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オンラインサロンと特定商取引法

1 オンラインサロンとは

最近、オンラインサロンという言葉をよく聞きませんか?オンラインサロンというのは、月額会費制のWeb上で展開されるコミュニティ(クローズド)の総称だそうです(Wikipediaより引用)。有名どころだと、堀江貴文さんの「堀江貴文イノベーション大学」やキングコングの西野亮廣さんの「西野亮廣エンタメ研究所」などが挙げられます。月額の会費を支払って、そのコミュニティの中で様々な体験を共有する、というサービスです。

2 オンラインサロンと特定商取引法

オンラインサロンの運営方法には2種類あります。自らオンラインサロンのプラットフォームを構築して運営する方法と、運営会社のプラットフォームを利用してオンラインサロンを主催する方法です。

前者の場合、オンラインサロンの主催者は、参加者から月額会費を徴収して、オンライン上のコミュニティで様々な価値を提供します。この場合、主催者の行為は、特定商取引に関する法律(特定商取引法)の規制対象である「通信販売」に該当し得ることになりますので、同法11条以下の規定の適用を受けることになります。

後者の場合、オンラインサロンの主催者は、運営会社のプラットフォームを利用する形になり、プラットフォームを通じて個々のオンラインサロンのサービスを提供する運営会社の行為が特定商取引法の規制対象である「通信販売」に該当し得ることになります。

3 「通信販売」についての特定商取引法の規制

オンラインサロンの主催者又は運営会社に適用され得る特定商取引法上の規制は以下のとおりです。

<行政規制>

  • 広告の表示(法11条)
  • 誇大広告等の禁止(法12条)
  • 未承諾者に対する電子メール広告の提供の禁止(法12条の3、12条の4)
  • 未承諾者に対するファクシミリ広告の提供の禁止(法12条の5)
  • 前払式通信販売の承諾等の通知(法13条)
  • 契約解除に伴う債務不履行の禁止(法14条)
  • 顧客の意に反して契約の申込みをさしようとする行為の禁止(法14条)
  • 業務改善指示(法14条)、業務停止命令(法15条)、業務禁止命令(法15条の2)

等の行政処分及び罰則

<民事ルール>

  • 契約の申込の撤回又は契約の解除(法15条の3)
  • 事業者の行為の差止請求(法58条の19)

特に重要なのは、法11条の広告の表示です。通信販売は、隔地者間の取引であり、消費者にとっては広告が唯一の情報源となるため、トラブルの事前防止として詳細な表示義務が規定されています。販売価格や支払時期等の取引条件はもちろん、オンラインサロンの主催者や事業者の身元を明らかにしておく必要があり、個人の場合には、その氏名、住所、電話番号の表示が必要となります。もっとも、広告態様や広告スペースは千差万別であるため、表示が要求される事項のうちの一部については、消費者からの請求があった場合に必要事項を記載した書面を遅滞なく交付する旨を表示していれば、これらの事項の表示を省略することができます。

なお、特定商取引法では多くの取引形態についてクーリングオフ制度が導入されていますが、通信販売については、クーリングオフ制度の適用はありません。通信販売の場合には、事業者が規定した返品特約(返品の可否、条件、送料の負担の表示)に従うことになりますので、返品に関する事項については、表示の省略はできません。

4 おわりに

以上のとおり、オンラインサロンを主催・運営する場合には、特定商取引法の通信販売の規制の適用を受けることになります。

オンラインサロンを主催・運営してみたいけど、Web上に自分の名前や住所、電話番号といった個人情報を掲載することに抵抗がある場合には、オンラインサロンのプラットフォームを利用することを検討してみるとよいかもしれません。

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