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景表法で抽選企画は規制される?景品の上限額やチェックすべきポイントを解説【弁護士監修】

「新商品の発売に合わせて、豪華景品が当たる抽選企画を実施したい」

「SNSを使った抽選キャンペーンを考えているが、景表法の上限額がわからない」

企業や店舗などが抽選(懸賞)企画を検討する際、多くの担当者が気になるのが「景品表示法(景表法)のルール」です。

景表法には、消費者を守るために景品の上限額などを定めた「景品規制」があります。

この記事では、景表法で抽選企画が規制される理由や、景品上限額の具体的な計算方法、違反しないためのチェックポイントまでを弁護士が分かりやすく解説します。

意図しない法律違反を防ぎ、消費者に喜ばれる抽選キャンペーンを実施するために、景表法の正しい知識を身につけましょう。

丸の内ソレイユ法律事務所は、顧問契約数100以上の実績を持つ薬機法・景表法・特商法リーガルチェックに強い弁護士事務所です。広告表現にお悩みの担当者様は、お気軽にご相談ください。

景表法で抽選(懸賞)が規制される理由

景表法(不当景品類及び不当表示防止法)が抽選(懸賞)を規制するのは、過大な景品による不健全な競争を防ぎ、消費者が商品やサービスを公平に選べる環境を守るためです。
(参照:消費者庁|事例でわかる景品表示法不当景品類及び不当表示防止法ガイドブック

もし事業者が景品の上限なしで競争を始めると、消費者は商品の品質や価格ではなく、「景品が豪華かどうか」だけで購入を決めてしまうかもしれません。

その結果、質の悪い商品や割高なサービスが市場に出回り、最終的に消費者が不利益を被るおそれがあります。

景表法は、景品の上限額に一定のルールを設けることで、事業者が商品やサービスの「中身」で公正に競争するよう促しているのです。

景表法で規制対象となる抽選(懸賞)とは?

景表法では、規制対象となる景品類を、「顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品・サービスの取引に付随して提供する物品、金銭その他の経済上の利益」と定義しています。(参照:消費者庁|事例でわかる景品表示法不当景品類及び不当表示防止法ガイドブック

簡単に言えば、「商品やサービスの購入・利用を条件として提供されるオマケや賞品」のことです。このうち、抽選やくじなど、提供できる相手が偶然性によって決まるものを「懸賞」と呼びます。

景表法上の「懸賞」は、提供方法によって主に以下の2種類に分けられます。

1. 一般懸賞|商品・サービスの利用が条件の抽選・クイズ

一般懸賞とは、商品やサービスの購入者・来店者に対し、くじや抽選、クイズの正誤など偶然性によって景品を提供する形態です。

多くの企業が単独で行うキャンペーンは、この一般懸賞に該当します。具体的な一般懸賞の例は以下のとおりです。

  • 「商品購入者の中から抽選で100名様に〇〇プレゼント」
  • 「3,000円以上お買い上げで1回引ける福引」
  • 「〇〇(商品)に付いているシールを集めて応募するクローズド懸賞」

なお、一般懸賞の景品上限額は、景品を受け取るために必要な最低購入金額(取引価額)によって、以下のように定められています。

取引価額景品最高額(1つあたり)景品総額(キャンペーン全体)
5,000円未満取引価額の20倍懸賞に係る取引の予定総額の2%
5,000円以上10万円懸賞に係る取引の予定総額の2%

2. 共同懸賞|商店街や業界など複数事業者が共同で行う懸賞

共同懸賞とは、商店街やショッピングモール、特定の業界団体など、複数の事業者が共同して行う懸賞のことです。

例えば、地域や業界全体を盛り上げるために、複数の店舗が共同で資金を出し合って実施する福引などがこれにあたります。

共同懸賞の具体的な例は以下のとおりです。

  • 「〇〇商店街歳末大売り出し福引セール」
  • 「〇〇地区の飲食店合同スタンプラリー」
  • 「家電メーカー数社による合同買い替えキャンペーン」

共同懸賞は、一般懸賞よりも多くの事業者が関わり、規模が大きくなる傾向があるため、景品の上限額も一般懸賞より高く設定されています。

景品最高額(1つあたり)景品総額(キャンペーン全体)
取引価額にかかわらず一律30万円懸賞に係る売上予定総額の3%

景表法における抽選(一般懸賞)の景品上限額の計算手順【3ステップ】

抽選キャンペーン企画で最も多い「一般懸賞」について、景品上限額を計算する具体的な手順を3つのステップで解説します。

計算を間違えると景表法違反になる可能性があるため、一つずつ正確に確認しましょう。

ステップ1:景品上限額の基準となる「取引価額」を決定する

まず、景品を提供するための条件となる「取引価額」を確定させます。

取引価額とは、景品を得るために最低限必要な購入金額のことです。景品を得るための購入金額をもとに、以下のように決定します。

景品を得る条件の例取引価額
「A商品(500円)の購入者」500円
「当店で1,000円以上お買い上げの方」1,000円

もし、景品を得るための購入金額が100円未満の場合は、景表法上の取引価額は一律「100円」として計算します。50円のガムを買って応募する懸賞でも、取引価額は100円として扱います。

ステップ2:景品最高額を計算する(取引価額の20倍もしくは10万円)

次に、景品1つあたりの上限額である「景品最高額」を計算します。この計算は、ステップ1で決めた取引価額が「5,000円」を境に変わるため注意が必要です。

取引価額景品最高額
5,000円未満の場合景品最高額=取引価額×20倍
5,000円以上の場合景品最高額=一律10万円

例えば、取引価額が1,000円の場合、景品最高額は「1,000円×20倍=20,000円」となります。一方、取引価額が1万円の場合の景品最高額は、一律で10万円です。

ステップ3:景品総額を計算する(売上予定総額の2%)

最後に、キャンペーン全体で提供できる「景品総額」の上限を計算します。

景品総額の上限は、取引価額にかかわらず「懸賞に係る取引の予定総額×2%」と決まっています。懸賞に係る取引の予定総額とは、その懸賞企画の実施期間中に見込まれる対象商品の売上合計額です。

例えば、キャンペーン期間中の対象商品の懸賞に係る取引の予定総額が500万円の場合、景品総額の上限は「500万円×2%=10万円」となります。

企画担当者は、景品1つあたりの「最高額」と、景品全体の「総額」の上限を両方とも守る必要があります。

【補足】景表法上の取引価額の考え方

景品上限額の計算基礎となる「取引価額」には、いくつか注意点があります。判断に迷いやすいケースと、その景表法上の考え方は以下のとおりです。

取引価額の判断に迷いやすいケース景表法上の取引価額の考え方
複数の商品購入
(例:「A商品とB商品の購入」が条件)
応募に必要な最低購入額(合計)
割引価格での購入
(例:定価1,000円の商品を、セール価格500円で購入」が条件)
消費者が実際に支払う金額(セール価格)
商品購入を条件としない懸賞
(例:「来店」や「会員登録」が条件)
店舗の最低価格商品の金額(店舗の最低価格商品が100円未満の場合は「一律100円」)

表からもわかるとおり、取引価額は「景品を得るために最低限必要な実支払額」が基本です。

最低購入額の合計やセール価格など、顧客が実際に支払う金額が基準となる点に注意しましょう。

来店や会員登録のみで応募できる懸賞も、取引に付随するとみなされます。この場合、取引価額は0円にはなりません。その事業者が取り扱う最も安価な商品やサービスの価格が、取引価額の基準とされます。

また、景品表示法施行規則第5条第1項に基づき、基準額が100円未満(例:50円)の場合でも、取引価額は一律「100円」として計算します。

よって、景品最高額は最低でも2,000円(100円×20倍)となることを理解しておきましょう。

自社の抽選企画が景表法に違反したらどうなる?考えられるリスク

ルールを守らずに景品上限額を超えた場合、企業は法的責任を問われることがあります。

以下のように、景表法違反は行政処分や課徴金など、複数のペナルティにつながるおそれがあるため注意が必要です。

リスク・ペナルティの種類内容
措置命令(行政処分)・違反行為の中止や再発防止を命じられる
・違反事実が公表され、社会的信用が傷つく
課徴金納付命令(金銭的ペナルティ)・優良誤認・有利誤認が対象 
・違反期間中(最大3年)の対象商品売上の3%を納付する
※一定の要件を満たす場合、課徴金額が1.5倍加算される(参照:消費者庁表示対策課|【令和6年10月1日施行】改正景品表示法の概要
刑事罰【措置命令違反】
・措置命令に違反した場合
・行為者:2年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金
・法人:3億円以下の罰金(両罰規定、景表法第49条第1項第1号
【直罰規定】
・故意による優良誤認表示・有利誤認表示
・行為者:100万円以下の罰金
・法人:100万円以下の罰金(両罰規定、景表法第49条第1項第2号
【調査妨害等】
・報告命令違反、虚偽報告等:1年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金
・立入検査拒否等:1年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金
信用の失墜(レピュテーションリスク)・違反の公表や報道、SNS拡散による顧客・取引先の信頼喪失
・法的なペナルティ以上に、事業存続にダメージを与える可能性がある

特に、違反事実が公表されることによる「信用の失墜」は、金銭的なペナルティ以上に深刻な経営ダメージにつながる可能性があります。

「知らなかった」では済まされないため、企画段階での入念な法務チェックが不可欠です。

自社の抽選企画における景表法チェックポイント【5項目】

自社で抽選企画を立案する際に、景表法違反を防ぐために最低限チェックすべき5つのポイントをまとめました。企画書を作成する段階で、これらの項目がすべてクリアできているかを確認しましょう。

1.自社の抽選キャンペーンが景表法の規制対象にあたるか

まず、企画しているキャンペーンが景表法のどの規制に該当するかを正確に分類する必要があります。

抽選キャンペーンの種類詳細
一般懸賞自社単独で、商品購入を条件に抽選で景品を提供する。(例:〇〇購入者限定くじ引き)
共同懸賞商店街や複数企業で、商品購入を条件に抽選で景品を提供する。(例:商店街の福引)
オープン懸賞商品の購入を条件とせず、誰でも応募できる。(例:X(旧Twitter)のフォロー&リポストキャンペーン)
総付景品(そうづけけいひん)商品購入者「全員」にもれなく景品を提供する。(例:ベタ付けのオマケ)

このうち、「オープン懸賞」は商品購入が条件ではないため、原則として景表法の景品規制の対象外です。

「総付景品」は「懸賞」ではありませんが、別の景品上限額(原則、取引価額の20%)が定められています。企画が「一般懸賞」なのか「共同懸賞」なのかで上限額が変わるため、最初の分類が非常に重要です。

2.景品を得るための最低購入金額(取引価額)はいくらか

自社の企画がどの景表法の規制対象にあたるかどうかを確認できたら、次に景品上限額の計算基礎となる「取引価額」を確定させます。

取引価額は、景品最高額(例:取引価額の20倍)を算出する計算のスタート地点です。この金額の認識を誤ると、上限額の計算全体が景表法違反となるリスクがあります。

特に、判断に迷いやすい複雑な条件設定の際は、注意深くチェックしなければなりません。企画を最終決定する前に、以下の点が明確になっているかを確認しましょう。

最低購入金額(取引価額)の決定する時のポイント内容
応募条件応募に必要な「最低」の支払額はいくらか
割引適用定価ではなく「実支払額(セール価格など)」を基準にしているか
購入不要の場合来店や登録のみの場合、最低商品価格(100円未満は100円)を用いているか

3.「景品最高額」と「景品総額」が景表法上の上限に収まっているか

景品の上限額には「景品1つあたりの最高額」と「景品全体の総額」の2種類があります。

景表法を遵守するには、企画した景品プランがこの両方の上限をクリアしていなければなりません。どちらか一方でも上限を超過すると、景表法違反となります。

特に、豪華な目玉景品を用意する際は「最高額」の超過、当選者数を多く設定する場合は「景品総額」の超過に注意する必要があります。

企画担当者は、この2つの視点からプラン全体をチェックし、両方の基準を満たしているか最終確認しましょう。

4.「有利誤認」「優良誤認」を招く広告表現を使っていないか

景品の上限額を守っていても、その「告知方法」が景表法の「表示」規制に違反する可能性があります。

例えば、本当は当選者数が10名しかいないのに、広告で「全員当たるチャンス!」などと、実際よりも著しく有利であるかのように誤解させる表現は「有利誤認表示」に問われるおそれがあります。

また、「当選確率No.1」とうたうのであれば、客観的な根拠が必要です。

景品の豪華さだけでなく、抽選企画の告知内容そのものにも、消費者に嘘や誤解を与える表現がないかをチェックしましょう。

5.万が一の調査に備え、取引の記録や規約は保管してあるか

キャンペーンの応募規約や、景品総額の計算根拠となった売上予定総額のデータ、実際の景品発送記録などは、必ず保管しておきましょう。

万が一、消費者庁から景品総額の計算根拠などを問われた際に、これらの資料を速やかに提出できなければ、不利な判断を受ける可能性があります。

景品規制は、企画して終わりではありません。実施した結果(実際の売上総額と提供した景品総額)が上限を超えていなかったかまでを管理し、記録を残すことがコンプライアンス体制として重要です。

景表法の抽選に関するよくある質問

景表法における「オープン懸賞」は違法ですか?

オープン懸賞は、原則として景表法の景品規制の対象外であり、違法ではありません。

オープン懸賞とは、新聞や雑誌、ウェブサイトなどで広く応募者を募り、商品の購入やサービスの利用を条件とせずに景品を提供するものです。SNSでよく見られる「フォロー&リポストで応募完了」といったキャンペーンは、これに該当します。

景表法の景品規制は、あくまで「取引に付随して」提供される景品を対象としています。オープン懸賞は取引への付随性がないため、景品の上限額(最高額・総額)の定めがないのです。

景表法でくじ引きは違法になるのですか?

「くじ引き」という方法自体が違法になるわけではありません。ただし、商品やサービスの購入を条件として、くじ引きで景品を提供する場合は「一般懸賞」または「共同懸賞」にあたります。

この場合は、定められた景品の上限額(最高額・総額)を守る必要があり、上限額を超えた景品を提供した場合、そのくじ引き企画は景表法違反です。

なお、お祭りの屋台のくじ引きなど、その場で完結する取引(例:1回300円でくじを引く)は、景品ではなく、くじ引き自体を「商品」として売っているとみなされます。

よって、通常は景表法の景品規制の対象とはなりません。

景表法におけるNGワードは何ですか?

景表法の「景品規制」(抽選の上限額のルール)そのものに、特定の「NGワード」はありません。しかし、抽選企画を告知する「広告」においては、景表法の「表示」規制(有利誤認表示・優良誤認表示)に注意が必要です。

例えば、以下のような表現は、消費者に誤解を与えるとして「有利誤認表示」などに該当する可能性があります。

  • 実際は当選確率が低いのに「高確率で当たる」と表示する
  • 実際は当選者数が少ないのに「当選者続出」と表示する
  • 実際は安価な景品ばかりなのに「豪華景品が勢ぞろい」と表示する
  • 「必ず当たる」と表示しているのに、実際は条件(例:応募者多数の場合は抽選)がある

問題になるのは単語そのものではなく、その表示が「実際の内容」や「他社のもの」よりも著しく優れている、または有利であると消費者に誤解させるかどうかです。

まとめ|抽選企画の景表法チェックは弁護士への依頼も検討しよう

抽選(懸賞)企画は、消費者の購買意欲を高める有効なマーケティング手法です。

しかし、景表法の「景品規制」を正しく理解していないと、意図せず法律に違反し、企業の信頼を大きく損ねる結果になりかねません。

「このキャンペーンはどの懸賞にあたるのか」「取引価額の計算は正しいか」など、自社での判断に不安がある場合は、景表法に詳しい弁護士へ事前に相談することをおすすめします。

抽選キャンペーンは、景表法だけでなく、賭博罪や個人情報保護法など他法令にも関係する場合があります。弁護士によるリーガルチェックを受けておくことで、これらすべてのリスクを包括的に確認し、安心してキャンペーンを実施できるでしょう。

丸の内ソレイユ法律事務所は、景表法・薬機法などの広告法務を専門としています。キャンペーンの企画段階からのご相談も承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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