機能性表示食品制度について、その背景から申請手続き、表示ルールまでを解説します。この制度を活用して、自社製品の付加価値を高め、消費者に訴求力のある商品開発を行うためのポイントをご紹介します。中小企業の方々にも利用しやすい制度の特徴と、活用する際の注意点を詳しく解説していますので、新規参入をお考えの方や、既存製品の付加価値向上をお考えの方にとって有用な情報となるでしょう。
1. 食品表示規制の重要性
- 不当取引の防止
- 消費者の適切な判断支援
- 健康被害の予防
2. 食品表示の3本柱
特定保健用食品(特保)
消費者庁長官の許可が必要。効果への信頼性が高いが、手続きに時間と費用がかかる。
栄養機能食品
定められた栄養成分の機能を表示可能。コストが低いが、表示に制限あり。
機能性表示食品
2015年4月1日開始。事業者の責任で機能性を表示可能。
3. 機能性表示食品の特徴
- 対象:サプリメント形状の加工食品、その他加工食品、生鮮食品
- 除外:特別用途食品、アルコール飲料、過剰摂取が懸念される栄養素を含む食品
4. 機能性表示食品の利用手順
- 安全性と機能性の評価
- 販売60日前までに消費者庁長官へ届出
届出制vs許可制
届出制(機能性表示食品) | 許可制(特定保健用食品) |
---|---|
要件を満たせば義務完了 | 行政機関が許可を判断 |
手続きが比較的簡便 | 他社との差別化が可能 |
5. 届出に必要な書類
- 届出書と添付書類(PDF形式、2MB以下)
- 食品表示内容
- 事業者情報
- 安全性・機能性の根拠
- 製造・品質管理情報
- 健康被害情報収集体制
6. 科学的根拠の提示方法
- 最終製品の臨床試験
- 最終製品または機能性関与成分の研究レビュー(システマティックレビュー:SR)
SRの作成手順(概要)
- リサーチクエスチョンの設定
- レビューワーの選定(2名以上)
- 選択・除外基準の設定
- 文献検索と評価
- データ抽出とエビデンスの評価
SR作成時の注意点
- 著作権侵害に注意(引用の適切な使用)
- 消費者庁は知的財産権の争いに関与しない
7. 安全性の確保
- 安全性評価のフローチャートに従う
- 相談窓口の設置と公表が必要
8. 表示可能な内容
- 健康の維持・増進に関する表現
- 特定の部位に言及した表現
表示例
- 臨床試験による場合:「本製品には○○が含まれるので、△△の機能があります」
- 研究レビューによる場合:「本製品には○○が含まれ、△△の機能があることが報告されています」
9. 制度活用のポイント
- 特保より利用しやすいが、一定のハードルあり
- 社会的注目度が高く、効果が期待できる
- 企業の社会的責任も重要
- 十分な準備と適切な活用が鍵