今や口コミは、どんなサービスにおいても消費者から支持される評価手段となっていますよね。一方で、事業主側には不利な場合も。今回は、口コミサイトにまつわる事例から事業主側のメリット・デメリットを見て行きたいと思います。
食べログ訴訟から見る口コミ投稿
最近話題になったばかりの「食べログ訴訟」。口コミサイトの食べログに顧客から「出てくるのがおそい」「まずい」などと書かれた店が、その後お客さんが激減したとしてサイトを運営しているカカクコムに対して情報の削除と損害賠償を求めて札幌地裁に提訴しました。
結果は、札幌地裁はその請求を棄却。(原告が負け)
また別の案件では、写真などを無断掲載され「隠れ家」を売りにする事業戦略が妨害されたとして、大阪市内の飲食店が運営会社「カカクコム」に店舗の情報削除と330万円の損害賠償を求めた訴訟では、
大阪地裁は2月23日、その請求を棄却。(原告が負け)
いずれも口コミサイトは、あくまで客観的事実を消費者の意見として掲載しているものであり、店舗側の要求は取り入れられなかったこととなりました。
悪口は「罪」になるが口コミの線引きは難しい
どうやら口コミを明確に定義するのは、受け取る側の事情により変わるため、難しいようです。
ですが、どんな口コミでも許される。というわけではありません。事業主の皆さんに知って頂きたいのは、その口コミの内容にお店の社会的名誉を汚すような行為、業務妨害、名誉毀損や侮辱的な内容が含まれる場合は、処罰できる可能性もあるということです。例えば、他人の能力、徳性、身分、身体の状況などについてただ単に批判された場合の侮辱は消費者の罪になります。
ですが、口コミに書かれた内容が真実であり、公共の利益のためと判断された場合は、全く問題ないと判断されます。今回の食べログ事例では、「料理が出てくるまで40分くらい待たされた」との書き込みにより、お店の評判は下がったわけです。
待たされたことが嘘であることの証明や、悪徳な目的による書き込みであることが証明されたわけではないため、書き込みは正当な範囲内で、カカクコム側としても削除はできないという判断に至ったのです。
口コミサイトの利用規約を確認しよう
店舗または事業主側としてはその口コミの内容は都合が悪いけれど、決して名誉や侮辱行為に該当する証明ができない場合は、まず口コミサイトのガイドラインを確認してみましょう。
実際の食べログの口コミガイドライン(一部抜粋)
お店へ悪影響を及ぼすかつ内容の確認が困難な事象についての投稿はご遠慮ください。
食べログはあくまでも個人の感想を共有するサイトです。お店へ悪影響を及ぼすかつ事実関係の確認が困難な事象の書き込みはご遠慮ください。
※食べログでは、投稿された口コミの内容が事実かどうかの確認は行っておりません。
例)
- ここのお肉を食べると必ず腹痛になる。(NG:料理が原因でおきた症状に関する口コミ)
- 経費削減のためエアコンをつけていない。(NG:お店の経営方針・内部事情に関して、決め付けた口コミ)
- 化学調味料を使っている。(NG:お店の調理方法や材料に関して、決め付けた口コミ)
- 常連になると料金をタダにしてくれることがあるそうです。(NG:一般に公開されていないサービスに関して、決め付けた口コミ)
なお、事実関係の確認が困難 (感想としての記述ではないもの)で、かつ他のユーザーやお店から「その内容は事実と異なる。」という連絡があった口コミについては、食べログ側で連絡いただいた内容を元に確認し、本項に該当すると判断した場合には、当該口コミを削除する場合がございますのでご了承ください。
以上。
ほとんどの口コミサイトでは、こういった口コミ投稿におけるガイドラインを設定しています。
もし口コミサイトに投稿された書き込みが違法性はないけれど、ガイドライン上のルールを破っているような疑いがあれば、サイト運営者に相談してみるのもいいでしょうですが、その判断さえも一般の方ではなかなか分からない部分ではあると思いますので、まず事を起こす前に専門家に相談してみるのも有効です。