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景表法(景品表示法)とは?ガイドラインの内容や注意すべき広告表現を弁護士が解説

「この広告表現、『お客様満足度No.1』と表示しても大丈夫だろうか?」
「『期間限定セール』のルールがよくわからない。もし違反したらどうなるのだろう?」

商品の広告・マーケティング活動を行う際、このように悩んでいませんか。

景品表示法(景表法)は、消費者が不当な広告や景品に惑わされないよう、事業者が守るべきルールを定めた法律です。

正しい知識を持てば、意図せぬ違反のリスクを避け、効果的なマーケティング活動を行うことができます。

この記事では、景表法の実務に携わる弁護士が、景表法の基本から具体的な規制内容、違反しないための対策までを徹底的に解説します。

消費者の信頼を得ながら効果的なマーケティング活動を行うために、景表法のルールを正しく理解しておきましょう。

弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所は、顧問契約数100以上の実績を持つ薬機法・景表法・特商法リーガルチェックに強い弁護士事務所です。広告表現にお悩みの担当者様は、お気軽にご相談ください。

景表法(景品表示法)とは?定義や規制対象を解説

景表法は、消費者向けのビジネスを行うすべての事業者にとって、日々の活動に直結する重要な法律です。

「うちは大企業ではないから関係ない」「広告は外部に委託しているから大丈夫」といった誤解が、思わぬ違反につながるケースも少なくありません。

まずは、景表法がどのような目的のために存在するのか、そして誰が規制の対象となるのか、という最も基本的な定義から見ていきましょう。

景表法とは「消費者の自主的・合理的な選択」を守るための法律

景表法の正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」です。(参照:消費者庁|景品表示法

この法律の一番の目的は、消費者が商品やサービスを選ぶ際に、事実と異なる表示や過剰な景品に惑わされることなく、自分の意思で納得して選択できる環境を守ることにあります。

景表法が成立したのは、1962年です。景表法成立の背景には、その当時に、ニセ缶事件、果汁の偽装、不動産広告の偽装、過大な景品提供などが起きていたからです。欺瞞的な広告や過大広告は当時も、独占禁止法で禁止されていたものの、独占禁止法の特例として景品表示法が制定されました。

そこで景表法は、消費者の合理的な選択を妨げる主な要因として、以下の2点にルールを設けました。

  • 広告や宣伝における「表示」
  • おまけや賞品などの「景品」

これらを適切に規制することで、消費者が安心して買い物できる公正な市場を確保する役割を担っているのです。

規制対象は「商品・サービスを提供するすべての事業者」

景表法の規制対象は非常に広く、消費者の誤認を防ぐことを目的としているため、原則として日本国内で一般消費者に商品やサービスを供給するすべての事業者が対象となります。

これは大企業だけでなく、中小企業や個人事業主、フリーランスも同様であり、製造業、小売業、サービス業といった業種も問いません。

また、規制が適用される「表示」の媒体も同様に幅広く、消費者の目に触れるあらゆるものが該当します。

媒体の種類具体例
パッケージ・容器商品のラベル、箱、包装紙
印刷物チラシ、カタログ、パンフレット、新聞・雑誌広告
ウェブサイト公式サイト、ECサイト、LP、ブログ
SNSInstagram、X(旧Twitter)、Facebook、TikTokなどでの投稿や広告
映像・音声テレビCM、ラジオCM、動画広告
人的な伝達店頭でのセールストーク、電話勧誘

この表からも分かる通り、消費者の目に触れる可能性のある、ほぼすべての情報伝達手段が「表示」に該当します。

インフルエンサーに依頼したPR投稿なども、事業者の「表示」と見なされます。広告であることを隠して宣伝する「ステルスマーケティング」は、2023年10月から景表法違反の対象となりました。(参照:消費者庁|令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。

事業者は、自社が直接管理する媒体だけでなく、アフィリエイターやインフルエンサーによる表示内容にも責任を負う可能性があると認識する必要があるのです。

景表法による2つのルール

景表法という法律本体が定める重要なルールは、大きく分けて以下の2つです。

  • 不当表示の禁止
  • 景品類の制限

消費者庁などが公表する「景表法ガイドライン」は、これらの法律のルールを具体的にどのように運用するか、その解釈基準を示したものです。

なお、ガイドラインは法律そのものではなく、行政機関の運用指針として位置づけられます。消費者庁が違反判断を行う際の実質的な基準となるため、事業者は参照することが求められるのです。

「不当表示の禁止」も「景品類の制限」も、事業者が広告やキャンペーンを行ううえで、必ず押えておくべき重要なルールです。

ここでは、この2つの柱について、それぞれ具体的に解説します。

1.不当表示の禁止

「不当表示の禁止」とは、商品やサービスの内容、価格などの取引条件について、消費者に誤解を与えるような不当な表示を禁止するルールを指します。

これは、広告で伝えられる情報が事実に基づいたものであることを保証するための規制です。

具体的に禁止されているのは、以下の3種類です。

種類内容具体例
優良誤認表示商品の品質や規格が、実際のものよりも著しく優れていると消費者に誤解させる表示「シミが消える」「No.1」「最高級」など(客観的根拠が必要)
有利誤認表示価格や取引条件が、実際よりも著しく有利であると消費者に誤解させる表示「期間限定」「今だけ半額」「通常価格1万円」など(価格の根拠が必要)
その他誤認されるおそれのある表示上記以外で、消費者の誤解を招く可能性があるとして内閣総理大臣が特に指定する表示「原産国」「おとり広告」「ステルスマーケティング」など

参照:消費者庁|優良誤認とは消費者庁|有利誤認とは消費者庁|表示規制の概要

これら3つの表示は、いずれも消費者が商品やサービスを正しく評価するのを妨げるため、厳しく禁じられています。

事業者は、広告表現がこれらのいずれかに該当しないか、常に客観的な根拠を持ってチェックする必要があるのです。

2.景品類の制限

「景品類の制限」とは、事業者が顧客を呼び込むために提供する景品類(おまけや賞品など)の最高額や総額を制限するルールのことです。

これは、消費者が過剰な景品に釣られて、質の悪い商品や割高なサービスを購入してしまう事態を防ぐことを目的としています。

景品の種類は、提供方法によって主に以下の3つに分けられます。(参照:消費者庁|景品規制の概要

景品の種類内容具体例
一般懸賞懸賞(※)のうち、共同懸賞ではないもの「購入者の中から抽選で100名様にプレゼント」
共同懸賞複数の事業者が共同して行う懸賞(※)であって、次のいずれかの要件を満たすもの

①一定の地域における小売業者又はサービス業者の相当多数が共同して行う場合
②一の商店街に属する小売業者又はサービス業者の相当多数が共同して行う場合(ただし、中元、年末等の時期において、年3回を限度とし、かつ、年間通算して70日の期間内で行う場合に限ります。)
③一定の地域において一定の種類の事業を行う事業者の相当多数が共同して行う場合
「商店街の福引」「複数メーカー合同キャンペーン」
総付景品(そうづけけいひん)一般消費者に対して、懸賞(※)によらないで景品類を提供すること。なお、購入者に限らず、来店者に景品を渡すことも含まれます。「今なら全員に〇〇プレゼント」「おまけ付き」など

※懸賞とは、①くじその他偶然性を利用して定める方法、②特定の行為の優劣又は正誤によって定める方法によって、景品類の提供の相手方又は提供する景品類の価額を定めることをいいます。

景品の上限額は、この分類や取引価額によって細かく定められているため、キャンペーンなどを企画する際は、どの種類に該当するのかを事前に確認しておきましょう。

【業界別】景表法で特に注意すべき表現の例

景表法のルールは全ての事業者に共通ですが、取り扱う商材ごとに違反につながりやすい表現が存在します。

ここでは、特にご相談の多い以下の3つの業界ごとに注意すべき表現の例を取り上げました。

自社の商品・サービスが該当しないか、それぞれの具体的な注意点を見ていきましょう。

【EC・通販業界】二重価格表示、打消し表示のルール

ECサイトや通販業界では、特に以下の2つの表示ルールについて注意が必要です。

  • 二重価格表示
  • 打消し表示

これらは、先に解説した「有利誤認表示」に直結しやすい、重要なポイントです。それぞれのルールを具体的に見ていきましょう。

二重価格表示のルール

二重価格表示とは、「通常価格10,000円→セール価格5,000円」のように安さを強調する手法です。

この表示が法的に認められるには、比較対象となる「通常価格」に客観的な根拠がなければなりません。

根拠が曖昧な価格を「通常価格」として表示すると、消費者に「実際よりも大幅に安くなった」という誤解を与え、景表法違反(有利誤認表示)となる可能性があります。

比較対象価格の種類法律を満たすための条件法律違反となる具体例
過去の販売価格・「最近相当期間にわたって販売されていた価格」であること
・原則として、セール直前の8週間のうち4週間以上の販売実績が必要。
・セール直前に1日だけ価格を吊り上げ、それを通常価格として表示する
・1年以上前に販売していた古い価格を、通常価格として表示する
将来の販売価格・セール終了後に、その価格で販売することが確実な場合に限られる・「セール後は8,000円」と表示しつつ、セール後も同じ価格で販売を続ける計画である
希望小売価格・製造業者などが設定し、カタログなどで事前に公表している価格であること・小売店が自ら任意に設定した価格を「メーカー希望小売価格」と偽る

消費者庁のガイドラインでは、この比較対象価格として認められるためのルールが詳細に定られています。上記のように、二重価格表示を行う際には比較対象価格ごとに細かな要件が設けられています。

これらの条件を満たさないまま表示すると、消費者に誤解を与えるおそれがあり、結果として景表法違反に問われる可能性もあるでしょう。

打消し表示のルール

「打消し表示」とは、例えば広告本文で「誰でも痩せる!」とうたっている横に、小さく「※効果には個人差があります」と書き添えるような、強調表示に対する例外や制限を示す注記のことです。

ECサイトや通販では、この打消し表示が非常に小さい文字で書かれていたり、スクロールしないと見えない場所に配置されていたりするケースがよく見られます。

しかし、消費者が認識できないような打消し表示は、法的にその効力が認められません。打消し表示が、強調されている本体の表示内容から受ける印象を覆すほど明確で分かりやすいものでない限り、不当表示と判断されるリスクがあります。

小さな文字や分かりにくい場所での注記に頼るのではなく、広告全体として消費者に誤解を与えない表示を心がけましょう。

【健康食品・化粧品業界】効果・効能に関する表現と薬機法との関係

健康食品や化粧品業界は、景表法に加えて薬機法(やっきほう)という、もう一つの重要な法律によって厳しく規制されています。

薬機法とは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律です。(参照:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律|第1条

両者は審査する観点が異なるため、広告表現をチェックする際は、この2つの法律の関係性を理解しておくことが重要です。

法律名審査の観点具体的な規制内容
薬機法表現の可否医薬品的な効果効能(例:「病気が治る」「シミが消える」)をうたうこと自体を禁止する
景表法根拠の有無表示された効果を裏付ける合理的・客観的な根拠があるかを審査する(根拠がなければ「優良誤認表示」となる)

たとえ薬機法で認められている表現(例:化粧品について、「肌の乾燥を防ぐ」)であっても、その効果を裏付ける客観的なデータがなければ、景表法の「優良誤認表示」に問われる可能性があります。

どちらか一方でも違反すれば法的な処分の対象となるため、特に慎重な対応が求められるのです。

【教育サービス・情報商材業界】「誰でも稼げる」等の誇大表現

学習塾、資格スクール、自己啓発セミナー、情報商材などの業界では、受講者の成果を過度にアピールする表現が問題となりがちです。

例えば、「誰でも月収100万円稼げる」や「100%合格保証」といった表現は、景表法の「優良誤認表示」に該当するリスクが非常に高くなります。

これらのサービスの効果は、受講者本人の努力や才能、市場環境など、多くの不確定要素に左右されます。

そのため、「誰でも」「絶対に」といった断定的な表現の効果を、客観的かつ合理的なデータで裏付けることは事実上困難です。

消費者庁から表示の根拠を示す資料の提出を求められた際に合理的な根拠を示せなければ、不当表示とみなされる「不実証広告規制」というルールもあります。ただし、不実証広告規制は課徴金納付命令の手続においては推定に留まります。

過去には、大手進学塾が講師の学歴を「国公立大出身講師98%」と表示していたものの、実際は14%に過ぎなかったとして措置命令を受けた事例もありました。(参照:公正取引委員会|平成26年度の処理事件

実績をアピールする際は、必ず正確なデータに基づき、誤解を招かない表現にすることが不可欠です。

景表法に違反した場合のリスク・ペナルティとは?

もし景表法に違反してしまった場合、「知らなかった」「うっかりしていた」では済まされません。

企業が直面する具体的なリスクやペナルティは、行政処分から刑事罰、そして事業の存続に関わる信用の失墜まで多岐にわたります。

景表法違反のおもなリスク・ペナルティは、以下のとおりです。

リスク・ペナルティの種類内容
措置命令(行政処分)・違反行為の中止、再発防止策の実施を命じられる
・違反事実が消費者庁のウェブサイトで公表され、社会的信用が傷つく
課徴金納付命令(金銭的ペナルティ)・対象となるのは、優良誤認表示や有利誤認表示(第5条第1号・第2号) 
・原則として、違反期間中(最大3年間)の対象商品売上額の3%が課徴金として徴収される
・一定の要件を満たす悪質な事案の場合、課徴金額が1.5倍に加算される(参照:消費者庁表示対策課|【令和6年10月1日施行】改正景品表示法の概要
刑事罰1:直罰規定(景品表示法第48条) 故意に優良誤認表示や有利誤認表示を行った場合、措置命令を経ずに刑事罰の対象となる可能性がある(令和5年改正・令和6年10月1日施行)
・個人:100万円以下の罰金 
・法人:100万円以下の罰金(両罰規定)
刑事罰2:措置命令違反(景品表示法第46条) ・措置命令に従わない悪質なケースが対象
・個人:2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(併科可能) 
・法人:3億円以下の罰金(両罰規定)
刑事罰3:報告義務違反(景品表示法第47条) ・報告・資料提出命令に違反または虚偽報告をした場合
・個人:1年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金 
・法人:300万円以下の罰金(両罰規定)
信用の失墜(レピュテーションリスク)・違反事実の公表や報道、SNSでの拡散により、顧客や取引先からの信頼を失う
・法的なペナルティ以上に、事業の存続に大きなダメージを与える可能性がある

このように、景表法違反は金銭的な負担だけでなく、企業のブランドイメージや信頼を根本から揺るがす重大な事態につながるのです。

【企業担当者向け】景表法に違反しないための3つの対策

景表法違反のリスクを避けるためには、日頃からの体制づくりが重要です。ここでは、企業担当者がすぐに実践できる、以下の3つの基本的な対策を紹介します。

  • 表示内容の「裏付け」を確認する(ただし、薬機法等の他法令に注意)
  • 法律・ガイドラインと「照合」する
  • 消費者目線で「誤解」を生まないか確認する

順番に見ていきましょう。

1.表示内容の「裏付け」を確認する(ただし、薬機法等の他法令に注意)

広告で何らかの具体的な事実を主張する場合、その根拠となる客観的な資料を広告に出す前に必ず用意しておくことが基本となります。

なぜなら、景表法には「不実証広告規制」というルールが設けられているためです。

これは、万が一、消費者庁から「その広告の根拠を見せてください」と求められた際に、合理的な根拠を示せなければ、それだけで不当表示とみなされてしまう、事業者にとって厳しいルールです。(参照:消費者庁|不実証広告規制

チェック段階内容具体例
景表法上の裏付け主張する内容(品質、性能、実績)について、客観的な根拠(データ)があるかを確認する。・「顧客満足度No.1」
→信頼できる第三者機関の調査データ
・「除菌率99.9%」
→公的な試験機関のレポート

景表法上の裏付けに関しては、過去に空間除菌ができるとしていた商品が、実際は空中を浮遊するウイルスや除菌には効果を裏付ける根拠がないとして、措置命令が出された事例もあります。この事例においては、事業者が有しているデータの前提条件と実際に使用される状況とが異なるということが評価を左右したと言われています。広告をする際には、事業者が保有しているデータと実際の広告とにズレがないかという点も注意しましょう。

広告においては、景表法が求める表示の「裏付け」を準備したうえで広告することが前提です。また、薬機法等の関連法令の規制もクリアしておくことが必要です。。

2.法律・ガイドラインと「照合」する

担当者の思い込みや過去の慣習だけで判断するのは危険です。常に公式の情報源と照らし合わせる習慣をつけましょう。

照合すべき最も基本的な情報源は、消費者庁のウェブサイトに掲載されている「ガイドライン」です。

例えば、二重価格表示を行うなら、「比較対象の『通常価格』は、セール直近8週間のうち4週間以上販売していた実績があるか」といった具体的な基準を、ガイドラインと一つ一つ突き合わせる必要があります。

さらに、業界によっては事業者団体が自主的に設定した「公正競争規約」という詳細なルールも存在します。(参照:消費者庁|公正競争規約

これは、法律のガイドラインよりもさらに具体的な基準を定めた業界ルールです。

自社が所属する業界に規約がある場合は、その内容にも違反していないかを確認しておいた方が良いでしょう

また、こうした照合の精度を上げるためには、消費者庁が公表する「措置命令の公表(違反事例)」に目を通しておくことも有効です。

「最近、どのような表示がNGと判断されたのか」という最新の事例を知ることで、自社の広告リスクをより正確に判断できるようになります。(参照:消費者庁|景品表示法関連報道発表資料2025年度

これらの情報源に基づき、社内用のチェックリストを整備・更新していくことが、判断のブレを防ぐ有効な対策となるでしょう。

3.消費者目線で「誤解」を生まないか確認する

景表法違反の判断は、広告の細かな文言だけでなく、「広告全体から受ける印象」が基準となります。

「全体の印象」という観点で特に注意したいのが、「※効果には個人差があります」といった小さな文字での注釈(打消し表示)に頼りすぎることです。

先に解説したとおり、たとえ注釈を入れても本体の表示(「誰でも稼げる!」など)が与える印象が強すぎる場合、その注釈は法的に無効と判断される可能性があります。

また、「全体の印象」には、広告の本体とビジュアル(写真やグラフ)も含まれます。

しかし、こうした広告「全体」が消費者に誤解を与えないか、という客観的な判断は、制作者本人にはなかなか難しいものです。

商品やサービスの「魅力を最大限に伝えたい」という意識が強いため、どうしても客観的な視点を失いがちになるためです。

だからこそ、法務部門や広告制作に直接関与していない別の部署の担当者、弁護士など、第三者の目で厳しくチェックする体制を整えることが求められます。

社内のチェック体制に不安がある場合は、景表法や薬機法のチェックに強い丸の内ソレイユ法律事務所へお任せください。
広告法務については、初回30分の無料相談をご利用いただけます。ぜひ気軽にご相談ください。

景表法を遵守した広告表現を弁護士に相談するメリットとは

自社だけでの対応に不安がある場合、専門家である弁護士に相談するのも有効な手段です。

弁護士に相談することで、以下のような具体的なメリットが期待できます。

メリット具体的な内容
法的なリスクを未然に防げる・広告キャンペーンを公開する前にリーガルチェックを受けることで、措置命令や課徴金を受ける事態を回避できます。
効果的な広告表現を追求できる・景表法を過度に恐れて、当たり障りのない表現ばかりになることを防げます。
・法的な安全性を確保しつつ、商品の魅力を最大限に伝える「境界線」を明確にできます。
代替表現の提案が受けられるリスクがあるキャッチコピーでも、単に「NG」と指摘するだけでなく、マーケティングの意図を汲み取り、景表法に抵触しない代替表現を提案してもらえます。
有事の対応・体制構築を任せられる万が一消費者庁から調査が入った場合の迅速な対応や、従業員研修を通じた社内コンプライアンス体制の構築サポートも期待できます。

弁護士への相談は単なるリスク回避にとどまらず、企業の信頼性を高めつつ、マーケティング活動を円滑に進めるための有効な手段となるでしょう。

景品表示法ガイドラインに関するよくある質問

景品表示法で取引価額5,000円の場合、景品の上限はいくらですか?

抽選やクイズなどで景品を提供する「一般懸賞」の場合、今回のケース(取引価額5,000円)における上限額は以下の通りです。(参照:消費者庁|景品規制の概要

ルールの種類上限額(取引価額5,000円の場合)
景品1つあたりの最高額10万円
景品の総額懸賞販売全体の売上予定総額の2%以内

なお、この「景品1つあたりの最高額」は取引価額によって変動するため注意が必要です。

景表法では、取引価額が5,000円未満の場合は「取引価額の20倍」、5,000円以上の場合は「10万円」が上限と定められています。

一方、「景品の総額」は、取引価額にかかわらず、売上予定総額の2%以内です。景品を提供する場合は、この2つの条件を両方とも満たしているか必ず確認しましょう。

他社の商品と比較する広告(比較広告)は、どのようなルールを守れば掲載できますか?

比較広告自体は禁止されていませんが、消費者に誤解を与えないよう、公正であることが求められます。

消費者庁のガイドラインにおいて、適正な比較広告の要件は以下の3つです。

要件具体的な内容
主張内容が客観的に実証されていること比較内容は、信頼できる調査や試験によって裏付けられている必要があります。
実証された数値や事実を正確かつ適正に引用すること調査データを引用する際、自社に都合の良い部分だけを切り取ってはいけません。
比較の方法が公正であること社会の一般的な感覚から見て、同等のもの同士で比較しなければなりません。
例)自社の最新モデルと競合他社の旧型モデルを、あたかも同等であるかのように比較するのは不公平。

これらの要件をすべて満たさない比較広告は、客観的根拠を欠くものとして、景表法の「優良誤認表示」などに該当するおそれがあります。

比較を行う際は、自社の優位性を示すと同時に、消費者に誤解を与えない公正な姿勢が不可欠です。

景品表示法は、BtoB(事業者間)の取引にも適用されますか?

原則として、景品表示法はBtoB(事業者間)の取引には適用されません。

景表法の目的は、あくまで専門知識が相対的に乏しい「一般消費者」の保護にあるため、事業者間の取引は直接の規制対象外です。

ただし、BtoB取引であっても、その先にいる最終的な一般消費者の目に触れることを意図した表示については、景表法の規制対象となります。

卸売業者が小売店に提供する商品カタログやPOP広告などを作成する場合は、景表法を満たしているかの確認が必要です。

景品表示法に違反した場合の課徴金は、どのように計算されますか?

課徴金は、原則として「課徴金=課徴金対象期間中の対象商品の売上額×3%」の計算式で算出されます。(参照:消費者庁|不当景品類及び不当表示防止法第8条(課徴金納付命令の基本的要件に関する考え方

「課徴金対象期間」とは、原則、不当表示を開始した日から、その表示を取りやめた日から6箇月が経過した日までの期間を指し、上限は最大3年間です。

ただし、計算の結果、課徴金額が150万円未満となる場合は、課徴金納付命令の対象とはなりません。

景表法の確約手続とは何ですか?

確約手続とは、景表法違反の疑いで消費者庁の調査を受けている事業者が、自ら是正措置計画(確約計画)を策定・申請する制度のことです。(参照:消費者庁|確約手続に関する運用基準

申請した確約計画が消費者庁に認定されると、事業者は措置命令や課徴金納付命令を受けずに事件を解決できます。(景品表示法第28条第32条

これは、2023年5月17日に公布され、2024年10月1日から施行された法改正で導入された新しい制度です。

この手続きの最大のメリットは、「景表法違反事業者」として社名が公表されることを回避できる点にあります。ただし、確約手続が認定されたことは社名とともに公表されます。

違反の認定を受けずに問題を自主的に解決できることから、企業の信用が傷つくリスクを低減できるでしょう。

まとめ|景表法のチェックや広告表現の悩みは弁護士へ相談しよう

景表法の遵守は、消費者の信頼を得て、長期的な事業成長を続けるために非常に重要です。

しかし、「商品の魅力を最大限に伝えたい」というマーケティングの現場と、「景表法に違反したくない」というコンプライアンス要求の間で、判断に迷う場面は少なくありません。

もし「この表現はどこまで許されるのか」「このキャンペーン設計にリスクはないか」といった具体的な判断に悩んでいるのであれば、まずは景表法に精通した弁護士に相談し、客観的なアドバイスを求めることをおすすめします。

専門家である弁護士なら、法的な安全性を守りつつ、商品の魅力を伝える表現が「どこまで可能か」を一緒に考えることができます。

広告表現に関するお悩みは、丸の内ソレイユ法律事務所にご相談ください。経験豊富な弁護士が、貴社の信頼を守り、効果的なマーケティング活動をサポートいたします。

なお、広告法務については、初回30分の無料相談をご利用いただけます。ぜひ気軽にご相談ください。

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