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【令和6年11月】薬用歯磨き等を販売する通信販売業者に対する特商法に基づく業務停止命令について弁護士が解説

はじめに

消費者庁は、令和6年11月1日、歯磨き粉を通信販売するにあたり、問題となった商品(以下「本件商品」といいます。)を歯に塗布するだけで即座に歯に付着した黄ばみを完全に除去する効能があるかのような表示をしていたとして、通信売業者に対して特定商取引法に基づく業務停止命令等を行いました。

今回は、消費者庁は、どういった理由で業務停止命令等を行ったのか、今後、どういった点に注意していけばよいのか、解説したいと思います。

行政処分の内容

特定商取引法12条は、通信販売の広告に関し、「著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような広告をしてはならない」と定めています。

消費者庁ホームページより引用
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_transaction_cms203_241101_01.pdf

本件商品のランディングページにおいては、「本当に10秒で黄ばみが消えた!・・・本当に10秒塗るだけで歯が真っ白になったんです!」「使った瞬間に効果を実感できるらしく、『黄ばみがボロボロ落ちた!』『タバコ黄ばみまで完全に落ちた!』と話題に!」と表示されていたようです。また、「数十年へばりついた黄ばみも余裕で100%落として真っ白な歯に!」などとも表示されていたようです。

使用時にブラッシングを行う歯磨き粉において、「歯を白くする」という効能効果を表示すること自体は認められております。

しかし、そもそも磨いた瞬間に歯が白くなることなどあり得ませんし、また、その効果が一切の例外なく100%生じるというのも、通常あり得ないことです。

このように、認められた効能効果の範囲内の表示であっても、効果の発現時間や効果の程度について、虚偽・誇大な表示を行えば、いわゆる誇大広告に該当することになります。

そのため、「1回の使用で効果がある」「数秒できれいになる」「100%の効果」といったような極端な広告表現については、特に注意が必要になります。

景品表示法の優良誤認表示との違い

本件商品の広告表示は、特定表取引法12条の誇大広告にあたると判断されましたが、景品表示法5条1項の優良誤認表示にも該当し得る広告かと思われます。

景品表示法の優良誤認表示に該当する場合には、課徴金納付命令がなされることがあります。他方で、景品表示法違反の場合は、業務停止を命じることができません。

今回の場合は、業務停止命令を行う意図もあって、特定商取引法違反としたものと思われ、違法な広告に対して厳格に対処していこうとする消費者庁の意図を感じられます。

これを機に自社の広告表示について、改めて確認してみるとよいでしょう。

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