概要
消費者庁は、令和6年12月17日、ネイルスクールを運営する会社に対して措置命令を行いました。
同社が運営する「アフロートネイルスクール」と称するネイルスクールにおいて供給する講座に係る表示について、景品表示法に違反する行為(同法第5条第2号(有利誤認)に該当)が認められたことから、同法第7条第1項の規定に基づき、措置命令を行ったものとなります。
指摘事項の内容
今回は、「有利誤認」の問題になります。
指摘を受けた会社は、例えば、ウェブサイトの「ネイリスト養成コース 講 座・費用一覧」と称するページにおいて、「プロフェッショナルネイルコース」と称する講座につき、令和5年10月6日から令和6年3 月24日までの間、「今だけ授業料50%割引!!」、「通常授業料701,800円(税込)」、「割引額350,900円(税込)」及び「授業料350,900円(税込)」と表示するなどし、あたかも、「通常授業料」と称する価額は、ネイルスクールの校舎において通常提供している価格であり、「授業料」と称する実際の提供価格が当該通常提供している価格に比して安いかのように表示していました。
しかし、実際 、「通常授業料」と称する価額は、当該校舎におい て、最近相当期間にわたって提供された実績のないものであったと指摘されています。
まとめ(二重価格表示の方法にご注意を)
商品の販売においても、役務(サービス)の提供においても、「〇%割引!」といった表示や、定価・通常価格等と比較した価格の表示(いわゆる二重価格表示)は、顧客への訴求効果が認められるため、広告において使いたい表現方法かと思います。
もちろん、こういった表示が一切禁止されているものではありませんが、その表示方法によっては、「不適正な表示」であるとして、措置命令等を受けてしまいます。
商品の販売のみならず、今回のような役務(サービス)の提供についても、役務の取引条件について、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示をしてしまいますと、有利誤認に該当するとされてしまいます。
今回のケースでは、「通常授業料」として表示された価格が、「最近相当期間にわたって提供されていた価格」である必要があります。
「最近相当期間にわたって販売(提供)されていた価格」については、
・セール(割引)開始時点から過去8週間のうち、4週間以上の販売(提供)実績があれば、過去の価格として表示することができる
・開始時点から8週間未満のときは、販売(提供)期間の過半かつ2週間以上の販売(提供)実績があれば、過去の価格として表示することができる
・上記を満たしていたとしても、実際に販売(提供)した最後の日から2週間以上経過している場合には、過去の価格として表示することは原則としてできない
等と、消費者庁の考えが具体的に示されています。
二重価格等を表示する場合、これらの点に留意しながら表示する必要がありますので、十分にご注意頂ければと思いますし、何が適正で何が不適正かの判断が難しい場合は、弁護士等の専門家に相談するのが良いでしょう。
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近年、景品表示法に基づく措置命令や課徴金納付命令、そして特商法に基づく業務停止命令が相次いで出されており、ナンバーワン表記や二重価格表示、そして「飲むだけで痩せる!」などの事実と異なる表記への取り締まり、さらには、今回のようなステルスマーケティングのような、SNSを絡めた広告表示に対しての取り締まりが加わり、広告に対する規制がより一層強くなっているのが現状です。
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