2025年6月30日、消費者庁は株式会社ハハハラボに対して、景品表示法に基づく課徴金納付命令を出しました。対象となったのは、同社が販売していた機能性表示食品「メラット」。この記事では、広告制作に関わる皆さんに向けて、今回の事案の概要をわかりやすく解説します。
■ 問題になった商品は?
- 商品名:「メラット」
- ジャンル:機能性表示食品(いわゆる“痩せるサプリ”)
■ どんな広告が問題だったの?
問題となったのは、「メラット」の広告に記載されていた以下のような表示です。
- 「3週間で60.8kg→47.2kgまで瘦せた方法がすごい!」
- 「30~60代女性が選ぶダイエットサプリ No.1」
- モニターの体験談や臨床試験のグラフなどを使い、「科学的に効果がある」と印象づける表現
これらの表示は、アフィリエイトサイトや自社のウェブサイトに掲載されていました。
■ なぜ景品表示法に違反したの?
今回の違反のポイントは、大きく分けて2つあります。
ひとつは「効果を過剰にうたった誇大広告」、もうひとつは「根拠の乏しい“ナンバーワン表示”」です。
1.“3週間で13kg減”のような誇大広告
「3週間で60.8kg→47.2kgになった」
「これを飲んで-13.6kg減!」
「たった数日でウエストが●cm細くなった」
これらの表示は、あたかも「商品を飲むだけで誰でも短期間で痩せる」ような印象を与える表現です。
消費者庁は広告表示の裏付けとなる資料の提出求めましたが、提出された資料にはこうした劇的な変化を裏づける合理的な根拠はありませんでした。
消費者庁は、「根拠資料があっても、内容が不適切・不十分であれば“合理的根拠”とは認められない」と明確にしています。つまり、効果を示す表示をするなら、それに見合った客観的かつ信頼できるデータが必要なのです。
2.“ナンバーワン表示”の信頼性が不十分
「30〜60代女性が選ぶダイエットサプリNo.1」
「★一番効果が期待できそうなダイエットサプリ」
「★お財布にも優しそうなダイエットサプリ」
などの順位表示
このような“ナンバーワン表示”も、根拠が不適切な場合には景品表示法違反になります。
今回のケースでは、ナンバーワンの根拠として提出された調査資料に対し、以下のような問題点が指摘されました:
- 調査対象が適切でなかった(実際の利用者や経験者ではない)
- 比較対象や評価方法が曖昧だった(特定の商品だけを選ばせた等)
- 調査手法が客観的とは言えない(第三者性や信頼性が不十分)
結果として、「実際の市場評価を反映していない、恣意的なナンバーワン表示」と判断されたのです。
■ 結果としてどうなった?
消費者庁はハハハラボに対して、1,086万円の課徴金を命じました。納付期限は2026年2月2日です。
■ 広告担当者が気をつけたいポイント
今回の事案からわかる重要な教訓は次のとおりです:
- 「効果あり」と書くなら、きちんと裏付け資料が必要
→ モニターの声やイメージだけではNGです。 - アフィリエイト広告も責任の範囲内
→ 外部サイトでも、自社の商品に関する表示は監督が必要です。 - 第三者調査やグラフも、根拠が弱いと違反リスクに
→ 調査設計や対象の信頼性が問われます。
広告制作における注意点
広告のキャッチコピーやグラフ、体験談などは、消費者の目を引く大事な要素ですが、効果や実績を数値で示す場合は、必ず裏づけ資料を整備することが必要です。
また、「No.1表示」や「◯%の人が実感!」といった比較・調査結果は特に慎重に扱う必要があります。調査方法・対象・質問内容まで明確にし、信頼できる第三者による調査であるかを確認しましょう。
■ まとめ
広告表現はインパクトが命ですが、やりすぎてしまうと企業として大きなリスクになります。とくに健康食品や化粧品など、効果をうたう広告は要注意。根拠資料の準備や表現の見直しを徹底し、法令に則った広告づくりを心がけましょう。
ご希望があれば、貴社広告の法令チェックや表現監修のサポートも承っております。お気軽にご相談ください。