化粧品は肌に触れるものですので、クレームは避けては通れません。クレームの中には色彩的にイメージと違ったというお客様の主観的なものから、肌トラブルのような健康被害まで様々です。これらのクレームへ謝罪して対応するだけではなく、しっかりと状況を確認し、時には商品を回収して被害状況を検証し、再発防止策を練ることも大切です。
クレームの種類
化粧品メーカーでは、お客様からクレームを受けることも多く、その対応には注意が必要です。
化粧品および薬用化粧品に関するクレームとしては、
- 製品そのものの不具合
- 製品を使用して、期待していたものと異なる
- 製品を使用して、皮膚トラブルなどが起こった
などがあります。
状況確認の必要性と対処方法
たとえば、「外装が破損している」など、製品そのものの明らかな不具合に関するクレームに対しては、不具合の状況を確認した上で、速やかに正常品と交換することが大切です。これに対して、「異臭がする」「色がおかしい」など、製品そのものの不具合ではあるものの、原因が不明な場合、まずはお客様から不具合の具体的な状況、すなわち、
- どういう種類の異臭か、どういう色か
- いつ頃から発生したか
- 商品のどこから発生したか
などの事情を聴き取り、不良品を回収して原因を特定する必要があります。また、実際に不具合を確認できた場合も、不具合の発生に至る経路まで特定して、再発防止に努めなければなりません。不具合に至る原因として、原材料自体が汚染されていることもあれば、製造過程で工場のラインの一部が不衛生な状態であったこともあるでしょうし、あるいは、化粧品を入れるビンや箱等の容器が汚染されていることもあるなど、様々な原因が考えられるからです。不具合の原因や発生に至る経路を特定できたら、クレームを出したお客様や必要に応じて行政に報告すると共に、汚染の原因を改善すべく対策を講じることが大切です。
その一方で、「想像していたテクスチャーと異なる」など、使用者の主観に基づくクレームに対しては、商品の特徴を丁寧に説明するなどして、お客様の理解を得るよう努める必要があります。
健康被害が出たクレームへの対応
しかし、実際に使用した結果、肌トラブルなどの健康被害が生じたというクレームの場合は、化粧品メーカーとして製造物責任を問われるおそれも出てきます。製造物責任は、製造物の欠陥が原因で、被害者の生命、身体又は財産に損害を与えた場合に、損害を賠償しなければならないというもので、よほどの事情がない限り免責されません。また、一度健康被害が生じてしまうと、1人の被害者の損害を賠償したとしても、製品の流通に伴って被害が拡大していったり、悪評が一気に広がってしまい、その後のメーカーの売上に大打撃を与えたりすることもあります。したがって、健康被害を生じたようなクレームを受けた場合は、可及的速やかに被害者の救済に乗り出すと共に、直ちに不良品を回収して被害の拡大を食い止め、再発防止を徹底することが不可欠です。