「顧客満足度、ナンバーワン!」などという記載があると、数ある広告の中でも目を引きますよね。ナンバーワン表記のある広告は、訴求力の高い広告の代表例と言えます。そのため、特に景品表示法上の広告表示規制に抵触しないよう留意する必要があります。
景品表示法とナンバーワン表記
景品表示法では、事業者が、自己の供給する商品・サービスの取引において、その品質、規格その他の内容もしくは価格その他の取引条件について、一般消費者に対し、
①実際のものよりも著しく優良ないし有利であると示すもの
②事実に相違して競争関係にある事業者に係るものよりも著しく優良ないし有利であると示すもの
であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示を、優良誤認表示・有利誤認表示として禁止しています(景品表示法第5条1号、2号)。
ナンバーワン表記をする場合、例えば、「顧客満足度」「販売数」「提供件数」等について、ナンバーワンである旨を記載することとなりますが、前提となるデータに誤りがあり、実際にはナンバーワンではない場合、一般消費者に実際のものよりも優良ないし有利だと誤解を与えることにつながりますので、優良誤認表示ないし有利誤認表示に当たるのです。
つまり、前提となるデータが実態に即しているか?、さらに進んで、実態に即したデータであるためには、それをどのように取得するか?が、重要になります。
不当表示とならないためにはどうすればよいのか
公正取引委員会によれば、ナンバーワン表記が不当表示とならないためには、
①ナンバーワン表記の内容が客観的な調査に基づいていること
②調査結果を正確かつ適正に引用していること
の両方を満たす必要があるとされています。
ここから、実態に即したデータであると評価されるためには、そのデータが客観的な調査に基づいていることが必要ということがわかります。
そして、客観的な調査といえるためには、①当該調査が関連する学術界又は産業界において一般的に認められた方法又は関連分野の専門家多数が認める方法によって実施されていること、又は、②社会通念上及び経験則上妥当と認められる方法で実施されていることが必要とされています。
「当社調べ」「第三者調査認定」は可能か
すなわち、例えば「当社調べ」として、販売会社が自社の社員や関係者を調査対象者として行った調査や、自社に有利になるように何等かの細工を施したうえで行われた調査というのは、客観的な調査とは言えないということになります。
では、「第三者調査認定」などとして、自社以外の第三者が行った調査によって認定されたとすればそれでよいのか?というと、必ずしもそうではありません。
第三者が、上記①のような専門家多数が認める方法で調査をしていなければいけませんし、調査対象者が統計をとるうえで必要十分な数を確保されていなければ、やはり客観性を担保できないこととなります。
また、取得したデータを正確かつ適正に引用することも必要とされていますので、例えば、実際には商品を購入していない者を対象に行った商品画像のイメージ調査の結果をもとに、「〇〇部門でナンバーワンに選ばれました」などと記載することも、データを適切に引用できておらず、不当表示となります。「〇〇部門でナンバーワンに選ばれました」と記載されていれば、一般消費者からすると、実際に多くの人に購入されているという印象を持つため、まさかそれが購入していない者を対象に行った商品画像のイメージ調査に基づいた表示だとは思わないからです。
摘発事例も多いので特にご注意を
商品を販売するにあたり、広告の訴求力は重要です。そのために、調査会社を利用してナンバーワン表記を取り入れる会社も多く存在します。
もっとも、その調査会社が実際にはどのような調査をしているのか?までをきちんと確認する作業を怠っていませんか?
重要なのは、ただデータを取得することではなく、実態に即したデータを取得し、それを適切に引用することだという点に、今一度意識を持っておきたいですね。