブルは後を絶ちません。アルバイトやパートタイムであっても、解雇条件は正社員と同等の条件が適用されます。

法律により解雇が禁止されている場合(労働基準法第19条外)では、

  • 業務上の傷病により休業している期間と、その後30日間の解雇
  • 産前産後の休業している期間と、その後30日間の解雇
  • 女性であること、あるいは女性が結婚、妊娠、出産、産前産後の休業をしたという理由による解雇
  • 国籍、信条、社会的身分を理由とする解雇
  • 労働基準監督署に申告したことを理由とする解雇

などは禁止されていますが、これらはアルバイトであっても異なりません。

アルバイトを雇う前に。知っておくべき雇用ルール【労働基準法・時間と金銭面】

一見、簡単に雇えそうなアルバイトやパートタイムなどの短時間労働の雇用ですが、アルバイトもパートタイマーも、法律上、会社が雇用している「労働者」として定義されており、労働基準法等による規律があります。今回は、アルバイトの雇用前に知っておきたい条件、特に時間や金銭面に焦点をあててご紹介します。

まず最低労働賃金を確かめよう!

短時間労働が前提のアルバイトやパートタイムの雇用は、時給制を導入するのが一般的です。時給の金額は地域により最低労働賃金が定められています。その上、一部の業種や特定の職種でも最低賃金が異なりますので、地域と職種から提示するべき時給の金額を確かめる必要があります。

労働時間と休憩時間とは?

アルバイトまたはパートタイムの労働時間は、休憩時間を除き原則として1週間40時間、1日8時間までと決められています。休憩時間は1日の労働時間により、以下の時間が労働基準法で定められており、この時間(以上)の休憩時間を設けることが義務となります。

1日の労働時間が

6時間まで ⇒ なし
6時間を超え8時間まで ⇒ 45分以上
8時間超 ⇒ 60分以上

有給について

給料をもらいながら休める有給制度。一見、正社員や契約社員のような長期的な雇用形態だけが適用する制度のようにもイメージしてしまいがちですが、アルバイトやパートタイムでも採用から6か月を経過した場合は適用になります(但し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して与えるものとなります。)。さらにその後1年を経過するごとに取得できる有給日数が異なります。雇用しようと思っているあるアルバイトまたはパートタイム従業員の勤続日数が6ヶ月を超えるのか否かでまず有給適用になるか否かが分かれますので、事前に頭に入れておくべきでしょう

尚、例えば契約更新をしてトータルで6ヶ月を超える場合にも、同条件が適用になります。

残業代について

残業代や深夜手当などの割増手当は、雇用形態を問わずすべての従業員に適用されます。時給にも最低賃金があるように、残業代や深夜手当の金額にも最低支払わないといけない額が定められています。アルバイトまたはパートタイムに関しては以下のとおり計算をしなければなりません。

時間外(時間外手当・残業手当)

1日8時間・週40時間を超えたときは25%以上(1か月に60時間を超える時間外労働の割増率は、50%以上

休日労働(休日手当)

法定休日(週1日)に勤務させたときは35%以上

深夜労働(深夜手当)

22時から5時までの間に勤務させたときは25%以上

雇用形態の多様化で、アルバイトやパートタイム従業員は会社にとっては欠かせない存在となっています。当事者にも責任を持って働いてもらえるようにするためにも、労働条件をきちんと確認した上で提示し、お互い気持ちよい関係性が築ければいいですね。

事業主なら知っておきたい解雇と労働法のこと

日本では、解雇にまつわる問題はとても敏感です。なぜなら、労働者は労働法規により働く権利が強く保護されているからです。とはいえ、現実的に雇い入れた従業員がすべて適合しているかと言われれば疑問が残る場合もあるのではないでしょうか。そこで今回は労働法と解雇についてご紹介します。

労働法とは

「労働法」という名称の法律はなく、労働法は、労働関係および労働者の地位の保護・向上を規整する法の総称です。代表的なものとして、労働基準法などがあります。労働問題に関する様々な法律をひとまとめにして労働法と呼んでいて、そのは、労働基準法や労働組合法をはじめ、男女雇用機会均等法、最低賃金法といった様々な法律が含まれています。

労働法設定の背景は、近代以降の資本主義の展開にともない、事業主と労働者との関係に自由平等を原則とするよう設定されました。そのため、雇用される従業員はこの法律に守られているといっても過言ではありません。そのため、事業主都合による勝手な解雇などもしにくいというのが現状なのです。

労働契約法第16条

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とすると定めています。いわゆる解雇権濫用法理を明文化したものとなります。

労働契約法第17条

期間の定めのある雇用契約(有期労働契約)では、使用者は、やむを得ない事由がある場合でなければ、その労働期間が満了するまでの間において労働者を解雇することができないことを定めています。

解雇とは

そもそも解雇とは、事業主の一方的な意思表示による労働契約の解除のことを指しています。解除に当たり労働者の合意がないものです。そのため、労働者の生活を断ち切ってしまうことにもなるので、不意打ちのような形で行われることがないよう、各種の法制で規制が設けられています。

解雇をすることができる条件として、客観的・合理的理由が必要です。例えば、経営不振による解雇(整理解雇)、長期的な入院や病気、不良な勤務態度や勤務状況、労働能力の欠如、経歴詐称などですが、解雇するに足る正当な理由があるか否かについては、先に述べたように客観的・合理的理由が必要です。

勤務態度で言えば、解雇に値する程度の勤務不良が必要となります。その外、それまでに注意していたか、それまでに戒告等をしていたか、弁明の機会を与えたか等々も加味して、解雇が有効か無効か、判断されることになります。不当解雇を行った場合は、解雇が無効となったり、損害賠償責任が問われたりする可能性がありますので詳しいことについては専門家に相談するのが安心です。

解雇方法

労働契約法第20条第1項では、事業主が労働者を解雇しようとする場合は、労働者に、少なくとも30日前の予告をしなければならないことが定められています。予告をする際は、解雇日について、何年何月何日というように特定しておかなければなりません。

なお、予告の日数は、一日について平均賃金を支払った場合においては、その日数を短縮することが出来るとされています。30日分の賃金を払えば30日まるまる短縮できますし、10日分を払えば予告期間は20日で良いことになります。解雇トラブルは後を絶ちませんので、法律等をよくご確認頂き、実際に解雇していいのか悩ましい場合は、専門家に相談するなどしましょう。

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