シミ取りや脱毛などの美容医療サービスの現場においては、患者からのクレーム、トラブルは避けて通れないものと思います。患者様は自分の思い描いたような姿になることを想像しながら施術を受けるため、思ったよりも効果がでなかったり、施術後に痛みや傷が残ったり想像もしていなかった事態になると一転してトラブルとなってしまうのです。
美容医療クレームとなる原因
美容医療の現場においてクレームが生じる理由としては、以下のことが考えられます。
①患者が期待したとおりの結果が得られるとは限らないこと
医療全般にいえることですが、患者が期待したとおりの結果が得られるとは限りません。特に、美容医療は、患者の外貌に関わる問題であることから、治療の結果に対する患者の要求が非常に高く、期待通りでなかったという感情を抱く機会が通常の医療より多いといえるのではないでしょうか。
②患者が完全に満足する医療サービスを提供することは困難であること
患者に医療サービスを提供する過程には、医師だけでなく、看護師や、事務職員等の複数の人間が関わりますし、患者からすればクリニック等の施設の充実度合いについても当然医療サービスの一環と捉えることから、純粋な治療行為以外にも不満を抱くポイントが多く潜んでいるといえます。
特に美容医療は、自由診療であり、患者は高額な医療費を支払っていますから、サービス全般に対する期待の高さが、クレームにつながる側面もあります。
クレームへの対処方法
では、患者からのクレームが入った場合、どのように対処すべきでしょうか。美容医療の現場のクレーム対応に限ったことではありませんが、クレーム対応の初動で最も重要なのは、クレームの内容を的確に把握することです。最初の段階でクレームの内容や患者の要望を取り違えてしまい、軌道修正されないまま対応をしていると、更なるクレームを招きかねません。
クレームが入ると動揺しがちですが、まずは患者の主張と要望を的確に聞き取りましょう。その上で、医療的な対応が必要な案件であるのか、金銭的な問題等一般的なクレームに終始している案件なのか、或いは両方なのかを切り分けます。そして、明らかに言いがかりと言えるような不当な要求については、弁護士等に対応をゆだねることも大事です。
また、不当なクレームに対応した従業員等のケアも怠らないようにしましょう。クレームを完全に予防することは困難ですが、事前に説明義務を尽くすことが、クレーム予防の最善の策ではないでしょうか。
手に負えない場合は弁護士にご相談を
美容医療において求められる説明義務の程度は、一般の医療よりも高いことは裁判例でも明言されています。これは、美容医療が「より美しくなりたいとの個人の主観的願望を満足させるために行われるものであって、生命ないし健康の維持に必須不可欠なものではない」ためであるとされています。
このような点を留意して、説明義務を尽くしてもなお、クレームとなった場合には、是非弊所にご相談ください。