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広告規制については弁護士に相談すべき?メリット・注意点や適切なタイミング・費用を徹底解説

「広告規制の悩みは弁護士に相談するべきなのだろうか」
「広告規制について弁護士に相談すると、どれくらい費用がかかる?」

魅力的なキャッチコピーが、意図せず景品表示法や薬機法に抵触するケースは少なくありません。広告規制に違反した場合、関係法令により課徴金や業務停止命令などの行政処分を受ける可能性があり、企業の信頼を揺るがす重大なリスクに直結します。

しかし、複雑な法律を自社だけで完璧に把握するのは困難です。「弁護士に相談すべきか」「いつ、いくらで依頼すればいいのか」と悩む担当者も多いでしょう。

本記事では、広告規制の基本情報から、弁護士に相談する具体的なメリット、適切なタイミング、そして気になる費用相場までを徹底的に解説します。広告のリスクを事前に回避し、事業を安全に進めるためにも、ぜひ参考にしてみてください。

広告規制の対象にならないか不安な場合は、専門家に相談することが大切です。丸の内ソレイユ法律事務所は、企業の薬機法・広告・新規事業の法規制対応に詳しい弁護士が在籍しています。個々の状況に合わせて適切な解決策をご提案できるため、まずはお気軽にご相談ください。

広告規制とは?基本情報を解説

広告規制とは、事業者が行う広告活動に対して、法律で一定のルールを設けることです。消費者を保護し、公正な取引秩序を維持するために存在します。

規制の内容は多岐にわたり、業界や商品によっても適用される法律が異なります。「知らなかった」では済まされないため、事業者は広告規制に関する基本的な知識を持つことが大切です。

ここでは、広告規制の目的や背景、広告規制に関わる主な法律を紹介します。また、広告規制に違反した場合のペナルティについても解説します。

広告規制の目的と背景

広告規制の重要な目的は、消費者の保護です。消費者が虚偽や誇大な広告によって、不利益を被ることを防ぎます。

たとえば、実際よりも高い効果をうたう健康食品の広告や、お得すぎると誤解させる価格表示などが対象です。

もう一つの目的は、公正な競争環境の維持です。ルールを守らない事業者が不当に利益を得ることを防ぐことで、誠実な事業者が正当に評価される市場を維持しています。

後を絶たない悪質な広告による消費者被害や、情報化社会の進展による広告手法の多様化から、規制も時代に合わせて変化・強化され続けています。

事業者は、常に最新の規制動向を把握し、適正な広告活動を行うことが大切です。

出典:消費者庁|景品表示法

広告規制に関わる主な法律

広告規制は一つの法律で完結しているわけではありません。複数の法律が複雑に関係し合っています。

とくに重要となるのは「景品表示法」です。これらは、多くの事業者に共通して適用される可能性が高い法律です。

さらに、扱う商品やサービスにより適用される法律も異なります。たとえば、医薬品や化粧品には「医薬品医療機器等法(薬機法)」が適用されます。

以下、主要な法律とその概要を以下の表にまとめました。

法律名主な規制内容
景品表示法・優良誤認表示(品質や内容を実際より良く見せる)・有利誤認表示(価格や取引条件を実際より有利に見せる)
医薬品医療機器等法(薬機法)・医薬品、医療機器、化粧品などに関する虚偽・誇大な広告の禁止・未承認の医薬品等の広告禁止
健康増進法食品に関して、健康の保持増進の効果について著しく事実と異なる表示(虚偽誇大表示)を禁止

これら以外にも、業種特有の規制が存在します。

自社のビジネスがどの法律の対象となるか、正確に把握することが重要です。

広告規制に違反した場合の行政処分・罰則

広告規制に違反した場合、事業者は厳しいペナルティを受けることになります。これは企業の信用失墜に直結する重大なリスクです。

一般的な行政処分として、消費者庁や都道府県による「措置命令」が挙げられます。措置命令とは、違反行為の差し止めや再発防止策の実施を命じられることです。

違反の事実も公表されるため、ブランドイメージが大きく傷つきます。

その他、主な行政処分や罰則は以下のとおりです。

  • 措置命令:違反広告の差し止め、再発防止策の命令
  • 課徴金納付命令:不当表示で得た売り上げに応じた金銭的ペナルティ(景品表示法など)
  • 刑事罰(懲役・罰金):行政処分に従わない場合や著しく悪質な場合、薬機法違反などでは刑事責任を問われる

広告規制の遵守は単なるルールではなく、経営リスク管理そのものといえるでしょう。

出典:消費者庁|事例でわかる景品表示法

関連記事:広告を間違えると売上げの3%分の課徴金?!その1

広告規制について弁護士に相談するメリット

広告規制の複雑さと違反リスクを考えると、専門家である弁護士への相談は非常に有効です。

自社内での判断には限界があります。弁護士を活用することで、法務リスクを管理し、事業を安全に進めることが可能です。

ここでは、広告規制について弁護士に相談する具体的なメリットを4つ紹介します。

  • 1.法令違反のリスクを事前に回避できる
  • 2.グレーゾーンの判断を専門的にサポートしてもらえる
  • 3.社内コンプライアンス体制の構築支援が受けられる
  • 4.行政対応や訴訟リスクに備えられる

それぞれ詳細に解説するため、弁護士に相談するか悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。

1.法令違反のリスクを事前に回避できる

弁護士に相談するメリットの一つに、広告表現が法的に問題ないかを事前にチェックしてもらえる点が挙げられます。広告が公開される前に専門家のレビューを受けることで、意図しない法令違反を防ぐことが可能です。

弁護士による事前チェックでできることは、以下のとおりです。

  • 客観的な視点でのリスク評価
  • 複数の関連法規に基づいた網羅的な確認
  • 具体的な修正案(リライト案)の提示

とくに新しいキャンペーンや商品を打ち出す際は、表現が過度になりがちです。

弁護士に相談すると、景品表示法や薬機法など、関連する複数の法律を横断的に検討してくれます。そのうえで、具体的なリスク箇所を指摘し、安全な代替表現を提案してくれるでしょう。

広告が一度世に出てしまうと、問題が発覚した際の回収や訂正には多大なコストがかかります。事前のリーガルチェックは、将来的な損失を防ぐための「保険」として重要です。

2.グレーゾーンの判断を専門的にサポートしてもらえる

広告規制において、判断が難しいのが「グレーゾーン」の扱いです。法律の条文だけでは、白黒はっきりしない表現は数多く存在します。

弁護士は、法律の解釈だけでなく、過去の判例や行政の指導事例にも精通しています。これらの実務的な知見に基づき、その表現がどの程度のリスクを持つかを判断することが可能です。

自社だけで「おそらく大丈夫だろう」と判断することは危険です。専門的なサポートを受けることで、自信を持って広告戦略を実行できます。

3.社内コンプライアンス体制の構築支援が受けられる

広告規制への対応は、一度きりのチェックで終わるものではありません。継続的に法令を遵守できる社内体制の構築が不可欠です。

弁護士に相談することで、法務部門や広告担当者向けの体制構築を支援してもらえます。誰が、どの段階で、何を確認するのかを明確にルール化することが可能です。

また、広告規制に関する最新情報を共有してもらうことも可能です。弁護士を外部アドバイザーとして活用することで、社内のコンプライアンス意識全体の向上が期待できるでしょう。

具体的な構築支援の内容は、以下のとおりです。

  • 広告審査マニュアルの作成:自社の業態に合わせた具体的なOK/NG事例集を作成する
  • 社内研修の実施:営業担当者やマーケティング担当者に対し、広告規制の基本を教育する
  • 承認フローの設計:法務部門と事業部門が連携する仕組みを構築する
  • 景品表示法対応の体制整備:措置命令や課徴金のリスクに備えた管理体制を整える

4.行政対応や訴訟リスクに備えられる

どれだけ注意していても、消費者庁や都道府県などの行政機関から指摘を受ける可能性はゼロではありません。万が一、行政調査や事情聴取の連絡が来た場合、初期対応が重要です。

顧問弁護士がいれば、すぐに行政対応の窓口として動いてもらえます。弁護士が間に入ることで、冷静かつ法的に適切な回答も可能です。

担当者が慌てて不正確な説明をしてしまい、事態を悪化させるリスクを防げるでしょう。

また、競合他社から「自社の広告を模倣された」「不当な比較広告をされた」といった連絡が入った場合の対応等も相談、依頼できます。

広告規制について弁護士に相談する際の注意点

広告規制に関して弁護士に相談することは有益ですが、いくつか押さえておくべき注意点があります。

主な注意点は、以下の3つです。

  • 1.弁護士の専門分野を確認する(広告・企業法務に強いか)
  • 2.相談前に自社広告や資料を整理しておく
  • 3.弁護士に相談する目的と範囲を明確にする

以下、それぞれ詳細に解説します。

1.弁護士の専門分野を確認する(広告・企業法務に強いか)

弁護士にはそれぞれ得意とする専門分野があります。

広告規制について相談する場合、広告関連法規(景品表示法、薬機法など)や企業法務に精通した弁護士を選ぶことが大切です。

弁護士の専門性は、法律事務所のWebサイトで確認できます。「景品表示法対応」「薬機法(旧薬事法)」「広告レビュー」といったキーワードが記載されているかを確認しましょう。

専門分野を確認する際に確認すべき点は、主に以下の3つです。

  • Webサイトの「取扱分野」に広告法務や企業法務の記載があるか
  • 景品表示法や薬機法に関する記事執筆、セミナー登壇の実績があるか
  • 自社と同じ業界(例:IT、美容、健康食品、不動産)の顧問先実績があるか

可能であれば、複数の弁護士と面談し、自社のビジネスへの理解度や回答の的確さを比較検討することをおすすめします。

2.相談前に自社広告や資料を整理しておく

弁護士に相談する際は、具体的な資料を準備しておくことが重要です。漠然と「広告が心配だ」と伝えるだけでは、弁護士も的確な判断ができません。

限られた相談時間を有効に使うためにも、事前の資料整理は必須です。最低限、レビューしてほしい広告の原稿やWebサイトのURLを準備しましょう。

準備すべき資料の例は、以下のとおりです。

対象の広告物・Webページ・LP(ランディングページ)・バナー画像・チラシ原稿・動画コンテ など
関連資料・商品の仕様書、サービス概要資料・「No.1」表示などを用いる場合の根拠資料(調査データ)・競合他社の比較対象広告
経緯なぜこの表現を使いたいのか、過去に行政指導を受けた経緯はあるかなど

これらの資料を事前に共有することで、弁護士は論点を整理したうえで相談に臨めます。結果、より具体的で質の高い回答を得ることにつながるでしょう。

3.弁護士に相談する目的と範囲を明確にする

弁護士に何を依頼したいのか、その目的と範囲を明確にすることが大切です。目的が曖昧なまま依頼すると、期待したサポートが得られなかったり、費用が想定以上にかかったりする原因になります。

また、「広告表現の適法性チェックだけ」を依頼するのか、「社内マニュアル作成や研修まで含めた体制構築」まで依頼するのかによって、弁護士の工数や見積もりも大きく変わります。

以下を参考に、相談の目的と範囲の具体例を整理し、どのような形で弁護士に依頼するかを考えましょう。

弁護士への依頼内容目的と範囲の例
スポット相談・今制作中のLPが景品表示法に違反していないかレビューしてほしい
・新商品の広告表現について、法的なリスクを診断してほしい
継続的サポート(顧問契約など)・月に10件程度の広告レビューを継続的に依頼したい
・広告審査マニュアルを作成し、社内研修も実施してほしい
・行政調査が入った場合に、即時対応できる体制を整えたい

広告規制について弁護士に相談するタイミング

弁護士に相談するメリットは理解できても、具体的なタイミングに悩む人もいるでしょう。

ここでは、弁護士への相談を検討すべき4つの主要なタイミングについて解説します。

  • 1.新しく広告企画・制作をするとき
  • 2.新サービス・新商品のリリース前
  • 3.行政指導やクレーム対応が発生したとき
  • 4.継続的な広告運用を見直すとき

自社の状況と照らし合わせ、適切な時期を見極めてみてください。

1.新しく広告企画・制作をするとき

新しい広告キャンペーンやクリエイティブを制作する際は、企画の初期段階で相談するのが理想です。

広告の方向性やキャッチコピーが固まってからでは、大幅な修正が必要になる可能性があります。初期段階で相談することで、法的なリスクを織り込んだ企画立案が可能です。

とくに、以下のような広告を企画する場合は、弁護士のレビューを推奨します。

  • 比較広告:競合他社の商品・サービスと比較する表現を用いる場合
  • 最上級表現:「No.1」「最高」「世界初」などの表現を用いる場合
  • 効果・効能:健康食品や化粧品などで、具体的な効果をうたう場合
  • キャンペーン:景品や割引を提供する企画(景品表示法の景品規制に関わるため)

企画書や絵コンテの段階で弁護士のチェックを受けることで、修正を最小限に抑えることが可能です。制作が進行する前にリスクの芽を摘んでおくことで、効率的な広告制作につなげられるでしょう。

関連記事:No.1表示、高評価%表示に注意!消費者庁からNo.1表示に関する実態調査報告書が公表されました

2.新サービス・新商品のリリース前

新サービスや新商品を市場に投入する際は、そのローンチ(公開)前が重要な相談タイミングといえるでしょう。

とくに、これまで取り扱ったことのない分野の商品や、新しいビジネスモデルの場合は注意が必要です。自社が認識していない業界特有の広告規制が存在するかもしれません。

たとえば、以下のようなケースでは事前の相談が不可欠です。

  • 金融関連サービスの場合:金融商品取引法などの厳しい規制対象となる
  • 人材紹介サービスの場合:職業安定法に基づく広告規制(手数料の明示など)がある
  • 不動産関連の場合:宅地建物取引業法により、おとり広告や誇大広告が厳しく禁じられている
  • サブスクリプションサービスの場合:特定商取引法に基づき、分量・販売価格・契約期間・解約条件などを明確に表示する義務がある

サービス内容やビジネスモデル自体が、法的に問題ないかを確認することも重要です。リリース前に法務面をクリアにしておくことで、安心して事業をスタートできます。

3.行政指導やクレーム対応が発生したとき

消費者庁などの行政機関から指導や調査の連絡が入った場合は、ただちに弁護士に相談すべきです。

これは、最も緊急性が高いタイミングです。行政からの指摘を軽視したり、自社判断で不適切な対応を取ったりすると、事態が悪化する恐れがあります。

また、消費者や競合他社から広告表現に関するクレームが寄せられた場合も、早い段階での相談が賢明です。初期対応を誤ると、SNSでの炎上や訴訟に発展するリスクがあります。

弁護士に相談すべき具体的な状況は、以下のとおりです。

  • 行政機関からの通知:事情聴取・報告要求・立入検査などの通知が届いた
  • 消費者からのクレーム:「広告と内容が違う」「誇大広告だ」といった指摘が多発している
  • 競合他社からの警告:比較広告や誹謗中傷にあたるとして、内容証明郵便などが届いた

問題が発生した際は、スピードが命です。すぐに専門家と連携し、法的に正しい対応方針を決定しましょう。

4.継続的な広告運用を見直すとき

一度作成した広告でも、法律やガイドラインの改正によって、将来的に違反となるケースがあります。定期的に広告表現を見直し、最新の法令に適合しているかを確認する作業が欠かせません。

この「定点観測」のタイミングで、弁護士に相談するのが効果的です。とくに、長期間にわたり同じLP(ランディングページ)や広告バナーを使い続けている場合は注意しましょう。

社内に法務担当者がいない場合、これらの法改正をすべて自社で追うのは困難です。顧問弁護士と契約し、定期的に広告運用の健全性をチェックしてもらう体制を構築しましょう。

広告規制について弁護士に相談する費用

弁護士への相談をためらう理由の一つとして「費用」が挙げられます。広告規制に関する弁護士費用は、依頼の形式によって大きく異なるのが特徴です。

広告規制について弁護士に相談する費用には、主に次の2種類があります。

  • 顧問契約の場合の費用相場
  • スポット相談・書面確認などの費用相場

それぞれの費用相場と特徴を理解し、自社のニーズに合った形態を選びましょう。

顧問契約の場合の費用相場

顧問契約は、毎月一定の料金を支払うことで、継続的に法務サポートを受ける契約形態です。広告レビューや法律相談が頻繁に発生する企業に適しています。

費用は、企業の規模や依頼する業務範囲(月の相談時間、レビュー件数など)によって変動します。

一般的な費用相場は以下のとおりです。

契約プラン(目安)月額費用(税別)
ライトプラン(小規模)3万円〜10万円
スタンダードプラン(中規模)10万円〜20万円
プレミアムプラン(大規模・専門的)20万円以上

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顧問契約のメリットは、自社のビジネスへの理解が深まることです。

継続的に関わることで、弁護士が事業内容や業界の特性を把握しやすくなります。これにより、より迅速で的確なアドバイスが期待できるでしょう。

問題が発生した際も、優先的に対応してもらえる安心感があります。

スポット相談・書面確認などの費用相場

スポット相談は、顧問契約を結ばず、個別の案件ごとに弁護士に依頼する形態です。広告レビューの頻度が低い企業や、特定のトラブル解決だけを依頼したい場合に適しています。

費用は、作業内容や難易度に応じて、都度見積もりとなります。

一般的な費用相場は以下のとおりです。

法律相談(タイムチャージ)・30分あたり5,000円〜1万円程度(相談内容の難易度や弁護士の経験によって変動する可能性あり)
広告レビュー・書面作成(手数料)・簡易なレビュー(LP・バナーなど):A4サイズ1枚あたり1万円〜・業界特化の複雑なサポート:20万円〜・利用規約・契約書作成:10万円〜・行政対応:10万円〜

>>丸の内ソレイユの料金を見る

スポット相談のメリットは、必要な時に必要な分だけ依頼できる手軽さです。ただし、毎回弁護士を探し、自社の事業内容を一から説明する必要があります。

また、複数の案件を依頼すると、結果的に顧問契約より割高になる可能性もあります。

広告規制について弁護士に相談する費用を抑えるコツ

弁護士費用は決して安くありませんが、工夫次第でコストを最適化することは可能です。

ここでは、広告規制に関する弁護士費用を抑えるための3つの具体的なコツを紹介します。

  • 1.資料・質問内容を整理して相談時間を短縮する
  • 2.複数の弁護士に見積もりを取って比較する
  • 3.顧問契約で長期的なコストを抑える

賢く専門家を活用し、コストパフォーマンスを高めましょう。

1.資料・質問内容を整理して相談時間を短縮する

弁護士に相談する費用の多くは「タイムチャージ(時間制)」で計算されます。つまり、相談時間が長引くほど費用がかさむのが特徴です。

相談時間を短縮する効果的な方法は、事前の準備です。弁護士に相談する前に、以下の点を整理しておきましょう。

資料の準備・レビュー対象の広告原稿やURL・根拠となるデータ(「No.1」表示の調査結果など)
論点の明確化弁護士に「何を聞きたいのか」を箇条書きにする(例:「このキャッチコピーは景品表示法上問題ないか?」「A社と比較するこの表現は、法的に許容されるか?」)
背景情報の共有・なぜこの広告を打ちたいのか(目的・ターゲット)・業界の慣習や競合の動向

これらを事前にメールなどで共有しておけば、弁護士も論点を把握した上で相談に臨めます。当日に資料を探したり、話を整理したりする時間をなくすだけでも、費用は大きく節約できるでしょう。

2.複数の弁護士に見積もりを取って比較する

弁護士費用は、法律事務所によって料金体系が異なります。

そのため、顧問契約や難易度の高い広告レビューを依頼する場合は、複数の弁護士(法律事務所)から見積もりを取ることが大切です。「相見積もり」を取ることで、費用の相場感を把握できます。

見積もりを比較する際のポイントは、以下のとおりです。

  • 費用の内訳:月額料金に何が含まれているか(レビュー件数、相談時間の上限など)
  • 追加費用の有無:上限を超えた場合のタイムチャージ料金はいくらか
  • 専門性:広告規制(特に自社業界)に関する実績が豊富か
  • 相性:コミュニケーションがスムーズか、回答が分かりやすいか

この際、安さだけで選ぶのは危険です。広告規制の知見が浅い弁護士に依頼し、不適切なレビューを受けたことで行政処分に至ってしまっては意味がありません。

費用と専門性のバランスが取れた、信頼できるパートナーを選びましょう。

3.顧問契約で長期的なコストを抑える

一見すると月額費用のかかる顧問契約は、コストが高いように見えるかもしれません。しかし、広告レビューや法律相談が定期的に発生する企業にとっては、結果的にコストを抑えられるケースが多いです。

スポットで何度も依頼するよりも、顧問契約の範囲内で対応してもらう方が割安になるでしょう。顧問契約でコストを抑えられる理由は、以下のとおりです。

  • 単価の割引:スポット依頼よりも、時間単価やレビュー単価が安価に設定されていることが多い
  • 効率化:弁護士が自社のビジネスを継続的に把握するため、毎回説明する手間が省ける
  • 予防法務:トラブルが起きる前に相談できるため、訴訟や行政対応にかかる莫大な費用を防げる

月に1回以上は広告レビューを依頼する、あるいは法務相談が発生するという企業であれば、顧問契約を検討する価値は十分にあります。まずは自社の法務ニーズの頻度と量を洗い出してみましょう。

広告規制を弁護士に相談するか悩む人からよくある質問

弁護士以外で広告規制について相談できる専門家は?

弁護士以外にも、広告規制に関する相談を受け付けている専門家や機関は存在します。

ただし、それぞれ対応できる範囲が異なる点に注意が必要です。

行政書士許認可(例:化粧品製造販売業許可)に関連する書類作成の専門家です。
広告表現の「レビュー(適法性の判断)」を業として行うことは、弁護士法に抵触するため限定的です(弁護士法第72条)。
民間のコンサルタント薬機法や景品表示法に特化したコンサルティング会社があります。実務的なノウハウや「売れる表現」のアドバイスを受けることが可能です。
ただし、法的な最終判断や、行政対応・訴訟の代理はできません。
業界団体各業界(例:日本広告審査機構JARO、化粧品工業会など)が自主基準を設けており、相談窓口がある場合もあります。
詳細なチェックや、具体的なアドバイスまでは受けられないケースが多いです。

広告表現の法的な適法性を「診断・判断」し、万が一のトラブルの際に「代理人」として対応できるのは弁護士のみです。

リスクの度合いや内容に応じて、適切な相談先を選択しましょう。

どのような資料があればスムーズに相談できる?

相談をスムーズに進めるためには、弁護士が状況を正確に把握できる資料を事前に準備することが不可欠です。

最低限、以下の資料を準備しましょう。

  1. レビュー対象の広告物
  2. 広告の根拠資料
  3. 質問したい内容

これらの情報が揃っていれば、弁護士は短時間で論点を把握し、的確なアドバイスをすることが可能になります。

弁護士に相談した内容が外部に漏れる心配はある?

弁護士に相談した内容が外部に漏れることはありません。

弁護士は、弁護士法第23条により、弁護士は職務上知り得た秘密を保持する義務を負っています。正当な理由なく、相談内容や企業の内部情報を外部に漏らすことは固く禁じられているのが特徴です。

弁護士法第23条(秘密保持の権利及び義務)弁護士又は弁護士であつた者は、その職務上知り得た秘密を保持する権利を有し、義務を負う。(後略)引用:e-Gov法令検索|弁護士法

この守秘義務は、顧問契約を結んでいないスポット相談であっても同様に適用されます。

そのため、自社の未公開情報や、他社には知られたくない広告戦略についても、安心して相談することが可能です。

まとめ|広告規制について弁護士に相談し、適切に対処しよう

本記事では、広告規制の基本から、弁護士に相談するメリットや注意点、タイミング、費用に至るまでを網羅的に解説しました。

広告規制は非常に複雑で、法改正も頻繁に行われます。「知らなかった」「他社もやっているから大丈夫」という認識では、行政処分や課徴金という形で企業の信頼と利益を大きく損なう恐れがあり危険です。

リスクを未然に防ぎ、自信を持ってマーケティング活動を行うためには、広告規制に強い弁護士のサポートが不可欠です。まずは自社の広告運用状況を棚卸しし、どこに法務リスクが潜んでいるかを把握することから始めてみましょう。

広告規制の対象にならないか不安な場合は、専門家に相談することが大切です。丸の内ソレイユ法律事務所は、企業の薬機法・広告・新規事業の法規制対応に詳しい弁護士が在籍しています。個々の状況に合わせて適切な解決策をご提案できるため、まずはお気軽にご相談ください。

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