「自社のキャンペーン企画、景表法の一般懸賞に該当するのだろうか?」
「購入者への抽選プレゼント企画を考えているが、景品の上限金額はいくらまで?」
プレゼントキャンペーンを企画する際、景品表示法(景表法)における一般懸賞のルールを正しく理解していないと、知らないうちに法令違反となるリスクがあります。景品の上限金額や総額制限を守り、自社のプロモーション活動を安全に進めるためにも、正しい知識が欠かせません。
本記事では、一般懸賞が規制される理由、該当する条件、景品額の具体的な上限、そして安全に企画を進めるためのポイントまで、実務に役立つ情報を詳しく解説します。
一般懸賞の企画設計や景表法への対応に不安がある場合は、「弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所」へご相談ください。豊富な実務経験を持つ弁護士が、貴社の企画内容に合わせた最適な対応策をご提案し、安心・安全なキャンペーン実施を全面的にサポートします。

一般懸賞が景表法で定められている理由
一般懸賞が景表法で規制される最大の理由は、消費者の自主的かつ合理的な選択を守るためです。企業が過度に高額な景品を提供すると、消費者は商品やサービスの本来の価値や価格ではなく、「景品が欲しい」という動機だけで購入を決めてしまいます。
これは、公正な競争を阻害し、消費者の適切な判断を妨げる要因となるため、厳しく規制されているものです。
特に一般懸賞は、抽選という偶然性により当選への期待感を高める仕組みが用いられることが多く、景品の価値が過大になると、消費者を不当に誘引する効果が強まります。
一般懸賞が規制される主な理由は、以下のとおりです。
| 規制の主な理由 | 具体的な目的 |
| 価値判断の歪み | 景品の豪華さだけで消費者の購買意欲を刺激し、商品本来の価値判断を歪めることを防ぐ。 |
| 不当な取引誘引 | 抽選という偶然性が当選への期待感を高め、不必要な取引を誘引するのを防ぐ。 |
| 公正な競争の維持 | 過大な景品提供による企業間の過当競争を防ぎ、健全な市場環境を維持する。 |
景表法は、このような問題を防ぐために、一般懸賞で設定できる景品の最高額と総額を明確に定めています。
企業は景品で関心を集めることはできますが、重視すべきは商品やサービスの本来の価値であり、その本来の価値を正確に伝えることが大切です。
参照:消費者庁 景品規制の概要
景表法において一般懸賞に該当する条件
景表法における一般懸賞とは、企業が単独で企画全体を実施し、以下の3つの条件をすべて満たす懸賞企画を指します。
これらの条件は、企画が「過大な景品による不当な誘引」にあたるかを判断する上で不可欠です。
| 条件 | 内容 | この要素がない場合の分類 |
| 1. 偶然性・優劣の存在 | 抽選、くじ引き、じゃんけん、クイズの正誤、ゲームの成績など、結果が偶然や能力によって決まる仕組みが含まれる | 総付景品(全員配布) |
| 2. 取引への付随性 | 商品の購入、サービスの利用、来店など、取引を条件として応募資格を得る | オープン懸賞(規制対象外) |
| 3. 単独実施 | 企業が単独で実施する | 共同懸賞(複数の事業者による共同実施) |
一般懸賞に該当するための第一条件は、「抽選やくじ引きなどの偶然性」または「クイズ・ゲームの成績といった優劣」があることです。このような要素がない場合は、全員が同じ景品をもらう形式となり、「総付景品」として別の規制が適用されます。
さらに、商品の購入やサービスの利用など、消費者が何らかの経済的対価を支払う行為・「取引」行為を行うことで、応募資格を得る場合も規制の対象です。来店を応募の条件とする場合も含みます。
もし、複数の事業者が共同で行う場合は「共同懸賞」となり、景品の最高額が一般懸賞よりも高くなるなど、別の規制が適用されます。
一般懸賞における景品額の上限
一般懸賞では、景品の最高額と総額の両方に上限が設けられています。これらの上限は、取引価額(消費者が支払う金額)に応じて異なります。企業は、この2つの制限を同時に守らなければなりません。
一般懸賞における景品額の上限は、以下のとおりです。
| 取引価額 | 景品の最高額 | 総額の制限 |
| 5,000円未満 | 取引価額の20倍まで | 売上予定総額の2%以内 |
| 5,000円以上 | 10万円まで | 売上予定総額の2%以内 |
景品価額は通常の小売価格で評価します。非売品は同等品の市場価格や原価相当額、複数アイテムをセットで提供する場合は合計額で判定します。
取引価額5,000円未満の場合
取引価額が5,000円未満の場合、景品の最高額は取引価額の20倍までです。この20倍という倍率は、比較的少額の取引に対して、一定の景品価値を認める趣旨で設定されています。
具体的な計算例は、以下のとおりです。
| 取引価額(商品価格) | 景品の最高額(20倍) | 計算式 |
| 300円 | 6,000円 | 300円×20倍 |
| 1,000円 | 2万円 | 1,000円×20倍 |
| 4,500円 | 9万円 | 4,500円×20倍 |
例えば、300円の飲料を購入した人向けの懸賞であれば、最高額は6,000円(300円×20倍)までです。
ただし、景品の価額は、仕入れ価格ではなく、市場における通常の小売価格で算定する必要があります。安く仕入れた商品でも、一般的な販売価格で評価されるため、この点に注意が必要です。
取引価額5,000円以上の場合
取引価額が5,000円以上の場合、景品の最高額は一律10万円までです。この制限は、高額商品の取引においても、景品による過度な誘引を防ぐために設けられています。
例えば、以下のようにどの取引金額であっても、一律で10万円が上限となります。
| 取引価額(商品価格) | 景品の最高額 | 備考 |
| 5,000円 | 10万円 | 一律10万円が上限 |
| 1万円 | 10万円 | 一律10万円が上限 |
| 10万円 | 10万円 | 一律10万円が上限 |
このように一般懸賞では、取引価額が高額であっても、景品の最高額は一定の範囲内に抑えられる仕組みです。
取引価額0円の場合の扱い
取引価額が0円、つまり無料で提供されるサービスや商品に対する懸賞の場合、一般懸賞の規制対象外となり、オープン懸賞として扱われる可能性はあります。
ただし、「無料だから必ず大丈夫」というわけではありません。無料であっても消費者庁などの行政機関が「取引に付随している」と判断する場合は一般懸賞の規制対象となるため注意が必要です。
以下のケースでは、無料会員登録や無料サンプル提供であっても、実質的に取引と評価され、規制対象となることがあります。
- 会員登録と同時に有料サービスの利用が開始される場合
- 登録時にクレジットカード情報など、実質的に取引と評価できる情報を提供させる場合
- 登録によって、実質的に商品購入やサービス利用を義務付ける内容になっている場合
取引価額の算定は、個別のケースごとに慎重な判断が求められます。消費者庁のガイドラインや過去の事例を参考に、適切に対応しましょう。
一般懸賞で景表法違反となる具体例
一般懸賞の企画では、景品額の上限を守っていても、応募条件や景品の設定方法によっては景表法違反となる可能性があります。
ここでは、消費者庁が示す具体的な事例をもとに、違反リスクのあるパターンを紹介します。
商品購入者を対象とした抽選キャンペーン
商品購入者を対象に行う抽選キャンペーンは、製造業者や卸売業者が実施する場合でも、一般懸賞として扱われます。
例えば、メーカーが自社商品の購入者に対して「レシート応募キャンペーン」を行い、抽選で景品を贈るケースが典型例です。以下は、違反リスクが高い一般懸賞の具体例となります。
| 事例 | 内容 | 違反となる理由 |
| レシート応募キャンペーン | 商品購入後のレシートを送付して抽選に参加する企画 | 購入を条件に応募資格が発生するため、取引付随性の要件を満たす |
| SNS投稿型キャンペーン | 商品購入者が写真や感想を投稿すると抽選に参加できる企画 | 投稿条件に「購入」が含まれる場合、一般懸賞の対象となる |
| 会員限定抽選プレゼント | 商品購入履歴がある会員だけを対象に抽選でプレゼントを提供 | 購入実績を条件にしており、取引を伴う懸賞に該当 |
| 店頭購入者限定イベント抽選 | 店頭で購入した人のみが応募できるイベント抽選 | 来店・購入を条件としているため、一般懸賞として規制対象になる |
これらの企画はいずれも、「購入または取引を条件に応募できる仕組み」があるため、一般懸賞として扱われます。その結果、景品の最高額や総額について、景表法上の制限を受ける点に注意が必要です。
SNSフォロー+購入で応募できる企画
SNSのフォローやリポストに、商品購入や使用を組み合わせた懸賞は、取引への付随性が生じるため一般懸賞として扱われる可能性があります。
例えば、「商品の画像投稿や使用感の投稿」を応募条件に含める場合は注意が必要です。このような行為は、購入や使用と密接に関連すると判断され、景品規制の対象になる可能性が高まります。
SNS企画における規制対象の判断イメージは、以下のとおりです。
| 具体例 | 応募条件の内容 | 規制の適用イメージ |
| フォロー&リポストのみ | アカウントをフォローし、投稿をリポストすると応募可能 | オープン懸賞(規制対象外になる可能性がある) |
| フォロー+購入レシート提出 | フォロー後、購入レシート画像を送付して応募 | 一般懸賞(景品上限・総額規制の対象になる可能性がある) |
| 商品画像の投稿で当選率優遇 | 購入商品の写真を指定ハッシュタグで投稿すると当選率が上昇 | 一般懸賞(規制対象になる可能性がある) |
| 使用感レビューの投稿が必須 | 使用感やレビューを投稿しなければ応募不可 | 一般懸賞(規制対象になる可能性がある) |
| 会員限定+購入履歴連携 | 会員アプリの購入履歴がある人だけ応募可能 | 一般懸賞(規制対象になる可能性がある) |
| 店頭購入限定SNS応募 | 店頭購入者のみQRからSNS応募可能 | 一般懸賞(規制対象になる可能性がある) |
単純なSNSフォローのみであれば「オープン懸賞」として規制対象外になり得ますが、商品購入や使用を前提とした条件を加えると、景品の上限規制を受ける一般懸賞として扱われます。企画設計時には、応募条件が取引と結びついているかを慎重に確認することが必要です。
景品の価値に差がある場合の抽選企画
同じ懸賞企画の中で、1等から3等まで複数の等級を設けて景品の価値に大きな差がある場合も、最高額の判断に注意が必要です。この場合、景品の最高額は、提供する景品類のうち最も高額なものを基準として判断されます。
複数等級の景品を設定する場合の判断基準は、以下のとおりです。
| 等級 | 景品の価額 | 最高額の判断 |
| 1等 | 10万円 | 最高額(景品規制の基準となる) |
| 2等 | 1万円 | 1等の最高額を基準とするため含まない |
| 3等 | 1,000円 | 1等の最高額を基準とするため含まない |
例えば、1等が10万円の景品を設定する場合、最高額は10万円として判断されます。この10万円が、取引価額に応じた上限(5,000円以上なら10万円)を超えていないかが基準です。
また、複数の景品を組み合わせて提供する場合は、その合計額が景品の価額として評価されます。
一般懸賞と他の景品類との比較
景表法では、景品類を提供方法等に応じて分類し、それぞれ異なる規制を適用しています。一般懸賞と他の景品類の違いを正確に理解することは、適切な企画設計と法令遵守のために不可欠です。
総付景品との違い
総付景品とは、抽選や優劣によらず、購入者や来店者に対してもれなく提供する景品です。
一般懸賞との最大の違いは、「偶然性や優劣がない」という点にあります。一般懸賞と総付景品の比較は、以下のとおりです。
| 項目 | 一般懸賞 | 総付景品 |
| 提供方法 | 抽選、くじ引き、クイズなど偶然性・優劣あり | もれなく全員に提供 |
| 最高額(一般懸賞につき取引価額5,000円以上) | 10万円まで | 取引価額の20%まで(取引価額1,000円以上) |
| 最高額(一般懸賞につき取引価額5,000円未満) | 取引価額の20倍まで | 200円まで(取引価額1,000円未満) |
| 総額制限 | 売上予定総額の2%以内 | なし |
総付景品は「もれなく提供」という性質上、より多くの消費者に景品が行き渡るため、最高額の上限が厳しく設定されています。
例えば、1,000円の商品購入者を対象に抽選で2万円まで提供できるのが一般懸賞ですが、全員にノベルティを配る総付景品の上限は200円までです。
共同懸賞との違い
共同懸賞とは、商店街や業界団体など、複数の事業者が共同で実施する懸賞を指します。
一般懸賞は単独企業が実施するのに対し、共同懸賞は複数の事業者が共同で実施する点が大きな違いです。複数の事業者が協力して行うことで、集客効果が分散し、過度な誘引になりにくいと判断されます。
一般懸賞との主な違いは、以下のような点です。
| 項目 | 一般懸賞 | 共同懸賞 |
| 実施主体 | 企業が単独で実施 | 複数の事業者が共同で実施 |
| 最高額 | 10万円まで(取引価額5,000円以上) | 30万円まで(取引価額にかかわらず) |
| 総額制限 | 売上予定総額の2%以内 | 売上予定総額の3%以内 |
| 共同の要件 | なし | 費用負担の分担、共同での告知実施など |
共同懸賞は、複数の企業が費用を分担し、共同で宣伝や運営を行うことによって成立します。形式だけの連携では共同と認められず、実際に告知や景品提供を共同で行うことが条件です。
そのため、名目上の「共同」ではなく、実質的な協力体制を整えることが重要になります。適切に共同実施と判断されれば、一般懸賞よりも高額な景品設定が可能です。
オープン懸賞との違い
オープン懸賞とは、商品の購入や来店などの取引を条件とせず、誰でも自由に応募できる懸賞企画です。一般懸賞との最大の違いは、「取引に付随するか否か」という点で、以下のような違いがあります。
| 項目 | 一般懸賞 | オープン懸賞 |
| 応募条件 | 商品購入や来店など取引が必要 | 取引不要、誰でも応募可能 |
| 景品の上限額 | 取引価額に応じた制限あり | 制限なし |
| 規制の適用 | 景表法の景品規制対象 | 景品規制の対象外 |
例えば、SNSでのフォロー&リツイートのみで応募できるキャンペーンは、取引を伴わないためオープン懸賞となり、景品額の上限規制はありません。
一方、商品を購入した人のみが応募できる場合は一般懸賞となり、景品額に上限が適用されます。
なお、オープン懸賞でも、告知内容が事実と異なる場合は「不当表示の規制」に該当する可能性があるため注意が必要です。
一般懸賞で景表法に違反した場合のペナルティ
一般懸賞において景品表示法に違反した場合、消費者庁や都道府県から行政処分を受ける可能性があります。
違反の内容によっては、企業名の公表、さらには刑事罰に発展するケースもあるため注意が必要です。
以下は主なペナルティの種類と内容です。
| ペナルティの種類 | 内容 | 企業への影響 |
| 措置命令 | 違反行為の差し止め、再発防止策の実施命令 | ブランドイメージの毀損、消費者からの信頼喪失 |
| 刑事罰 | 措置命令に従わない場合、2年以下の拘禁または300万円以下の罰金 | 経営陣の責任追及、企業の社会的評価の低下 |
| 社会的信用の失墜 | 報道による企業名の公表、取引先・株主からの信頼低下 | 長期的なブランド価値の低下、採用活動への悪影響 |
措置命令は、違反行為の停止と再発防止を命じる行政処分で、企業名が公表されるためブランドへの影響が大きい処分です。
なお、課徴金納付命令という、優良誤認表示・有利誤認表示などの不当表示により得た不当な利益を国庫に納める制度がありますが、景品額の上限違反(景品規制違反)そのものは課徴金の対象外です。しかし、広告やキャンペーンの告知内容に虚偽や誇大な表示があった場合には、不当表示として課徴金の対象となる可能性があります。
さらに、措置命令に従わない場合は刑事罰が科される可能性があり、個人には2年以下の拘禁または300万円以下の罰金、法人には3億円以下の罰金が科される仕組みです。
このように、景表法違反は企業の法的・経済的リスクだけでなく、信用・ブランド価値にも重大な影響を及ぼします。キャンペーン実施時には、社内での法令チェック体制を整え、違反リスクを未然に防ぐことが重要です。
一般懸賞を実施する際に景表法違反を防ぐポイント
一般懸賞を安全に実施するためには、企画段階から法令遵守を意識した設計と運用が不可欠です。
ここでは、景表法違反を防ぐための4つの重要なポイントを解説します。
1.景品の金額制限を守る
景品の最高額と総額の両方が、景表法で定められた上限内に収まっているかを必ず確認しましょう。
取引価額を正確に算定し、それに基づいて景品の上限額を計算します。企画を設計する際に確認すべき項目は、以下のとおりです。
| 確認項目 | 確認すべき内容 | 実務上のルール |
| 取引価額の算定 | 景品を受け取るために消費者が支払う金額を正確に把握する | 5,000円未満なら20倍まで、5,000円以上なら10万円まで |
| 最高額の確認 | 複数の景品を組み合わせる場合は、合計額で判断する | 上限ギリギリではなく、余裕を持った設定でリスクを回避する |
| 総額の確認 | 売上予定総額の2%以内に収まっているか | 景品の総額が売上予定から算定される上限を超えないよう管理する |
2.応募条件や抽選方法を明確にする
応募条件や抽選方法は、消費者に誤解を与えないよう、明確かつ正確に告知することが重要です。
曖昧な表現や、小さな文字での注記は、有利誤認表示として問題となる可能性があります。告知時に明確にすべき事項は、以下のとおりです。
- 応募資格(商品購入が必要、来店が必要など)
- 抽選方法(抽選、くじ引き、クイズなど)
- 当選者数
- 景品の具体的な内容と価値
- 景品の提供時期と方法
- 応募期間と締切日
告知内容には「商品購入が必要」「抽選で○名様」といった条件を、わかりやすく記載しましょう。当選者数、景品の内容、提供時期なども正確に伝える必要があります。
告知内容と実際の運用が一致しているかを、企画実施前に必ず確認してください。
3.誤解を招かない広告表示を行う
景品の内容や当選条件を実際よりも有利に見せる表示は、有利誤認表示等として景表法違反となります。
問題となりやすい表示と、適切な対応方法は以下のとおりです。
| 問題となりやすい表示 | 該当する規制 | 適切な対応方法 |
| 当選者数を実際よりも多く表示する | 有利誤認表示 | 実際の当選者数を正確に表示する |
| プレゼント内容を実際よりも豪華に見せる | 有利誤認表示 | 実物と一致する写真や説明を使用する |
| 「誰でも当たる」「応募者全員」といった曖昧な表現 | 有利誤認表示 | 条件を明確にし、事実と一致させる |
| 応募条件を分かりにくく隠す | 有利誤認表示 | 応募条件を見やすい位置に明記する |
景品の写真やイメージ画像が実物と大きく異なる場合は有利誤認表示となる可能性があります。広告制作時には、表示内容が事実と完全に一致しているか、消費者に誤解を与えないかを慎重にチェックすることが不可欠です。
参照:消費者庁 有利誤認とは
参照:消費者庁 優良誤認とは
4.弁護士などの専門家にサポートを依頼する
景表法の判断は専門的で、事例ごとに結論が異なる場合があります。
景表法違反のリスクに備え、キャンペーンの企画段階で、専門知識を持つ弁護士にリーガルチェックを依頼するのも安心です。専門家に相談するメリットは、以下のとおりです。
| 専門家に相談するメリット | サポート内容 |
| 企画内容の適法性確認 | 企画が一般懸賞に該当するか、規制対象かを正確に判断。 |
| 景品額の算定方法の助言 | 取引価額の算定、景品の価額評価を適切に行う。 |
| 告知内容のリーガルチェック | 不当表示のリスクがないか、広告内容を事前確認。 |
| 違反指摘への対応 | 万が一、消費者庁からの問い合わせや調査があった場合に適切に対応。 |
弁護士は、企画内容の適法性確認、景品額の算定方法の助言、告知内容のチェック、万が一の違反指摘への対応など、幅広い内容での相談が可能です。
「知らなかった」では済まされない法令違反を防ぐためにも、専門家との連携は非常に有効な手段となります。
「弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所」では、一般懸賞の企画設計から告知内容のチェック、違反時の対応など全面的にサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。

景表法における一般懸賞に関するよくある質問
一般懸賞の「総額」とはどのように計算しますか?
一般懸賞における景品類の総額とは、その懸賞企画で提供されるすべての景品の価額を合計したものです。この総額は、懸賞に関わる商品・サービスの売上予定総額の2%以内に収める必要があります。
総額の計算方法と具体例は、以下のとおりです。
| 項目 | 計算・算定のルール | 留意点 |
| 売上予定総額 | 懸賞対象となる商品・サービスの販売予測額を計算 | 過去の実績や類似商品のデータを参考に、合理的な予測を行う |
| 景品総額の上限 | 売上予定総額×2% | 最高額制限(20倍または10万円)とは別に、必ず守る必要がある |
| 計算に含めるもの | 1等から最下位まで、すべての等級の景品価額の合計 | 複数回抽選を行う場合は、それぞれの抽選で提供する景品の合計額 |
具体的な計算例
- 対象商品:1個1,000円
- 販売予定数:1,000個
- 売上予定総額:1,000円×1,000個 = 100万円
- 景品総額の上限:100万円×2% = 2万円
この場合、1等から3等まですべての景品を合計して2万円以内に収める必要があります。
値引きやクーポン配布も一般懸賞に当たりますか?
値引きやクーポン配布が一般懸賞に該当するかどうかは、その提供方法が「全員一律」か「抽選(偶然性)」かによって判断が異なります。
| 提供方法 | 扱い(実質) | 規制の適用 |
| 購入者全員に一律で適用される値引き | 値引き | 規制対象外 |
| 抽選で一部の購入者にのみ値引きやクーポンを提供 | 景品類(懸賞) | 上限額の規制あり |
| 購入金額に応じて一律付与されるポイント | 値引き | 規制対象外 |
| 抽選で一部の人にのみ高額ポイントを付与 | 景品類(懸賞) | 上限額の規制あり |
購入者全員に一律で適用される値引きは、商品価格の一部を還元している(値引き)と見なされます。そのため、景品規制の対象外です。
一方、抽選で一部の購入者にのみ値引きやクーポンを提供する企画は、景品類として扱われ、一般懸賞の規制対象となります。
例えば、商品購入者の中から抽選で、100名に5,000円分のクーポンをプレゼントする企画は典型例です。この場合、クーポンの価額(5,000円)が、取引価額に応じた景品の上限内に収まっているかを確認する必要があります。
一般懸賞と他の懸賞を同時に行うことはできますか?
一般懸賞と他の懸賞(共同懸賞やオープン懸賞など)を同時に実施すること自体は可能です。ただし、それぞれの懸賞が独立して運用されており、適用される規制を個別に遵守している必要があります。
同時実施する場合の注意点は、以下のとおりです。
| 注意点 | 規制上のリスク回避 |
| 懸賞の独立性 | 実質的に一つの懸賞とみなされると、景品価額を合算して判断される可能性があり、上限超過のリスクが高まる |
| 告知の明確化 | 応募条件や景品内容を明確に区別して告知し、消費者に誤解を与えないようにする |
| 規制の個別遵守 | 一般懸賞は景品上限規制を守り、オープン懸賞は規制対象外として適切に扱う |
複雑な企画構成の場合は、景品規制がどう適用されるかを判断しなければなりません。専門家に相談し、適切な設計と運用を確認することをおすすめします。
まとめ|景表法の一般懸賞ルールを理解して適正なキャンペーンを行おう
一般懸賞は、商品購入や来店を条件とした抽選企画であり、景表法によって景品の最高額(20倍または10万円) や総額(売上予定総額の2%以内) が厳格に規制されています。
一般懸賞を安全に実施するためには、景品の金額制限だけでなく、応募条件を明確にし、誤解を招かない広告表示を行うことが不可欠です。
特に、SNSやWeb広告を活用したキャンペーンは拡散力が大きいため、一つの不適切な表示が大きな問題に発展しかねません。
これらのルールを守り、消費者庁からの措置命令、そして社会的信用の失墜という、違反リスクを回避する姿勢が大切です。
企画段階からの法令チェックや、運用後のトラブル対応に不安がある場合は、景表法に精通した弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所へご相談ください。実務経験豊富な弁護士が、法令遵守と効果的なプロモーションの両立を支援いたします。
