日本では、解雇にまつわる問題はとても敏感です。なぜなら、労働者は「労働法」で働く権利が強く保護されているからです。ですが、現実的に雇い入れた従業員がすべて適合しているかと言われれば疑問が残る場合もあるのではないでしょうか。そこで今回は労働法と解雇についてご紹介します。
労働法とは
労働関係および労働者の地位の保護・向上を規整する法の総称です。ただし、労働問題に関する様々な法律をひとまとめにして労働法と呼んでいて、その中には、労働基準法や労働組合法をはじめ、男女雇用機会均等法、最低賃金法といった様々な法律が含まれています。
労働法設定の背景は、近代以降の資本主義の展開にともない、事業主と労働者との関係に自由平等を原則とするよう設定されました。そのため、雇用される従業員はこの法律に守られているといっても過言ではありません。そのため、事業主都合による勝手な解雇などもしにくいというのが現状なのです。
労働契約法第16条
期間の定めの無い雇用契約(無期雇用)では、解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合はその権利を濫用したものとして無効となる
労働契約法第17条
期間の定めのある雇用契約(有期雇用)では、使用者はやむを得ない事由がある場合でなければ、その労働期間が満了するまでの間において労働者を解雇することができない
解雇とは
そもそも解雇とは、事業主の一方的な意思表示による労働契約の解除のことを指しています。 解除に当たり労働者の合意がないものです。そのため、労働者の生活を断ち切ってしまうことにもなるので不意打ちのような形で行われることがないよう、各種の法制で規制が設けられています。
解雇をできる条件は、客観的・合理的理由が必要です。例えば、経営不振による解雇(整理解雇)、長期的な入院や病気、不良な勤務態度や勤務状況、労働能力の欠如、経歴詐称、などですが、解雇するに足る正当な理由があるか否かについては、先に述べたように客観的・合理的理由が必要です。不当解雇を行った場合は、損害賠償責任が問われる可能性がありますので詳しいことについては専門家に相談するのが安心です。
解雇方法
労働契約法第20条第1項では、事業主が労働者を解雇しようとする場合は、労働者に少なくとも30日前に予告をしなければならないと定められています。尚予告をする際は、解雇日について何年何月何日というように特定しておかなければなりません。ただし、30日以上前に解雇を予告できない場合には、30日に不足する日数分の平均賃金を解雇予告手当として支払わなければなりません。
例:10日前に予告した場合は、20日分以上の平均賃金を支払う
解雇トラブルは後を絶ちません。労働契約法第15条では、労働契約締結に際して労働者に対して解雇の事由を書面で明示しなければならない。と定めていますので、解雇になり得る事由を予め就業規則に定めておき、従業員とコンセンサス及び契約書を交わしておきましょう。