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不実証広告規制とは?資料に必要な要件や対象となる表示例・対策方法を解説

「自社の広告表現は本当に大丈夫だろうか?」
「効果を裏付けるデータはあるが、これが『合理的根拠』になるか不安だ」

企業の広告担当者であれば、一度はこのような懸念を抱いたことがあるかもしれません。

消費者の目を引く魅力的な広告は、売上向上のために不可欠です。しかし、その表現が行き過ぎれば、「不実証広告規制」という重大な法的リスクに直面します。

この記事では、景品表示法における不実証広告規制の基礎知識や、求められる資料の要件、違反例を解説します。具体的な対策方法も紹介しているので、規制違反による信頼失墜を避けたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

企業の広告が不実証広告規制の対象にならないか不安な場合は、専門家に相談することが大切です。弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所は、企業の薬機法・広告・新規事業の法規制対応に精通した弁護士が在籍しています。個々の状況に合わせて適切な解決策をご提案すべく、まずはお気軽にご相談ください。

不実証広告規制とは?基礎知識を解説

不実証広告規制は、景品表示法に基づく重要な制度です。

商品やサービスの効果・性能に関する広告表示について、事業者がその裏付けとなる「合理的根拠」を持っているかが問われます。

ここからは、不実証広告規制とは何かについて、詳しく解説します。

不実証広告規制とは

不実証広告規制は、景品表示法第7条第2項に基づく規制です。

消費者庁や都道府県は、広告表示が「優良誤認表示」にあたるか否かを判断するため、事業者に表示の根拠資料を提出するよう求められます。

優良誤認表示とは、商品の品質や性能が、実際よりも著しく優れていると消費者に誤解させる表示のことです。

この規制の特徴は、事業者が「表示内容が事実である」ことを証明できなければ、自動的に「優良誤認表示(不当表示)」とみなされる点にあります。

行政側が「事実ではない」と立証する必要はありませんが、事業者が合理的根拠を示せない場合は、行政により「根拠が不十分」と判断され、最終的に優良誤認表示とみなされる可能性があります。

用語読み意味
景品表示法けいひんひょうじほう商品やサービスの品質、価格などを偽って表示することを規制する法律
優良誤認表示ゆうりょうごにんひょうじ事実と異なり、実際よりも著しく優れていると誤解させる表示
不実証広告規制ふじっしょうこうこくきせい優良誤認の疑いがある広告に対し、合理的な根拠資料の提出を求める制度

出典:消費者庁|不当景品類及び不当表示防止法第7条第2項の運用指針―不実証広告規制に関する指針―

景品表示法については、以下の記事で詳しく解説しています。併せて参考にしてみてください。

関連記事:景表法(景品表示法)とは?ガイドラインの内容や注意すべき広告表現を弁護士が解説

対象となった場合は「15日以内」に資料の提出が必要

消費者庁長官から合理的根拠資料の提出を求められた場合、事業者は原則として通知を受けてから15日以内に資料を提出する必要があります。ただし、事情により長官が別途期間を指定する場合もあります。

具体的な資料提出の流れは、以下のとおりです。

  1. 消費者庁が優良誤認の疑いがある表示を発見
  2. 事業者に対し、合理的根拠資料の提出を要求
  3. 事業者は15日以内に資料を提出
  4. 消費者庁が資料を審査
  5. 合理的根拠なしと判断されると、措置命令などの対象となる

資料提出の期間は非常に短く設定されており、企業の日頃からの準備力と対応力が求められます。当然ですが、調査が入ってから慌てて資料を探し始めるのでは間に合いません。

事業者が資料を提出できなかった場合や、提出した資料が合理的根拠として消費者庁に認められなかった場合は、その広告表示は消費者庁によって優良誤認表示と判断され、措置命令や課徴金などの行政処分を受ける可能性があります。

出典:消費者庁|不当景品類及び不当表示防止法第7条第2項の運用指針―不実証広告規制に関する指針―

不実証広告規制で提出が求められる資料に必要な要件

広告の根拠として、単に何らかの資料があればよいというわけではありません。

提出資料には形式上の決まりはありませんが、広告表示の内容と資料の根拠関係が明確に示されていることが求められます。

要件は大きく分け、以下の2つです。

  • 提出資料が客観的に実証された内容か
  • 表示と提出資料で実証された内容が対応しているか

規制対策を適切に実施するためにも、まずはこれらの要件を理解しましょう。

提出資料が客観的に実証された内容か

「合理的根拠」として認められるためには、資料が客観性を備えている必要があります。事業者の主観的な見解や、希望的観測に基づいたデータは根拠になりません。

消費者庁のガイドラインによれば、客観的に実証された内容とは、以下のいずれかを満たすものとされています。

  • 1.試験・調査によって得られた結果であること
  • 2.専門家・専門家団体・専門機関の見解や学術文献で、客観的に評価された内容であること

試験・調査によって得られた結果とは、製品の性能テストデータや、統計的に有意な消費者アンケート調査結果などが該当します。また、権威ある学会で発表された査読付き論文や、公的機関の調査報告書かどうかも見られます。

逆に、社内だけで完結した客観性の担保されない試験結果や、一部の利用者の感想を集めただけのものは、合理的根拠とは認められにくいでしょう。

合理的根拠として認められやすい資料と、認められにくい資料を以下の表にまとめました。ぜひ参考にしてみてください。

認められやすい根拠(客観的)・公的機関や第三者機関による試験データ・査読付きの学術論文・統計的に有意なアンケート調査結果・関連業界団体の公正なガイドライン
認められにくい根拠(主観的)・社内のみで実施した客観性のない試験・根拠が不明確な専門家の意見・ごく一部の利用者の感想・表示内容と関連性の低いデータ

表示と提出資料で実証された内容が対応しているか

合理的根拠のもう一つの要件は、その資料内容が「広告の表示内容と正確に対応している」ことです。いくら客観的で立派なデータがあっても、広告で主張している内容とずれていては意味がありません。

たとえば、「A成分に美白効果がある」という学術論文があったとします。しかし、これはあくまで「A成分」の効果についての学術論文です。「A成分を配合した商品に美白効果がある」と広告で謳うためには、その商品自体で効果を実証したデータが別途必要になります。

また、試験結果が広告で謳う効果を直接示すものか、試験条件が広告で想定される使用条件と著しく乖離していないかも重要な項目の一つです。

調査対象と広告の訴求対象がずれていないかどうかも確認されます。

「※個人の感想です」といった打ち消し表示を小さく記載しても、表示全体で効果を断定しているとみなされれば、免責されない点にも注意が必要です。

不実証広告規制の適用対象となる表示例

不実証広告規制は、主に商品・サービスの「優良性」に関する表示に適用されます。優良性とは、品質・性能・効果・規格など、消費者が購入を判断する上で重要な情報のことです。

ここでは、規制対象となりやすい具体的な表示例を紹介します。

事実と異なる優良性・有利性を示す表示

事実と異なる優良性・有利性を示す表示は、不実証広告規制のメインターゲットとなる「優良誤認表示」のよくある例です。

商品の品質や内容が、事実と異なる、または事実以上に優れているかのように表示することを指します。

こうした表示を行う場合、消費者庁から求められれば15日以内にその根拠を提出しなければなりません。

主な例は、以下のとおりです。

原産国の偽り外国産の食材を使用しているのに「国産黒豚使用」と表示する
成分の偽り特定の有効成分を配合していないのに「〇〇高濃度配合」と表示する
性能の誇張「業界No.1の処理速度」と表示するが、客観的な調査結果(根拠)がない
受賞歴の詐称受賞していないにもかかわらず「モンドセレクション最高金賞受賞」と表示する

景品表示法の優良誤認については、以下の記事でも詳しく解説しています。併せて参考にしてみてください。

関連記事:景品表示法の優良誤認とは?判断基準・違反例や罰則・予防策を弁護士が解説(10月作成記事

根拠のない利用者体験・事例の表示

「お客様の声」や「ビフォーアフター写真」といった体験談も、規制の対象となります。

多くの事業者が「※あくまで個人の感想です」という注記(打ち消し表示)を入れれば問題ないと考えがちですが、それは誤りです。

体験談であっても、それがその商品の一般的な効果・性能であるかのように消費者に誤認させる場合は、合理的根拠が必要となります。

主な例は、以下のとおりです。

特異な例の一般化「このサプリで1ヶ月10kg減」という体験談が、ごく稀な例であるにもかかわらず、誰にでも当てはまるかのように掲載する
効果の捏造実際にはない効果を体験談として作成する
不適切な打ち消し表示注記の文字が小さすぎる、表示箇所が離れすぎているなど、消費者が認識できない形で表示する

誤解を招く比較広告や実績表示

他社製品や過去の実績と比較する広告(比較広告)は、消費者に強い印象を与える反面、根拠の厳格さが求められます。

また、「No.1表示」も同様に、客観的な根拠がなければ優良誤認と判断されます。

問題となる比較・実績表示の主な例は、以下のとおりです。

不公正な比較自社に有利な条件(例:他社の旧モデル)とだけ比較し、「他社製品より優れている」と表示する
根拠不明なNo.1表示「顧客満足度No.1」と表示するが、調査機関、調査年、調査対象の範囲、質問項目などを明記していない
実績の誇張「導入実績1,000社」と表示するが、実際は無料トライアルユーザーや資料請求者もカウントしている

これらの表示を行う場合、広告方法・表示の仕方のほか、比較の条件、No.1調査の客観的データ(調査票や集計結果)、実績の集計方法などを、合理的根拠として即座に提出できるよう準備する必要があります。

自社の広告表示が、上記のような不実証広告規制に該当するか不安な方は、一度弁護士に相談することが大切です。

関連記事:No.1表示、高評価%表示に注意!消費者庁からNo.1表示に関する実態調査報告書が公表されました

不実証広告規制に違反した場合に受ける可能性があるペナルティ

もし消費者庁から求められた「15日以内」に合理的根拠を示せない場合、その表示は措置命令の関係では優良誤認表示と「みなされ」ます。また、課徴金との関係では優良誤認表示と「推定」されます。その結果、景品表示法に基づき、行政処分が科されることにもなりかねません。

ペナルティは大きく分けて、以下の2種類です。

  • 消費者庁からの措置命令
  • 違反商品の売上高3%相当額の課徴金

以下、それぞれ具体的に解説します。

消費者庁からの措置命令

措置命令は、行政指導よりも重い、法的な拘束力を持つ「命令」です(景品表示法第7条)。不当表示があったと正式に認定された場合に発出されます。

措置命令が下された違反事業者には、以下の対応を命じられます。

1.違反行為の取りやめ当該広告の即時中止、差し替えを命じられます
2.再発防止策の実施社内コンプライアンス体制の構築、社員研修の実施などを求められます
3.一般消費者への周知違反事実を自社Webサイトや新聞広告などで公表(いわゆる謝罪広告)することを命じられます

とくに「3.一般消費者への周知」は、取引先や消費者からの信頼を大きく損ね、企業のブランドイメージに致命的な打撃を与えます。

措置命令に従わない場合には、景品表示法第46条に基づく刑事罰(2年以下の拘禁または300万円以下の罰金など)の対象となることがあります。

不実証広告規制そのものには直接の刑事罰はありませんが、命令に違反すれば厳しい処分が科される点に注意が必要です。

違反商品の売上高3%相当額の課徴金

措置命令に加えて、金銭的なペナルティが課されることがあります。これが「課徴金納付命令」です(景品表示法第8条)。

不当表示が行われた商品・サービスについて、違反期間中の売上高の3%が課徴金として徴収されます。

たとえば、対象商品の月商が5,000万円で、違反表示期間が12か月だった場合の計算例は、以下のとおりです。

  • 対象売上高:5,000万円×12ヶ月=6億円
  • 課徴金額:6億円×3%=1,800万円

この場合、1,800万円を課徴金として支払わなければなりません。売上が大きいほど、課徴金額も大きくなります。

なお、事業者が違反を自主申告し、消費者への返金措置計画が認定された場合などには、課徴金が減免される制度も存在します。

しかし、制度の利用以前に、違反をしないことが重要です。弁護士など専門家によるチェックを徹底しましょう。

景品表示法の違反については、以下の記事でも詳しく解説しています。併せて参考にしてみてください。

関連記事:景表法違反とは?発覚してからの流れや罰則、実際の違反事例を解説【弁護士監修】

不実証広告規制に違反しないための対策方法

不実証広告規制への違反は、企業の存続を揺るがしかねない重大なリスクです。「知らなかった」「担当者任せだった」では済みません。

不実証広告規制に違反しないためには、広告を出す「前」の体制構築と、出した「後」の継続的な管理が重要です。主な対策として、以下の4つが挙げられます。

  • 1.不実証広告規制や関連する法規制を理解する
  • 2.根拠を示す資料やデータをすぐ提出できるよう保管・管理する
  • 3.表示に関する管理責任者を設ける
  • 4.弁護士など専門家に相談する

日頃からコンプライアンス意識を持ち、具体的な対策を講じることが不可欠です。

1.不実証広告規制や関連する法規制を理解する

まずは、不実証広告規制や関連する法規制を理解することが重要です。景品表示法の基本を学ぶことはもちろん、自社が属する業界特有の規制も深く理解しなければなりません。

とくに注意すべき関連法規制は、以下のとおりです。

医薬品医療機器等法(薬機法)化粧品・健康食品・美容機器などで、効果効能を謳う場合の規制
健康増進法食品の健康保持増進効果に関する虚偽・誇大な広告の禁止
特定商取引法通信販売や訪問販売などにおける広告表示義務や誇大広告の禁止

上記のような法律は、景品表示法と密接に関連しており、複数の法律に同時に抵触するケースも少なくありません。

経営層から現場のマーケティング担当者まで、社内全体で定期的に研修を行い、知識を最新の状態に保ち続けることが重要です。

2.根拠を示す資料やデータをすぐ提出できるよう保管・管理する

不実証広告規制の特徴である「15日以内」という期限に対応するために、根拠を示す資料やデータをすぐ提出できるよう保管・管理することが大切です。

広告を作成した「後」に慌てて資料を探すのでは、間に合いません。広告で表示する内容(効果、性能、No.1、受賞歴など)を決定した時点で、その根拠資料をセットで保管・管理する体制を構築しましょう。

資料管理のポイントは、以下のとおりです。

  • 広告の訴求内容と、その根拠資料を紐付けてファイリングする
  • 資料の取得日、出典(調査機関名、論文名など)を明確にする
  • 比較広告の場合、比較対象のデータも正確に保管する
  • No.1表示の場合、調査の全データ(調査票・ローデータ・集計結果)を保管する

「根拠がなければ表示しない」というルールを徹底することが、安全かつ確実な対策です。

3.表示に関する管理責任者を設ける

広告表示のコンプライアンスは、制作担当者個人のスキルや注意深さに依存すべきではありません。組織的なチェック体制が不可欠です。

社内に、広告表示を最終的にチェック・承認する「管理責任者」や「法務・コンプライアンス部門」を設置しましょう。

とくに、開発部門が持つ技術データと、マーケティング部門が作成する広告表現が、正確に一致しているかを部門横断でチェックする仕組みが大切です。

4.弁護士など専門家に相談する

広告やマーケティングに関わる担当者は、社内で体制を整えていても、法律の解釈が難しいグレーゾーンに直面することがあります。そのような場合には、広告法務に詳しい弁護士へ相談することが重要です。

とくに、健康食品の広告(薬機法との関連)や、複雑な調査に基づくNo.1表示などは、専門的な判断が必要です。

広告法務(景表法、薬機法など)に強い弁護士や専門家と顧問契約を結び、いつでも相談できる体制を整えておきましょう。

専門家に相談することで得られるメリットは、以下のとおりです。

  • 広告の法的なリスクを第三者の客観的な視点でチェックしてもらえる
  • 最新の法改正や、行政の指導事例、裁判例に基づいたアドバイスがもらえる
  • 消費者庁から調査が入った場合でも、迅速かつ的確な対応をサポートしてもらえる

顧問費用はかかりますが、違反した場合の課徴金やブランドイメージの失墜というリスクを考えれば、必要な「保険」であり「投資」といえるでしょう。

不実証広告規制について弁護士に相談するタイミング

弁護士への相談は、「問題が起きてから」では手遅れになるケースが少なくありません。不実証広告規制に関しては、トラブルを未然に防ぐ「予防法務」の観点が重要です。

では、どのタイミングで専門家の知見を活用すべきでしょうか。ここでは、弁護士に相談すべき4つの具体的なタイミングを紹介します。

  • 1.広告や宣伝を開始する前
  • 2.消費者庁から調査や資料提出を求められたとき
  • 3.運用中の広告が違反していないか不安に感じるとき
  • 4.運用中の広告が違反していることに気がついた時点

以下、それぞれ詳細に解説します。

1.広告や宣伝を開始する前

広告や宣伝を開始する前は、最も理想的なタイミングです。

新しい商品のLP(ランディングページ)や、テレビCM、雑誌広告などのクリエイティブが完成する前に相談しましょう。

企画段階やドラフト段階で、以下の項目についてリーガルチェックを受けることが大切です。

  • 広告で使用したいキャッチコピーが法的に問題ないか
  • 比較広告やNo.1表示の根拠として準備したデータが「合理的根拠」として十分か
  • 利用者の体験談の掲載方法や、打ち消し表示の仕方は適切か

この段階であれば、表現の修正や、根拠資料の追加取得といった対応がすぐに行えます。

リリース後に修正するコストと手間を考えれば、事前のチェックをルーティン化することが重要です。

リーガルチェックについて詳しく知りたい方は、以下の記事も併せて参考にしてみてください。

関連記事:リーガルチェックとは?やり方や注意点・弁護士に依頼する費用を徹底解説

2.消費者庁から調査や資料提出を求められたとき

消費者庁から調査や資料提出を求められたときは緊急事態であり、即座に弁護士へ連絡すべきタイミングです。

消費者庁から不実証広告規制に基づく資料提出を求められた場合、タイムリミットは15日しかありません。

この短期間で、どの資料をどのような論理構成で提出すれば「合理的根拠」と認めてもらえるかを素人だけで判断するのは危険です。

緊急時には、弁護士に以下の内容を相談しましょう。

  • 行政側が問題視している表示内容の特定
  • 手持ちの資料の整理と、合理的根拠としての妥当性の判断
  • 提出資料(報告書)の作成サポート・行政の意図に反論するための意見書の作成
  • 消費者庁との折衝やヒアリングへの同席

通知が届いた時点で、すぐに広告法務に強い弁護士に連絡する体制を整えておくことで、被害を最小限に食い止められるでしょう。

3.運用中の広告が違反していないか不安に感じるとき

過去に作成した広告や、長期間運用しているWebサイトの表示が、現在の法律に適合しているか不安に感じた時も、相談のタイミングです。

法律やガイドラインは年々厳格化しています。「当時は問題なかった表現が、現在は違反とみなされる可能性も少なくありません。

定期チェックを依頼する際は、以下の項目を確認してもらいましょう。

  • 古い広告の根拠データは、今でも有効か(例:調査年が古すぎないか)
  • 競合他社が、類似の表現で行政指導を受けた事例はないか
  • 新しい規制(ステマ規制など)に対応できているか

社内で「この表現、少し攻めすぎかな?」と少しでも不安や疑問の声が上がったら、専門家のレビューを受けるサインです。

定期的な広告の「健康診断」として、専門家による監査を受けましょう。

4.運用中の広告が違反していることに気がついた時点

社内のチェック漏れや、担当者の知識不足によって、明らかに景品表示法や関連法規に違反している広告を出してしまったと発覚した場合も、即座に弁護士に相談しましょう。

隠蔽が後に発覚すれば、企業の対応姿勢が厳しく問われ、より重大な結果を招きます。

発覚後に取るべき対応は、以下のとおりです。

  • 当該広告の即時取り下げ、または修正
  • 消費者庁への自主的な報告(課徴金減免制度の適用の可能性を探る)
  • 必要に応じて、購入者への返金措置を検討する
  • 弁護士の助言のもと、実効性のある再発防止策を策定し、実行する

企業のダメージを最小限に抑えるためにも、迅速かつ誠実な対応が重要です。

不実証広告規制についてよくある質問

提出した資料が「合理的根拠ではない」と判断されたらどうなる?

提出した資料が「合理的根拠ではない」と判断された場合は、「優良誤認表示」とみなされるなどし、措置命令や課徴金の対象となります。

15日以内に資料を提出したという事実だけでは免責されません。提出した資料の中身が、消費者庁によって「客観性がない」「表示内容と対応していない」などと判断されれば、「合理的根拠なし」と認定されます。

これは、資料を一切提出しなかった場合と基本的に同じ扱いです。当該表示は景品表示法違反(優良誤認表示)と判断され、措置命令や課徴金(売上の3%)のペナルティが科されることになります。

海外の試験データや論文も根拠として認められる?

海外の試験データや論文も根拠として認められる可能性はありますが、日本語の訳文と日本市場への適合性の説明が必要です。

消費者庁のガイドラインでは、合理的根拠は原則として「日本語の資料」で提出することが求められています。外国語の論文や試験データしか手元にない場合は、単にそれを提出するだけでは不十分です。

以下のように対応しましょう。

  • 1.広告表示の根拠となる該当箇所の正確な日本語訳を添付する
  • 2.試験・調査が、日本の状況(例:日本人の体質、日本の気候・使用環境)にも当てはまることを説明・立証する

とくに2点目が重要です。海外でのみ実施された試験データが、日本人にも同様の効果があると示すのは難しい場合があります。提出を求められてから準備するのではなく、広告出稿時点に適切な資料かどうかを確認するようにしておきましょう。

広告を中止すれば資料を提出しなくてもいい?

広告を中止しても提出義務はなくならないうえ、ペナルティも免れません。

不実証広告規制は、消費者庁が資料提出を求めた「時点」での表示が対象です。調査が入った後に慌てて広告を取り下げたり、Webサイトを修正したりしても、資料提出の義務は残ります。

その時点で資料を提出できなければ、「過去の表示」が優良誤認であったとみなされます。措置命令(再発防止策の命令など)や、違反していた期間の売上に基づく課徴金の対象です。

広告の中止は当然必要ですが、それによって過去の責任が消えるわけではありません。

まとめ|不実証広告規制について理解を深め、適切に対策することが大切

不実証広告規制は、企業の広告活動における「説明責任」を厳しく問う制度です。

15日以内に「合理的根拠」を示せなければ、措置命令や課徴金という重いペナルティが待っています。売上の損失だけでなく、築き上げてきた企業の信頼を失う可能性があるため、事前の対策が欠かせません。

重要なのは、広告を出す「前」の対策です。表示内容の裏付けとなる客観的な資料を準備したり、広告表現と根拠資料が正確に対応しているかをチェックしたりしましょう。

自社の広告表示と、その根拠資料の管理体制を今一度点検し、公正な事業活動のための基盤を強化することが大切です。

企業の広告が不実証広告規制の対象にならないか不安な場合は、専門家に相談することが大切です。弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所は、企業の薬機法・広告・新規事業の法規制対応に精通した弁護士が在籍しています。個々の状況に合わせて適切な解決策をご提案できるため、まずはお気軽にご相談ください。

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