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オープン懸賞は景表法の規制対象になる?一般懸賞との違いや上限の有無を弁護士が解説

「SNSのフォロー&リポスト企画、景品の上限額はいくらにすべき?」

「『誰でも応募OK』なオープン懸賞は景表法のことは気にしなくてもいい?」

社内のオープン懸賞企画において、このような疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

オープン懸賞は、原則として景表法の「景品規制」の対象外です。ただし、応募条件が実質的に購入や利用を伴う場合には、「クローズド懸賞(一般懸賞)」とみなされ、景表法の規制を受けるケースがあります。

この記事では、オープン懸賞の定義やクローズド懸賞との違い、景表法の規制対象となりうる具体的なケースなどを、弁護士が詳しく解説します。

オープン懸賞が景表法で規制されるケースや法的リスクを正しく理解し、安全なキャンペーンを実施しましょう。

丸の内ソレイユ法律事務所は、景表法・薬機法などの広告法務に精通した弁護士が多数在籍しています。キャンペーン企画のリーガルチェックや広告表現でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

景表法(景品表示法)における「オープン懸賞」とは?

「オープン懸賞」という言葉は、景品表示法に定めがあるわけではなく、実務上の通称です。消費者庁のガイドラインでも「取引に付随しない懸賞」として整理されています。

これは、景表法の実務上、規制の対象となる「クローズド懸賞」と区別するために使われている通称です。景表法の規制を理解するうえで、この「オープン懸賞」の定義を正しく押さえておくことが第一歩となります。

ここでは、その基本的な定義と具体的な企画例を見ていきましょう。

オープン懸賞とは「商品・サービスの利用を問わず、誰でも応募できる懸賞」

オープン懸賞とは「その企業の商品やサービスの購入・利用を条件としない懸賞企画」です。

景品表示法第2条第3項が定める「景品類」(取引に附随して提供する経済上の利益)に該当しないため、景品規制の対象外となります。実務上、「取引付随性のない懸賞」とも呼ばれますが、これは法令用語ではなく、規制対象となる懸賞と区別するための通称です。

取引付随性とは、懸賞への応募が商品購入やサービス利用、あるいは来店などを条件としていることを意味します。オープン懸賞にはこの取引付随性がないため、消費者が過大な景品に釣られて不利益な取引(質の悪い商品を買ってしまうなど)をするリスクがありません。

よって景表法が定める景品の上限額規制(景品規制)の原則として対象外とされています。

オープン懸賞とみなされる企画例

オープン懸賞に該当する企画は、私たちの身の回りにも多く存在します。

これらの共通点は、その企業の商品やサービスを持っていなくても、誰でも応募できる点です。具体的な例としては、以下のようなものが挙げられます。

オープン懸賞とみなされる企画の例詳細
Webサイトでの応募誰でもアクセスできる特設ページで、クイズやアンケートに回答して応募する企画
SNSでの応募・X(旧Twitter)で特定のアカウントをフォローし、対象の投稿をリポスト(リツイート)する
・Instagramで公式アカウントをフォローし、キャンペーン投稿に「いいね」やコメントをする
ハガキでの応募新聞や雑誌の広告に掲載されたクイズに答え、誰でもハガキで応募できる懸賞

上記の例に共通する点は、応募のために経済的な負担を伴わないことです。Webサイトの閲覧、SNSのフォロー、ハガキの投函は、基本的に誰でも無料で行えます。商品購入者でなくても参加できるため、広範な認知拡大やブランディングに有効な手法といえるでしょう。

ただし、オープン懸賞に該当するかどうかは「手法」ではなく「条件」で判断されるという点に注意が必要です。

同じSNSでの応募であっても、条件が「商品購入者限定」や「購入した商品の写真投稿」であれば「取引付随性あり」とみなされ、クローズド懸賞(一般懸賞)として景品の上限額規制の対象となる可能性があります。

「誰でも気軽に応募できるか」という実態が、オープン懸賞か否かを分ける基準となります。

オープン懸賞とクローズド懸賞(一般懸賞・共同懸賞・総付景品)の違い

オープン懸賞を実施する際は、景表法の規制対象となる「クローズド懸賞」との違いを理解することが、リスク管理において最も重要です。

両者を分ける決定的な違いは、「取引付随性」の有無と、それによる「景品規制」の適用の有無です。それぞれの違いについて、詳しく解説します。

1. 商品購入などが応募条件となるか(取引付随性の有無)

オープン懸賞とクローズド懸賞を分ける最大のポイントは、取引付随性があるかないかです。

オープン懸賞が「取引付随性がない懸賞(購入・利用が条件ではない)」であるのに対して、クローズド懸賞は「取引付随性がある懸賞(購入・利用が条件である)」とされます。

また、景表法の「景品規制」の対象となるクローズド懸賞は、さらに以下の3つのタイプに分類されます。

クローズド懸賞のタイプ内容
一般懸賞商品購入者や来店者に対し、抽選やくじなど偶然性によって景品を提供するもの「商品購入者の中から抽選で100名様にプレゼント」
共同懸賞複数の事業者が共同で実施する一般懸賞「商店街の福引」「複数メーカー合同キャンペーン」
総付景品商品購入者や来店者全員に、もれなく提供するもの(ベタ付け景品とも呼ばれます)「今なら全員に〇〇プレゼント」「おまけ付き」

キャンペーンを企画する際は、「取引付随性の有無」を確認した上で、どの懸賞タイプに該当するかを正確に把握することが重要です。

2. 景表法上の「景品規制」の対象となるか

取引付随性の有無によって、景表法上の「景品規制(景品類の価額の上限規制)」の対象になるかが決まります。

クローズド懸賞は、取引に付随して提供されるため、景品規制の対象となります。一方、オープン懸賞は、取引に付随しないため、景品規制の原則、対象外です。

この違いをまとめると、以下の表のようになります。

懸賞の種類取引付随性(購入条件など)景表法の景品規制景品の上限額
オープン懸賞なし(誰でも応募可)原則対象外原則なし
クローズド懸賞あり(購入者・来店者限定など)対象あり(一般懸賞・共同懸賞・総付景品で異なる)

自社のキャンペーンの企画時は「景品規制」の対象になるかどうかを正しく判断しましょう。

オープン懸賞に景表法の上限額は適用される?

オープン懸賞の最大の魅力は、景品の上限額が原則ないことによる企画の自由度の高さです。ただし企画の内容によっては景表法の規制対象になるケースもあるため注意が必要です。

本章を参考に、オープン懸賞の景品上限額が「原則なし」といわれる理由と、例外ケースについて正確に理解しておきましょう。

オープン懸賞の景品上限額は「原則なし」

前述の通り、オープン懸賞は「取引付随性」がない企画を指します。商品購入などを条件としないため、景表法が定義する「景品類」に該当しません。

景表法の景品規制は、あくまで取引に付随する景品が対象です。そのため、オープン懸賞にはクローズド懸賞(一般懸賞など)の上限額が適用されないのです。よって、理論上は1,000万円の賞金や、高級車を提供することも景品表示法上は可能です。

ただし、あまりに高額な景品を提供する場合、企画全体が過度に射幸心を煽るものとして、公序良俗違反(民法|第90条)に抵触するリスクがあります。場合によっては、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の他法令に抵触するケースもあるでしょう。

また、応募に際して金銭等の対価を徴収する場合は、刑法上の賭博罪(刑法|第185条)に該当するリスクもあるため、無料応募を前提とすることが重要です。

企画内容によっては景表法の規制対象になる可能性あり

オープン懸賞においては「原則なし」というルールが、実務上の大きな落とし穴となるケースがあります。

オープン懸賞にあたるかどうかは、キャンペーンの形式や名称ではなく、その「実態」で判断されるためです。例えば「誰でも応募可能」と掲げている企画であっても、商品購入者でないと応募が困難な条件になっているなど、応募条件が実質的な取引を伴うケースです。

このような企画は「取引付随性あり」と判断され、クローズド懸賞(一般懸賞)として扱われる可能性があります。

景表法が定める一般懸賞の対象となる場合は、景品価額の上限(取引価額の20倍または10万円まで)や、景品総額(売上予定総額の2%まで)を遵守しなくてはなりません。

オープン懸賞が景表法の規制対象になりうる4つのケース

具体的にどのような企画が「実態はクローズド懸賞」と判断されるリスクがあるのでしょうか。

ここでは、オープン懸賞のつもりで企画したものの、景表法の規制対象となりうる代表的な4つのケースを解説します。自社の企画がこれらに該当しないか、慎重に確認してください。

1. 会員登録が必要なケース|実質的な顧客の囲い込みと見なされるリスク

懸賞応募の条件として、無料の会員登録やメールマガジン登録を必須とする場合、景表法の規制対象になる可能性があります。

一般的に、会員やメールマガジンへの登録は、それ自体が無料であり商品購入とは異なるため「オープン懸賞(景表法の規制対象外)」と認められます。

しかし、その登録プロセスが実質的に取引への「入口」として機能している場合は注意が必要です。形式上は無料でも、実態として商品購入や有料サービス加入への誘導が強ければ、景表法上の判断は変わります。

具体的に、景表法の規制対象となるリスクがあるのは、以下のようなケースです。

  • 登録フォームが商品購入ページと一体化しており、購入しないと登録しづらい導線になっている
  • 登録完了後、有料プランへの加入を執拗に推奨する画面が表示され、それを断ると応募が完了しない

上記のようなケースは、単なる情報収集目的の登録とは異なり、実質的な顧客の囲い込み、すなわち取引への強い誘導と判断される可能性があります。

よって「取引付随性がある(クローズド懸賞)」と見なされ、景表法の規制対象になるリスクがあるため注意が必要です。

来店が取引に強く結びついていると判断され、クローズド懸賞(一般懸賞)と見なされる可能性があります。

2. SNSでの特定投稿が条件のケース|購入者限定企画と誤認されるリスク

「特定の商品Aの写真を撮って、ハッシュタグ『#商品A使ってみた』を付けて投稿すること」を懸賞の応募条件にするケースでは、景表法の規制対象になる場合があります。

この条件では、商品Aを購入しなければ応募が事実上困難です。中古品を入手するなどの例外を除き、ほとんどの応募者は新規購入を迫られることになるでしょう。「誰でも応募可能」とうたっていても、実態は「購入者限定懸賞」と何ら変わりがありません。

これは取引付随性ありと明確に判断される典型的な例であり、オープン懸賞ではなく一般懸賞として、景品規制(上限額)の対象となります。

オープン懸賞として実施する場合は「フォロー&リポスト」のように、商品購入が不要な条件設定に見直す必要があります。

4. アプリ内の特定操作が必要なケース|サービス利用が前提と見なされるリスク

無料アプリをダウンロードし、その中の特定の機能を使うことが応募条件となるケースで、景表法の規制対象になるケースも存在します。

例えば「レベル5までクリアする」「特定のアイテムを入手する」といった条件です。アプリの利用自体は無料であり、一見すると取引には該当しないように思えます。しかし、その操作の「難易度」や「課金との関連性」が問題となるのです。

このような条件で、景表法の規制対象になる可能性があるのは以下のようなケースです。

  • 応募条件(例:レベル5)の達成が、有料アイテムを購入しないと事実上不可能なほど高難易度に設定されている
  • 応募に必要な操作自体が、有料プランの利用を前提とした機能である

応募条件となっている操作に有料課金への強い誘導が含まれるなど、単なる手続きの範囲を超える場合は「サービス利用(取引)」そのものと評価されます。結果として「取引付随性あり」と判断され、クローズド懸賞として景品規制の対象となるリスクが生じるのです。

オープン懸賞で景表法の規制対象にならないために注意すべき3つのポイント

意図せずクローズド懸賞と見なされるリスクを避け、安全にオープン懸賞を実施するためには、どのような点に注意すべきでしょうか。

企画担当者が押さえておくべき、実務的な3つのポイントを解説します。

1. オープン懸賞の企画段階で法的リスクを確認しておく

オープン懸賞で景表法の規制対象にならないために最も重要なポイントは、企画の立案段階で法的リスクを検討することです。

キャンペーン開始後に「クローズド懸賞」と判断されると、景品の上限額違反となりかねません。

後からの修正は、多大なコスト増や信用の失墜につながります。「本当に誰でも、金銭的・時間的負担なく応募できるか」という視点が不可欠です。

下記のような視点で応募条件を厳しくチェックし「取引付随性があると判断されないか」を確認しましょう。

  • 応募のために、商品の購入が事実上必要になっていないか?
  • 応募のために、有料サービスへの登録や課金が必要になっていないか?
  • 応募のために、店舗への来店や特定行動を強制し、それが購入への強い誘導になっていないか?

これらの懸念が少しでもある場合、応募条件の見直しが求められます。例えば「商品写真の投稿」から「公式アカウントのフォロー」へ変更するなどです。

誰でも参加しやすい条件設定こそが、オープン懸賞の基本となります。

2. 応募規約の作成時は必須項目をチェックする

オープン懸賞は景品規制の対象外ですが、応募規約の整備は不可欠です。

応募規約は、応募者との不要なトラブルを未然に防ぐ役割があります。また、景表法のもう一つの柱である「表示規制」の観点からも重要です。

景品内容や当選者数を事実に反して記載すると、有利誤認表示を問われる恐れがあります。応募者が誤解しないよう、明確な情報を記載しましょう。

応募規約の項目の例応募規約への記載例
応募資格・日本国内にお住まいの方
・20歳以上の方(アルコール類が景品の場合など)
・当社の関係者および本キャンペーン関係者の応募はできません など
応募方法X(旧Twitter)の場合:
1.公式アカウント(@example)をフォロー
2.対象のキャンペーン投稿をリポスト など
応募期間2025年11月1日(土)10:00~2025年11月15日(土)23:59(JST) など
景品の内容と当選者数・A賞:〇〇旅行券(10万円分)1名様
・B賞:新製品〇〇詰め合わせセット10名様
・C賞:オリジナルクリアファイル100名様
※景品の種類や色はお選びいただけません など
抽選・発表方法・応募期間終了後、厳正なる抽選の上、当選者を決定いたします
・景品の発送をもって、当選の発表とかえさせていただきます など
注意事項・禁止事項・ご応募はお一人様1回限りとさせていただきます
・複数アカウントを使用しての応募や、同一人物による複数応募が発覚した場合、当選資格を無効とします など
個人情報の取り扱い・お預かりした個人情報は、景品の抽選、発送、および本件に関する諸連絡にのみ利用いたします
・当社の個人情報保護方針(プライバシーポリシー)はこちら など

3. 抽選や当選者の選定は公正に行う

抽選や当選者の選定における公正さは、景表法違反とは別に、企業の信頼性(レピュテーションリスク)に関わる重大な問題です。

抽選プロセスの透明性と公平性は、消費者の信頼の基盤です。「厳正な抽選」とうたいながら、実際は関係者を意図的に当選させる行為は許されません。

いわゆる「やらせ」が発覚した場合、SNSなどで激しく追及される可能性が高いです。企業のブランド価値は大きく毀損され、信用の回復は非常に困難になるでしょう。専用の抽選ツールを利用する、あるいは第三者の立ち会いのもとで抽選を行うなどの対策が有効です。

オープン懸賞や景表法に関するよくある質問

オープン懸賞に表示規制はありますか?

オープン懸賞にも、景品表示法の「表示規制」はあります。

オープン懸賞は上限額の規制対象外でも、「表示内容が実際と異なる」「誤解を招く」場合は景表法の表示規制違反になります。特に「当選確率No.1」などの客観的根拠がない表現はNGです。

表示規制とは、消費者をだますような不当な広告(ウソや大げさな表現)を禁止するルールです。懸賞企画の告知や広告も、この規制の対象となります。例えば、以下のような表示は不当表示として問題になる可能性があります。

不当表示の種類内容と具体例
優良誤認表示景品やサービスの内容が、実際よりも著しく優れていると誤解させる表示。
例:「当選確率No.1」(客観的な調査データがない場合)
有利誤認表示景品の価値や当選者数などが、実際よりも著しく有利であると誤解させる表示。
例:「当選者100名様」と表示しつつ、実際は10名しか当選枠がない。
おとり広告提供する意思や予定のない、非常に豪華な景品を掲載する行為。
例:高級車を景品に掲げ応募を集めるが、実際には当選者を用意していない。

景品の上限額がないからといって、広告内容まで自由になるわけではありません。消費者に誤解を与えない、正確な情報発信を心がける必要があります。

オープン懸賞のメリットは何ですか?

オープン懸賞のメリットは、主に「広範な認知拡大」と「景品設定の自由度の高さ」にあります。具体的なメリットは以下のとおりです。

メリット具体的な内容
広範な認知拡大・購入条件がないため、商品を知らない潜在層も含め、非常に多くの応募が期待できる。
・SNSのフォロー&リポスト企画などで、情報が爆発的に拡散しやすい。
景品設定の自由度・原則として景品の上限額がないため、話題性の高い高額な景品(例:旅行、車)を設定できる。
・キャンペーンの注目度を最大化させ、メディアに取り上げられる可能性も高まる。
ブランディング・クイズやアンケートと組み合わせることで、企業理念やブランドの特徴を伝えるきっかけを作れる。
・社会貢献活動の一環として実施するなど、企業イメージの向上にも寄与する。

オープン懸賞は、商品購入の必要がないため、既存顧客以外にも広くアプローチできる点が魅力です。特にSNSの拡散力を活用したキャンペーンと非常に相性が良い手法といえるでしょう。

オープン懸賞とクローズド懸賞は同時に実施できますか?

オープン懸賞とクローズド懸賞は、同時に実施すること自体は可能です。ただし、オープン懸賞とクローズド懸賞は景表法上のルールが異なるため、明確な整理にする必要があります。

応募者(消費者)が、それぞれの企画を明確に区別できる状態にするためにも、以下のように応募条件と景品を完全に分けて運用しましょう。

企画の区別例応募条件景品
企画1(オープン懸賞)SNSフォロー抽選で100名様にA賞(景品規制なし)
企画2(クローズド懸賞)商品購入者の中から抽選10名様にB賞(景品の上限額規制あり)

なお、このケースの企画2(クローズド懸賞)は、一般懸賞としての上限額規制を遵守する必要があります。

万が一、二つの企画が混同され、オープン懸賞への応募にも購入が必要だと誤認された場合、そのオープン懸賞が「取引付随性あり」と判断されるリスクが生じるため注意が必要です。

オープン懸賞で景表法に違反した場合の罰則は?

オープン懸賞に関連する違反は、主に2つのパターンで発生します。それぞれに違反した場合の罰則・ペナルティは以下のとおりです。

違反のパターン内容ペナルティ
1. 景品規制違反実態が「取引付随性あり」(クローズド懸賞)と判断され、景品の上限額を超過するケース・行政処分として消費者庁による措置命令の対象
・措置命令に従わない場合、以下のペナルティが科される可能性あり
個人:2年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金またはこれらの併科
法人:3億円以下の罰金
参照:不当景品類及び不当表示防止法|第46条不当景品類及び不当表示防止法|第49条第1号
2. 表示規制違反景品の内容や当選者数を偽るなど、広告内容が不当なケース
(例:提供予定のない景品を掲載する「おとり広告」など)
・行政処分として消費者庁による措置命令の対象
・措置命令に従わない場合、以下のペナルティが科される可能性あり
個人:2年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金またはこれらの併科
法人:3億円以下の罰金
・100万円以下の罰金を科す直罰規定
・違反内容が悪質な場合、課徴金納付命令が加わる可能性がある。(課徴金額は、原則として不当表示に関連する商品の売上額の3%)
参照:不当景品類及び不当表示防止法|第8条

これらの違反があった場合は、いずれも行政処分として消費者庁による措置命令の対象になります。措置命令とは、違反行為の中止や再発防止策の実施を命じるものです。

また、いずれの場合でも、違反事実は消費者庁のサイトで原則公表されることになります。法的なペナルティ以上に、企業の信用が失墜する「レピュテーションリスク」が最大の損害といえるでしょう。

まとめ|オープン懸賞や景表法のリスクを理解し、迷った際は弁護士へ相談しよう

オープン懸賞は、商品購入を条件としないため、原則として景表法の景品上限額の規制対象外です。そのため、高額な景品を設定でき、SNSなどを活用した大規模な認知拡大に有効な手法です。

しかし、「誰でも応募可能」とうたっていても、その実態として商品の購入やサービスの利用に強く結びついていると判断されれば、クローズド懸賞として規制対象になります。

また、景品の上限額がなくても、「表示規制」には服するため、景品内容や当選者数を偽ることは許されません。

「この応募条件は、取引付随性ありと見なされないか?」と、キャンペーン企画で少しでも判断に迷った場合は、景表法に精通した弁護士への事前相談が不可欠です。安全なキャンペーン設計は、企業の信頼を守るための重要なリスクマネジメントです。

広告表現に関するお悩みは、丸の内ソレイユ法律事務所にご相談ください。経験豊富な弁護士が、貴社の信頼を守り、効果的なマーケティング活動をサポートいたします。

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