医薬品を販売するには承認が必要
医薬品は、人の生命・身体に影響を及ぼす可能性が高いため、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下「薬機法」といいます)において、開発から製造・販売まで厳しく規律されています。いくつもの実験や(非)臨床試験をし、国の承認審査を経て、ようやく製造販売ができるようになります。
このように、厳格な過程を経ずに無承認で医薬品を販売することはできず、必ず国の承認が必要になります。
本製品は、医薬品であるにもかかわらず承認を得ていなかったため、薬機法に違反することになりました。
何が医薬品にあたるか
薬機法上、医薬品とは、以下のものとされています。
- 日本薬局方に収められている物
- 人または動物の疾病の診断、治療または予防に使用されることが目的とされている物であって、機械器具等でないもの
- 人または動物の身体の構造または機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であって、機械器具等でないもの
本件では、本製品に含まれていた「アトロピン」等が医療用医薬品として日本薬局方に収められているので、①に該当し、医薬品ということになります。
また、医薬品成分が含まれていなくても、人または動物の疾病の診断、治療または予防に使用される目的を有するものは、医薬品にあたりますので、本件では問題となっておりませんが、医薬品的な効能効果をうたって健康食品を販売したような場合にも、未承認医薬品の販売や広告の規制に反することになります。
まとめ
本件は、医薬品成分が含まれていることから、未承認医薬品の販売にあたるという判断になりました。
医薬品成分が含まれていない場合でも、医薬品的効能効果をうたうと医薬品になってしまうので、注意しましょう。
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■監修者プロフィール
弁護士と薬剤師のダブルライセンスを有し、薬機法・景表法・健康増進法・特定商取引法・ステマ規制などヘルスケア領域に関わる法規制に精通。大手調剤薬局企業で企業内弁護士としてM&A、DX推進、新規事業の薬機法対応等に従事してきた経験を基に、法律と医療の双方の専門知識を活かした実務的なアドバイスを提供。その知見を活かし、健康食品・化粧品・美容機器・EC分野における広告表現のリーガルチェック、薬機法対応、関連申請支援、コンプライアンス体制構築まで幅広く担当し、多数のセミナー・講演実績を通じて最新の規制動向も踏まえた支援を行っている。2026年1月より、美容健康部門リーダーに就任。