令和7年2月3日、消費者庁は、caname株式会社(以下「同社」)が運営するパーソナルジム「かたぎり塾」の入会金に関する表示に景品表示法違反の疑いがあるとして、同法第30条に基づく通知を行いました。これは、令和6年に施行された改正景品表示法のもとで初めて確約手続に付された事例となります。
何が問題となったのか
同社は、自社ウェブサイト上で「表示された期限までに無料体験を行い、その当日に入会すれば50,000円の入会金が値引きされる」かのように表示していました。しかし、実際には期限を過ぎても同様の値引きが行われていた疑いがあると指摘されています。
確約手続とは
確約手続(景品表示法第30条以下)とは、違反行為またはその疑いがある行為について、事業者が自主的に是正計画を立て、それを消費者庁に認定してもらう制度です。これにより、行政処分(措置命令)の回避や軽減を図りつつ、被害を受けた消費者の救済や再発防止策を迅速に実施することができます。
今回の確約計画のポイント
- 不当表示を再び行わない旨の取締役会決議
- 違反の疑いがある表示内容を一般消費者に周知する措置
- 再発防止のための社内体制整備
- 既に支払った入会金の一部を返金するなどの救済対応
- 上記措置の実施状況を消費者庁へ報告
消費者庁は、これらの措置計画が「十分かつ確実に実施できる」と判断し、認定に至ったとしています。なお、この認定は同社の行為が法令違反と確定したわけではなく、確約計画を認めた段階にとどまります。
企業への影響と今後の留意点
令和6年施行の改正景品表示法では、問題が生じた場合、早期に誠実な対応を図り、再発防止や消費者救済策を講じることでリスクを軽減しやすくなりました。とはいえ、表示内容が「実態より優良・有利だと消費者に誤認させるおそれがあるかどうか」について、消費者庁は引き続き厳しくチェックを行うとみられます。企業としては、広告表示の適正化とコンプライアンス体制の強化を改めて検討する必要があるでしょう。
当事務所では、景品表示法をはじめとする広告表示関連法規への対応について、日々のチェック体制の構築からトラブル発生時の早期解決策のご提案まで、幅広くサポートしております。ご不明点等ございましたらお気軽にお問い合わせください。