「特商法」とは?オンラインビジネスにおける重要な法律
「特商法」という法律を聞いたことはありますか?サブスクリプション契約をはじめとするオンラインビジネスの普及に伴い、近年改正も多く、活発に議論されている分野です。今回は「特商法」とは何か?どんな法律なのか?という疑問にお答えします。
特商法とは
まず、「特商法」とは「特定商取引に関する法律」の略称です。これは、事業者による悪質な勧誘行為を防止し、消費者の利益を守るために作られた法律です。そして、「特定商取引」とは何か?というと、訪問販売や通信販売、電話勧誘販売等のことを指しています。
そこで、特にインターネット上で商品を販売する業者などは、この特商法の規定に沿ってウェブサイトを運用する必要があり、注目すべき法律となっています。特商法は事業者が守るべき法律であるため、事業者側に立つ皆様にはしっかりと特商法を遵守した業務を行っていただき、消費者側に立つ皆様にはこの法律が消費者の安全・利益を守っていることを知っていただき、ご自身の商品購入などの際に悪質業者を見抜ける目を養っていただければと思います。
注意点は?
ただ、特商法の規定を守ると言っても、具体的にどのような点に気をつけなければならないかは、特商法の条文を見るだけではわかりにくいことが多いです。そのようなときに確認すべきは、消費者庁が発表している各種ガイドラインです。
ガイドラインには、具体例やイラストを交えながら説明しているものもあり、比較的わかりやすく書かれていますので、判断に迷ったときは一度参照してみるとよろしいかと存じます。また、消費者庁が運営している「特定商取引法ガイド」というウェブサイトも非常に参考になります。条文と向き合うよりも読みやすいため、確認してみることをおすすめいたします。
サブスクリプションに関する特商法
今回は特商法の大まかなご案内なので細かな事例の紹介は控えますが、特商法関連で特に近年注目が集まっているのはサブスクリプションでの契約についてです。
サブスクリプション契約では、消費者は商品やサービスを利用できる期間に対して料金を支払い、当該期間内に商品やサービスを利用する権限を得ることとなります。このようなサービスは近年業種の幅が広がり、様々なものが登場していますが、従来はそれほど一般的ではなかったため、サブスクリプション契約そのものに対する規定はありませんでした。
しかし、サブスクリプション契約の場合も、インターネット上で顧客を集めるのであれば、特商法上の「通信販売」に該当します。そのため、特商法上の通信販売に関する規定に沿ったウェブサイトの運営が必要となります。
事業者が気を付けるべきこと
ここでは、事業者側でどのような点に注意すべきかを簡単に説明します。最も注意すべきは、広告となるウェブサイトを作成する段階です。特商法の規定は、消費者に誤解を与えないようにするために設置されているという大原則から、広告段階で適切に取引内容を説明することが必須です。
これは景品表示法でも同様の考え方がありますが、事業者の立場からすると、少しでも多くの顧客を誘引したいあまり、うっかり特商法違反と評価される記載をしてしまうことがあります。そのような場合、特商法違反として消費者庁から業務停止命令等を受けてしまうと、本末転倒となります。
そうならないためには、広告を作成した後に特商法に違反していないかを自身でチェックし、不明点がある場合や自分だけのチェックに不安がある場合には、弁護士に相談することをおすすめします。