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口コミ投稿へのプレゼントは違法?景品表示法(ステマ規制)と主要規約違反のリスク

「口コミ投稿でクーポンを渡すのは違法?」
「ステマ規制が始まったけれど、自社のキャンペーンは大丈夫?」

「集客のために、少しでも多くの良い口コミを集めたい」と考えるのは、ビジネスにおいて当然のことです。しかし、誤ったプレゼント施策をすると、景品表示法違反やアカウント停止を招く可能性もゼロではありません。

本記事では、口コミ投稿へのプレゼント施策が抱える法的リスクと、2023年施行「ステマ規制」における違法・適法の境界線を徹底解説します。知らずに法律違反を犯すリスクを回避し、企業の信頼を守りながら安全に口コミを集めるためにも、ぜひ参考にしてみてください。

「この施策は安全?」「今の運用に問題はない?」など、少しでも迷いがある方は丸の内ソレイユ法律事務所にご相談ください。丸の内ソレイユ法律事務所には、景表法・薬機法などの広告法務を専門とした弁護士が多数在籍しています。キャンペーンの企画段階からのご相談も承っているため、ぜひお気軽にお問い合わせください。

【結論】口コミへのプレゼント、その施策は「違法」かもしれません

口コミ投稿に対して対価(プレゼント)を渡すこと自体は、広告表記が適切に行われ、投稿内容の自由が確保されている場合に限り違法とはなりません。

しかし、事業者が投稿内容を管理・指示し、かつ広告であることを明示しない場合、景品表示法第5条第3号に基づくステルスマーケティング規制に違反します。

違反となる可能性のある施策の特徴は、以下のとおりです。

  • 「星5をつけてくれたら割引」と条件を付けている
  • 投稿内容を事業者が指示・修正している
  • 「#PR」などの広告表記をつけさせていない
  • 従業員に身分を隠して口コミを書かせている

「少しのサービスだから大丈夫」という認識は、現代のコンプライアンス基準では通用しません。まずは、自社の施策が以下の「危険な兆候」に当てはまっていないか、冷静に見直しましょう。

出典:消費者庁|令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。

法律違反の境界線:景品表示法と「ステマ規制」

どこからが違法で、どこまでが適法なのかの境界線は、「事業者の関与」と「一般消費者の誤認」にあります。

景品表示法が禁じる行為を正しく理解し、意図せぬ違反を防ぎましょう。

関連記事:PRや広告を行う前に知っておきたい景品表示法とは?【言葉や表現】編

景品表示法違反となる「優良誤認表示」とは

優良誤認表示とは、商品やサービスの内容が、実際よりも著しく優良であると消費者に誤解させる表示のことです。

口コミ施策においては、実態を伴わない「ヤラセ」や「過剰な高評価」がこれに該当します。

優良誤認表示の具体例は、以下のとおりです。

項目違反となる表示例実際の内容
品質「業界No.1の耐久性」と根拠なく宣伝他社と同等以下の品質
実績「満足度98%」と架空のデータを掲載実際の調査データが存在しない
口コミ報酬を渡し「絶賛コメント」のみを掲載実際の評価は平均的または低い

出典:消費者庁|優良誤認とは

たとえば、金銭を渡して高評価を書かせる行為は、消費者の合理的な選択を阻害するため厳しく規制されます。

品質をごまかして顧客を誘引する行為は、法律違反である以前に、企業の誠実さを問われる問題です。

2023年10月施行「ステマ規制」のポイント

2023年10月1日より、ステルスマーケティング(ステマ)は景品表示法の不当表示として規制対象となりました。

この規制の核心は、「事業者の管理下にある表示」にもかかわらず、「広告であることを隠す」行為の禁止です。

ステマ規制の判断基準は、以下のとおりです。

事業者の管理下にあるか・事業者が投稿内容を指示している・事業者が投稿と引き換えに対価を提供している
広告であることが不明瞭か・「広告」「宣伝」「PR」などの記載がない・記載が小さすぎて判読できない

たとえ個人の感想に見える口コミであっても、事業者が内容に関与していれば広告とみなされます。

広告である以上、消費者がひと目で「これは広告だ」と判別できる表示(PR表記など)が必須です。

出典:消費者庁|令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。

違反となるケース(違法性が高いパターン)

具体的にどのような口コミ施策が違反となるのでしょうか。以下のケースは、ステマ規制や優良誤認表示に抵触する可能性が極めて高い施策です。

ケース具体的な手法違法性の根拠
高評価の強要「星5の口コミ投稿で500円OFF」対価と引き換えに評価を不当に操作している
内容の指示「『最高でした』と書いてください」事業者が内容を決定しており、広告表記がない
関係性の隠蔽謝礼を渡し、一般客を装って投稿依頼消費者を欺くステルスマーケティングに該当
自作自演社員が一般客になりすまして高評価投稿事業者自身による偽装行為(なりすまし)

とくに「内容の拘束」と「関係性の隠蔽」が組み合わさった場合、言い逃れはできません。

インセンティブ(報酬)の有無にかかわらず、事業者が投稿内容をコントロールしようとする姿勢が問題視されます。

違反とならないケース(合法的なパターン)

一方で、全てのプレゼント施策が違法なわけではありません。

重要なのは「投稿内容の自由」と「関係性の明示(広告表記)」です。消費者が自主的な意思で投稿し、かつ広告であることが明確であれば、法的な問題は生じません。

合法的に運用するためには、以下の点を守りましょう。

  • 内容の自由:良い口コミも悪い口コミも、投稿者が自由に書ける状態か
  • 関係性の明示:広告や依頼であることを「#PR」「#プロモーション」等で明示しているか
  • 指示の有無:具体的な文言や星の数を事業者が指定していないか

また、単なる「感想の募集」に対して謝礼を渡す場合でも、内容に介入しなければ規制対象外となることがあります。

ただし、口コミを投稿する主要プラットフォームの規約は、法律より厳しい場合があります。アカウント停止などのペナルティの対象になる可能性があるため、注意が必要です。

口コミ施策で違反した場合のリスクと罰則

安易な口コミ施策が招く代償は、想定以上に甚大です。

行政処分による金銭的な損失だけでなく、ビジネスの存続に関わる社会的制裁を受ける可能性があります。

主なリスク・罰則は以下のとおりです。

  • 1. 法律違反:措置命令と課徴金、刑事罰
  • 2. 規約違反:口コミ削除とアカウント停止
  • 3. 社会的信用の失墜(炎上リスク)

以下、それぞれ具体的に解説します。

1. 法律違反:措置命令と課徴金、刑事罰

景品表示法に違反した場合、法的ペナルティが科されます。主な法的ペナルティの例は、以下のとおりです。

措置命令(景品表示法第7条違反行為の停止、新聞等での社名公表
課徴金納付命令(同法第8条対象商品・サービスの売上額の3%(優良誤認等の場合)
刑事罰(同法第46条措置命令に従わない場合、2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金
直罰規定(同法第48条
※令和6年10月1日施行
故意による優良誤認・有利誤認表示に対し100万円以下の罰金

違反すると、消費者庁から「措置命令」が出されます。これは違反行為の差止めや、再発防止策の構築、そして違反事実の一般消費者への周知を命じるものです。

さらに、優良誤認表示と判断された場合、売上額に応じた「課徴金」の納付が命じられます。課徴金は対象期間の売上額の3%と定められており、経営に大きな打撃を与えるでしょう。

加えて、措置命令に従わない場合は、刑事罰を受ける可能性もあります。逮捕者が出る可能性もあるため、注意が必要です。

出典:消費者庁表示対策課|【令和6年10月1日施行】改正景品表示法の概要

景品表示法の課徴金制度については、以下の記事でも詳しく解説しています。併せて参考にしてみてください。

関連記事:広告を間違えると売上げの3%分の課徴金?!その1

2. 規約違反:口コミ削除とアカウント停止

法律以前の問題として、Googleマップ(Googleビジネスプロフィール)やAmazonなどのプラットフォーム規約に違反します。

これらのプラットフォームは、対価を伴う口コミ投稿を明確に禁止しています。主要プラットフォームの対応方針は、以下のとおりです。

プラットフォーム規約方針違反時のペナルティ
Google報酬と引き換えの口コミ禁止口コミ削除、ビジネスプロフィールの停止
Amazon対価を受け取ってのレビュー禁止レビュー削除、出品権限の剥奪、訴訟措置
食べログ通常利用外の口コミ操作禁止点数の修正、掲載保留、アカウント削除

出典:Google|禁止および制限されているコンテンツ

出典:Amazon|カスタマーレビューの不正操作防止ポリシー
出典:食べログ|口コミガイドライン

規約違反が発覚すれば、積み上げた口コミが全て削除されるだけでなく、アカウント自体が停止されるリスクがあります。

現代のビジネスにおいて、Googleマップやポータルサイトからの集客が断たれることは致命的です。

目先の口コミ件数を追うあまり、集客チャネルそのものを失うことになりかねません。

3. 社会的信用の失墜(炎上リスク)

「あの店はステマでお客を騙している」という事実は、SNSを通じて瞬く間に拡散します。いわゆる「炎上」状態になれば、既存顧客の離反を招き、ブランドイメージの毀損を招く恐れがあります。

信頼失墜によって考えられる影響は、以下のとおりです。

  1. 発覚・拡散:SNS等で「ステマ疑惑」が拡散される
  2. 不買運動:既存顧客が離れ、新規顧客も寄り付かなくなる
  3. 取引停止:パートナー企業や取引先からの信用を失う
  4. 採用難:企業イメージの悪化により、人材確保が困難になる

一度失った社会的信用を取り戻すには、長い年月と多大なコストがかかります。

内部告発や消費者からの指摘で発覚するケースも多く、隠し通すことは不可能です。「バレなければいい」という経営姿勢そのものが、最大のリスク要因といえるでしょう。

広告・口コミ施策の「リーガルチェック」無料相談

「自社のキャンペーンは本当に大丈夫だろうか」
「知らずに法律違反をしていないか不安だ」

上記のように、少しでも不安を感じるなら、専門家によるリーガルチェックを受けることが大切です。景品表示法やステマ規制は判断が難しく、社内だけのチェックでは見落としが発生するリスクがあります。

丸の内ソレイユ法律事務所では、広告・口コミ施策の適法性を診断するリーガルチェックサービスを提供しています。美容・健康・広告法務に精通した弁護士が、個々のケースに応じた具体的な修正案まで提示可能です。

トラブルが起きてから対処するのでは手遅れとなる恐れがあります。まずは現状の施策に問題がないか、専門家の目を通しておきましょう。

詳細な料金プランやご相談の流れは、以下のページをご覧ください。

>丸の内ソレイユ法律事務所の広告・口コミ施策のリーガルチェック詳細はこちら

弁護士が推奨する「違反しない」安全な口コミの集め方

リスクを避けながら口コミを集めるには、透明性と公平性を担保することが絶対条件です。

ここでは、法律とプラットフォーム規約の両面から見て推奨する3つの手法を解説します。

  • 1. 「広告である旨」を明示する(ステマ規制対策)
  • 2. 口コミの内容を制限しない
  • 3. (推奨)インセンティブに頼らない口コミ依頼

違反にならないためにも、ぜひ参考にしてみてください。

1. 「広告である旨」を明示する(ステマ規制対策)

何らかの対価(プレゼントや割引)を渡して口コミを依頼する場合、「広告」となります。したがって、投稿者には必ず「これは広告である」と誰が見ても分かるように明記してもらわなければなりません。

適切な広告表記の例は、以下のとおりです。

  • ハッシュタグ:#PR・#広告・#プロモーション
  • 冒頭記載:「〇〇社から商品提供を受けて投稿しています」
  • 機能活用:Instagram等の「タイアップ投稿ラベル」機能を使用する

一方、以下のような表記は避けましょう。

  • 文字が背景色と同化して読めない
  • 大量のハッシュタグの中に#PRを紛れ込ませる
  • 「モニター」や「アンバサダー」など、広告と直感的に分かりにくい表現のみの記載

広告である旨の明記を徹底することで、景品表示法の「ステルスマーケティング規制※」の抵触を防げます。表記は目立つ場所に配置し、消費者がひと目で認識できる状態にしておきましょう。

※景品表示法第5条第3号に基づく指定告示である『一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示』(令和5年内閣府告示第19号、令和5年10月1日施行)

2. 口コミの内容を制限しない

プレゼントを渡す条件として、投稿内容に介入してはいけません。「高評価を書くこと」を条件にすると、景品表示法違反となるリスクが高まります。

口コミの依頼をする場合は、以下のポイントを守りましょう。

  1. 評価を強要しない:「星5をお願いします」と言わない
  2. 率直な意見を求める:「率直なご感想をお待ちしています」と伝える
  3. 指示をしない:特定のキーワードの使用を強制しない

あくまで「感想を投稿してくれたこと」に対する謝礼とし、内容は投稿者の自由意思に任せましょう。「悪い感想でもプレゼント対象です」と明記することで、消費者を欺く意図がないことを示せます。

3. (推奨)インセンティブに頼らない口コミ依頼

安全かつ効果的なのは、プレゼントなどのインセンティブに頼らずに口コミを集めることです。GoogleやAmazonなどの主要プラットフォームは、報酬を伴う口コミを規約で禁じています。

対価なしで集まった口コミは、規約違反のリスクがないだけでなく、顧客の「本音」として高い信頼性があります。地道ですが、サービスの質を高め、顧客が「誰かに教えたい」と思う体験を提供することが重要です。

インセンティブなしで口コミを増やす工夫として、以下のようなものが挙げられます。ぜひ参考にしてみてください。

施策具体的なアクションメリット
導線改善レジ横や卓上に口コミ用QRコードを設置その場で投稿しやすくなる
タイミングサービス提供直後の「熱量が高い時」に依頼記憶が鮮明で筆が進みやすい
返信対応投稿された口コミに丁寧に返信する顧客との関係性が深まる
顧客感動期待を超えるサービスを提供する自然発生的な推奨が生まれる

口コミと景品表示法に関するよくある質問

全員にプレゼントするのではなく「抽選」なら違法になりませんか?

抽選であっても、対価性がある限りステマ規制の対象となる可能性があります。当選を期待して好意的な口コミを書く心理が働くため、事業者の関与が疑われる場合があるでしょう。

そのため、抽選企画を行う場合でも、投稿内に「#PR」などの表記を義務付けるのが安全です。

また、景品表示法に基づく「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」の適用を受ける可能性もあるため、景品額の上限などにも注意が必要です。一般懸賞の場合、景品類の最高額は取引価額の20倍(上限10万円)、総額は取引予定総額の2%以内とする必要があります。

出典:消費者庁|懸賞による景品類の提供に関する事項の制限

懸賞規制については、以下の記事で詳しく解説しています。抽選形式にする場合は、必ずチェックしましょう。

割引クーポンを渡す条件として、口コミ投稿を求めるのはGoogle規約違反ですか?

割引クーポンを渡す条件として口コミ投稿を求めるのは、Googleのポリシー違反となる可能性が高いです。

Googleのガイドラインでは「インセンティブ(報酬)を提供してクチコミを募集すること」が明確に禁止事項として記載されています。

たとえ高評価を強制していなくても、対価が発生する時点で規約違反とみなされるため注意が必要です。

割引を目当てにした投稿は「公平なレビューではない」と判断され、削除やアカウント停止の対象になるでしょう。

出典:Google|禁止および制限されているコンテンツ

自社の従業員に、身分を隠して口コミを書かせるのは違法ですか?

自社の従業員に身分を隠して口コミを書かせる行為は、景品表示法第5条第3号の指定告示(ステマ告示)に違反する可能性が高く、消費者庁による措置命令の対象となります。

実際に、令和6年6月6日、消費者庁は医療法人に対し、Googleマップ上の口コミ投稿を従業員等に行わせたことについて、同告示違反として措置命令を発出しました。

発覚した場合、社会的信用を失うことになりかねないため、絶対に行ってはいけません。

出典:消費者庁|医療法人社団祐真会に対する景品表示法に基づく措置命令について

過去に行ったキャンペーンの口コミも削除すべきですか?

過去に行ったキャンペーンの口コミは、違法性が高いものであれば速やかに対応を検討すべきです。

ステマ規制には遡及適用はありません。ただし、消費者庁の公式Q&Aには、以下のように記載されています。

告示は令和5年10月1日から施行されましたが、同日よりも前の時期に行われた「事業者の表示」に当たる投稿が、施行後も継続して表示されている場合、「事業者の表示」であることが明瞭となっていなければ、告示に違反する不当表示として、行政処分の対象となる可能性があります。
引用:消費者庁|ステルスマーケティングに関するQ&A

つまり、過去の投稿であっても、規制施行後も掲載され続けているものは対象です。当時の施策が「高評価を書くこと」を条件としていた場合、現在も表示されていること自体が問題視されやすくなります。

放置することで「コンプライアンス意識が低い企業」とみなされる可能性があるため、早めに対処しましょう。不安な場合は、弁護士等の専門家に相談し、削除等の対応方針を決定してみてください。

まとめ:安全な口コミ施策と広告運用は弁護士にご相談ください

口コミへのプレゼント施策は、集客効果が期待できる反面、一歩間違えれば法律違反となる危険な行為です。とくに2023年のステマ規制導入以降、監視の目は厳しくなっており、「知らなかった」では済まされない状況となっています。

企業の信頼を守り、長くビジネスを続けるためには、コンプライアンスを遵守した誠実なマーケティングが不可欠です。自社でのチェック体制を構築することはもちろん、弁護士など専門家のリーガルチェックを受けるようにしましょう。「この施策は安全?」「今の運用に問題はない?」など、少しでも迷いがある方は丸の内ソレイユ法律事務所にご相談ください。丸の内ソレイユ法律事務所には、景表法・薬機法などの広告法務を専門とした弁護士が多数在籍しています。キャンペーンの企画段階からのご相談も承っているため、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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