消費者庁、二酸化塩素ガスによる「空間除菌」商品の販売業者に措置命令を発出
消費者庁は令和6年4月15日、二酸化塩素ガスで「空間除菌」ができるとしていた「クレベリン」シリーズの置き型タイプの2商品を展開する「大幸薬品株式会社」(大阪府吹田市)に対し、空間浮遊のウイルス・除菌には効果を裏付ける根拠がなく、景品表示法違反(優良誤認)にあたるとして、措置命令を出しました(消費者庁「二酸化塩素による空間除菌を標ぼうする商品の販売事業者4社に対する景品表示法に基づく措置命令について」こちら)。
過去の措置命令事例
同社の「クレベリン」シリーズについては、令和6年1月20日にも別商品「スティック ペンタイプ」「スプレー」など、4商品に対する措置命令が出されていましたが、同社は不服として「仮の差し止め申し立て」をしていました。しかしながら、令和6年4月13日、同社はこの措置命令の差し止めを求めた仮処分申し立てが東京高裁に退けられたと発表しました。
同社の対応
同社HPでは、今回の措置命令について「今後、措置命令の内容を精査した上で、適切な対応を検討いたします。当社商品をご愛顧いただいているお客様、お取引先様、および株主様をはじめとする関係者の皆様には、多大なご心配をおかけすることとなり、深くお詫び申し上げます」としています。
消費者庁の発表内容
消費者庁の発表によると、今回の一連の流れは次のようになります。
根拠となる状況と広告表現が異なったことが問題
今回の措置命令において、裏付けとなる合理的な根拠を示すものと認められなかったという点について、当事務所で広告審査を担当している柳澤里衣弁護士は「今回消費者庁の発表を読む限り」と前置きした上で、「CMや広告で示されている環境、部屋の状況と、実験をしてエビデンスとして提出した環境は明らかに違う。同じ条件下でのエビデンスを取る必要があった」と解説しました。
「実際、広告や表示では、リビングや寝室、キッチンやトイレなどでの使用が表現されていますが、これらは実験環境と全く同じではありません」
広告表現に関する柳澤弁護士の見解
柳澤弁護士はまた、「コロナ禍になってから、除菌や抗ウイルスなど消費者の関心やニーズにうったえかけるような商品が非常に多く出回っています。企業にとっては人々の健康のために開発・販売している商品でしょうし、消費者もそれを望んでいることではあっても、広告でうたっていいこととダメなことがあります。
「今回の一件は、これからも同じような商品に対する措置が出るかもしれないという点と、こうしてニュースになることで、消費者側の意識も高めて 【広告表現には気を付けましょう】という注意喚起にもつながるのではないでしょうか」としています。
専門家への相談をお勧めします
こんなエビデンスで、こんな広告表現をうたいたい、そのように思われた場合は、ぜひ専門家である当事務所にご相談ください。