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感染症対策を暗示する広告の危険性を明らかにした措置命令

1 はじめに

消費者庁は、2020年5月19日、「ハンドクリーンジェル(300ml)」と称する商品について、優良誤認表示があったとして措置命令を行いました。優良誤認表示とされた理由は、商品に「アルコール71%配合」と記載していたのに、実際はそれを大幅に下回る配合割合だったというものです。

措置命令では明確に触れられてはいませんが、優良誤認表示の表示期間は2020年4月4日から同月14日までとされています。そのことから考えて、新型コロナウイルス感染症の予防効果を暗示した商品について、初めて措置命令が出されたケースと考えてよいでしょう。

2 消費者庁による注意喚起と行政指導

新型コロナの流行が始まってから、その予防効果を謳う商品が多く出回るようになりました。その種類は、健康食品、マイナスイオン発生器、空間除菌商品、アロマオイル、光触媒スプレー等、様々です。その中には、とても新型コロナの予防効果があるとは思われないものも含まれています。

新型コロナは世界中で流行し、多大な被害を出しているだけに、その予防効果を謳うことの訴求力は極めて大きなものがあります。そのため、消費者庁としても、そのような広告表示に対しては、素早く注意喚起や行政指導を行っています。

具体的には、2020年3月10日、同27日、同年5月1日と、相次いで一般消費者への注意喚起をリリースするとともに、空間除菌用品の販売事業者に対する行政指導を行い、これを公表しました。今回の措置命令も、そのような流れの中に位置付けられるものです。

3 措置命令の内容

今回措置命令を受けた商品も、「ハンドクリーン」という商品名、アルコールを配合していることから、手指の消毒による新型コロナ予防効果の訴求を狙った商品であることは間違いないでしょう。

報じられているところによると、71%のアルコールを配合していると表示しながら、実際には5%~30%しかアルコールが配合されていなかったようです。表示期間が上記のとおり約10日間と短期間であることからしても、消費者庁が素早く動いて措置命令まで持って行ったことがうかがえます。

4 薬機法の観点

ちなみに、問題となった商品は、「手指用洗浄ジェル」と表示しており、「消毒」という表示をしていません。そもそも手指の消毒は、医薬品、医薬部外品でしか認められない効果です。ところが、今回の商品は医薬品や医薬部外品ではなく、化粧品として販売されていました。そのため、「消毒」という表示をすることができず、「洗浄」という表示をしつつ、高濃度のアルコールを配合していることを示すことで、手指の消毒効果を暗示しようとしたものと思われます。

このように、雑品や化粧品であるにも関わらず、手指の消毒効果を暗示しようとする商品は、今後も増えてくると考えられます。

5 最後に

今回はアルコールの配合量に着目した措置命令でしたが、商品の種類や広告の内容によっては、直接的に新型コロナ等の感染症予防効果を表示していると認定して、優良誤認表示と判断されるケースもあり得ます。今後も引き続き、新型コロナ関連の訴求に対しては厳しい目が向けられていくでしょう。

この記事の監修者
小池 章太

弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所
美容健康部門リーダー

弁護士・薬剤師|東京弁護士会所属

小池 章太 (こいけ しょうた)

■監修者プロフィール

弁護士と薬剤師のダブルライセンスを有し、薬機法・景表法・健康増進法・特定商取引法・ステマ規制などヘルスケア領域に関わる法規制に精通。大手調剤薬局企業で企業内弁護士としてM&A、DX推進、新規事業の薬機法対応等に従事してきた経験を基に、法律と医療の双方の専門知識を活かした実務的なアドバイスを提供。その知見を活かし、健康食品・化粧品・美容機器・EC分野における広告表現のリーガルチェック、薬機法対応、関連申請支援、コンプライアンス体制構築まで幅広く担当し、多数のセミナー・講演実績を通じて最新の規制動向も踏まえた支援を行っている。2026年1月より、美容健康部門リーダーに就任。

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