「貼るだけで燃費が向上」「エンジン性能が改善」などの誇大な広告を行ったとして、消費者庁は自動車部品メーカーに対し課徴金命令を発出。こうした表示には合理的な根拠がないと判断され、2025年1月28日、同庁は事業者に338万円の課徴金納付を命じました。
同社には2023年2月に措置命令が発出され、その2年後に課徴金納付命令となっております。
誇大広告は消費者の誤解を招くだけでなく、企業にとっても法的リスクを伴います。本記事では、この事例をもとに、適切な広告表現のポイントや景品表示法の重要性についてお知らせします。
課徴金の金額
3,380,000円の課徴金が命じられました。
課徴金対象期間の売上は1億1276万1667円でしたので、課徴金はそのうちの3%分の金額となります。
経緯
アドパワー・ソリューションズ株式会社(以下「アドパワー」)は、自社製品「AdPower」シリーズについて、四輪車の燃費向上や馬力・トルクの向上といった効果があると宣伝していました。これらの広告は、2021年11月15日から2022年12月16日までの期間に、同社のウェブサイトやその他の広告媒体を通じて展開されていました。
しかし、消費者庁は、これらの表示が景品表示法に違反する可能性があるとして、「景品表示法第8条第3項」に基づき、アドパワーに対して表示の根拠となる合理的な資料の提出を求めました。これを受けて、同社は資料を提出しましたが、消費者庁はそれらの内容を精査した結果、広告の表示内容を裏付ける十分な合理的根拠が示されていないと判断しました。そのため、消費者庁は、同社に対して課徴金納付命令を発出することとなりました。
指摘事項
消費者庁は以下の点を指摘しました。
(1) 不適切な表示
アドパワーは商品「AdPower」、「AdPower Diesel」および「AdPower Diesel Plus」を以下のように宣伝していました:
- 燃費の改善:「エンジン燃焼効率が改善されることで燃費の改善が期待できる」
- 馬力とトルクの向上:「空気の流れがスムーズになり、馬力・トルクが向上する」
- 排ガス削減:「現地測定テストでは、-46.5%の黒煙を削減」
これらの主張について、合理的な根拠を示せなかったため、「景品表示法」に違反していると認定されました。
(2) 根拠の不十分性
提出された根拠資料は、客観的かつ実証された内容ではなく、表示された効果や性能を裏付けるものではないとされました。
(3) 消費者誤認の可能性
消費者に対し、あたかも簡単な取り付けで上記の効果が得られるかのような誤認を招く表示を行っていた点が問題視されました。
広告表現に関する注意事項:景品表示法を遵守しましょう!
〇科学的・客観的な根拠があるか確認する
- 効果や性能を強調する場合は、第三者機関の試験結果や公的なデータなど、明確な根拠を示せる資料を用意する。
- 例:「燃費が〇〇%向上!」と記載する場合、そのデータの出典や試験方法を明示する。
❌ 裏付けのない効果をうたわない
- 実証されていないのに「必ず〇〇できる」「貼るだけで〇〇が改善する」と断言しない。
- 「消費者の声」「体感レポート」などを利用する場合も、誤解を招かない表現にする。
2. 消費者を誤認させる表現は禁止
〇 比較表現は事実に基づくものにする
- 競合商品との比較をする際は、根拠を示し、比較対象を明確にする。
- 例:「他社製品より〇〇%優れている」と記載する場合、そのデータの取得方法や出典を明記する。
❌ 過度な強調表現を避ける
- 「業界No.1」「世界初」「〇〇%の人が効果を実感!」など、客観的根拠のない表現を避ける。
- 「すべての車両で効果を実感!」のような誇張表現はNG。
3. 消費者の誤解を招く広告手法を避ける
〇実験データの明確な開示
- 試験データや検証結果は、どのような条件で測定されたのかを明記する。
- 一部の条件下で得られた結果を、すべての消費者に適用できるかのように表現しない。
❌ 口コミや体験談を誇張しない
- 「お客様の声」や「ユーザーレビュー」を利用する際も、虚偽の内容や誇張された体験談を掲載しない。
- AIや画像編集で「使用前・使用後」の比較写真を作成しない。
4. 誤解を招く表示がないか最終チェック!
- ✅ 誇張表現はないか?
- ✅ 効果の根拠が明確か?
- ✅ 消費者が誤認する可能性はないか?
- ✅ 競合や公的機関の指摘を受けるリスクはないか?
広告は企業の信頼を左右します!
適切な広告表現を心がけ、消費者に正確で誠実な情報を提供しましょう。
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