「自社の歯磨き粉広告は、本当に法律を守れているのだろうか」
「魅力的な表現を使いたいが、どこまで許されるのかわからない」
歯磨き粉の広告は、薬機法と景表法という2つの法律が複雑に絡み合う、難易度の高い領域です。違反となれば、刑事罰や行政処分(措置命令・課徴金納付命令)が科される可能性があります。
本記事では、法規制の全体像から具体的なOK/NG表現の言い換え技術まで、網羅的に解説します。コンプライアンスを守りながら商品の魅力を最大限に伝えるためにも、ぜひ参考にしてみてください。
歯磨き粉の広告が違反していないか不安な方は、専門家に相談することが大切です。丸の内ソレイユ法律事務所は、企業の薬機法・広告の法規制対応に詳しい弁護士が在籍しています。製品やケースに応じて適切な解決策をご提案できるため、まずはお気軽にご相談ください。

歯磨き粉の誇大広告による業務停止命令|違反事例を弁護士が深掘り
歯磨き粉の広告を掲載するなら、行政処分についての理解は必須です。消費者庁は、客観的な根拠なく著しいホワイトニング効果を謳う広告に対し、厳格な姿勢を示しています。
とくに問題視されるのは、ブラッシング効果を無視した「塗るだけで白くなる」といった表現です。
行政庁から根拠資料の提出を求められた際に、合理的な根拠を示せなかった場合、景品表示法または特定商取引法に基づき措置命令(違反事実の公表等)が行われます。
令和6年には、広告に「10秒で黄ばみ消えた!」と表示した企業に対し、消費者庁は特定商取引法第12条(誇大広告等の禁止)違反として、同法第15条第1項に基づき3か月間の業務停止命令を発出しました。(通信販売業者のため、特定商取引法に基づく業務停止命令)
なお、法令に違反した場合、企業が負うリスクは業務停止命令だけではありません。メディア報道により、ブランド毀損や株価暴落など、社会的制裁も受けることになります。
このような社会的信用の失墜こそが、最大の経営リスクといえるでしょう。
関連記事:【令和6年11月】薬用歯磨き等を販売する通信販売業者に対する特商法に基づく業務停止命令について弁護士が解説
歯磨き粉広告で最重要の「薬機法」|規制の基本

歯磨き粉の広告を作成する際、最初に行うべきは「商品区分の確認」です。
その商品が「化粧品」なのか「医薬部外品(薬用)」なのかにより、訴求できる効果の範囲が劇的に変わります。
ここからは、分類ごとに定められた広告可能な効能効果をそれぞれ紹介します。
分類1:「医薬部外品(薬用歯磨き)」で広告可能な効能効果
医薬部外品とは、厚生労働省が承認した「有効成分」が一定濃度で配合されている製品です。
「予防」という言葉を使用できる点が特徴で、具体的な効能効果を謳うことが許されています。
医薬部外品で認められる表現の範囲は、以下のとおりです。
| 訴求カテゴリー | 広告可能な表現例 | 必須条件 |
| 歯周病ケア | 歯周炎(歯槽膿漏)の予防、歯肉炎の予防 | 対応する有効成分(抗炎症剤等)を1成分以上配合する必要がある |
| 虫歯ケア | むし歯の発生及び進行の予防 | フッ素などの有効成分配合 |
| ホワイトニング | 歯を白くする | 有効成分必須ではないが、医薬部外品承認が前提 |
| その他 | ・口臭の防止・タバコのヤニ除去(ポリエチレングリコール等の有効成分配合が必須)・口中を浄化する | 殺菌剤などの有効成分配合 |
医薬部外品かどうかの判断については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:薬機法に基づく医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器の“名称ルール”徹底解説―違反リスクを回避するために押さえるべきポイント
分類2:「化粧品(歯磨き)」で広告可能な効能効果
化粧品分類の歯磨き粉は、基本機能である「清掃」や「物理的な汚れ除去」を広告で使用可能です。
有効成分による「予防効果」を謳うことはできず、あくまでブラッシングに伴う効果に限定されます。
化粧品分類の歯磨き粉で認められる表現の範囲は、以下のとおりです。
| 訴求カテゴリー | 広告可能な表現例 | 注意点 |
| 洗浄効果 | 歯垢を除去する(使用時にブラッシングを行う歯磨き類) | 「溶かす」「分解する」はNG |
| 見た目 | 歯のヤニを取る(使用時にブラッシングを行う歯磨き類) | 漂白効果を暗示するのはNG |
| エチケット | 口臭を防ぐ(歯磨き類) | 「殺菌して防ぐ」はNG ※化粧品は物理的な清掃や香りによる効果に限定され、医薬部外品のような殺菌効果を謳うことはできません |
| 爽快感 | 口中を浄化する、口中を爽快にする | 感覚的な表現に留める |
医薬部外品であれば、「予防」「殺菌」「炎症を抑える」など予防に関する訴求ができます。
一方、化粧品の歯磨き粉は「防ぐ(物理的)」「除去する(物理的)」など、ブラッシングに関するものしか訴求できないと覚えておきましょう。
薬機法における化粧品の定義については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:薬機法における化粧品の定義とは?法律上のポイントを解説
薬機法違反にならないための「OK/NG広告表現」言い換え集

ここからは、実務で頻出する訴求軸ごとに、具体的な言い換え表現を紹介します。
- 訴求1:「ホワイトニング・美白」の表現
- 訴求2:「歯周病・歯肉炎」の表現
- 訴求3:「口臭」の表現
- 訴求4:「安全性・成分」の表現
薬機法違反にならないためにも、ぜひ参考にしてみてください。
訴求1:「ホワイトニング・美白」の表現
歯磨き粉の広告で違反が多いポイントの一つに、ホワイトニング訴求が挙げられます。
薬機法では、歯磨き粉で「本来の歯の色以上に白くする(漂白)」効果は認められていません。
また、医薬部外品の場合は「有効成分によるホワイトニング効果」が認められているのに対して、化粧品の場合は「物理的な汚れ除去」に限られます。
以下の表に、「ホワイトニング・美白」の表現に関するNG表現と、医薬部外品と化粧品のOK表現をまとめました。
| 【NG】違法・誇大表現(両区分共通で不可) | 【化粧品】OK表現(ブラッシング効果が前提) | 【医薬部外品】OK表現(有効成分の効果+ブラッシング) |
| ・芸能人のような真っ白な歯に・本来の白さ以上に白くする | ・歯を白くする・歯のヤニを取る ※「ブラッシングによる」の併記が必要 | ・歯を白くする・タバコのヤニ除去 ※ポリエチレングリコール等の有効成分効果として訴求可 |
| ・激落ち、削らずに溶かす・染み込んだ汚れを分解・漂白 | ・歯垢を除去して白くする・汚れ(ステイン)を落とす | ・有効成分がヤニを溶解・除去・歯石の沈着を防ぐ |
| ・塗るだけで白くなる・うがいだけで着色が落ちる | ・ブラッシングでツルツルの歯に・磨くたび、自然な白さへ | ・毎日の歯磨きで歯を白くする ※薬剤のみで白くなる表現はNG |
出典:厚生労働省|医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について
訴求2:「歯周病・歯肉炎」の表現
「歯周病・歯肉炎」の表現は、「医薬部外品」でのみ使用が許可されます。
化粧品では、厚生労働省通知で定められた56項目の効能効果の範囲内でのみ広告が可能です。「歯周病」「歯肉炎」などの疾病名の使用、「予防」という表現は認められていません。
「口臭を防ぐ」等、承認範囲内の表現に限定する必要があります。
また、医薬部外品であっても、「治る」「絶対に改善する」など、効果を保証できません。詳細は、以下のNG表現とOK表現を参考にしてみてください。
| 【NG】違法・誇大表現(両区分共通で不可) | 【化粧品】OK表現(洗浄・物理的ケア・香り) | 【医薬部外品】OK表現(予防・防止が可能) |
| ・歯周病が治る・歯肉炎を治療・改善する | ・歯茎のキワの汚れを除去・歯茎を健やかに保つ ※「歯周病」「歯肉炎」の単語は使用不可 | ・歯周病(歯肉炎・歯槽膿漏)を予防する・歯肉炎の予防 |
| ・腫れを絶対に抑える・出血を必ず止める・炎症を修復する | ・歯茎を引き締める・口内を浄化する | ・歯茎の炎症を抑える・出血を防ぐ |
| ・歯周病菌を死滅させる | ・ネバつきを洗い流す・お口の汚れをスッキリ | ・原因菌を殺菌・浸透殺菌して予防する |
出典:厚生労働省|医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について
訴求3:「口臭」の表現
口臭ケアも、医薬部外品か化粧品かの区分によって、認められている表現の限界線が異なります。薬機法に違反しないためには、両者のメカニズムの違いを正確に把握することが大切です。
化粧品でも、効能範囲に「口臭を防ぐ」が含まれます。ただし、「マスキング(香り)」や「清掃(汚れ除去)」に限られます。医薬部外品のように殺菌効果を謳えない点に注意が必要です。
以下の表に、「口臭」の表現に関するNG表現と、医薬部外品と化粧品のOK表現をまとめました。
| 【NG】違法・誇大表現(両区分共通で不可) | 【化粧品】OK表現(マスキング・洗浄) | 【医薬部外品】OK表現(殺菌・防止) |
| ・胃の中から口臭を消す・体内からデトックス | ・口臭を防ぐ・口臭ケア ※使用時のブラッシングや香りの効果として | ・口臭の防止 ※殺菌剤等の有効成分の効果として |
| ・1日中臭わない・永久に口臭が消える | ・使用後も息さわやか・香り広がるクリアな息へ | ・長時間、菌の繁殖を抑える・朝までスッキリ感が続く |
| ・臭いの元から根こそぎ断つ・口臭菌を全滅 | ・汚れを落として息がキレイに・清涼感のある香りでリフレッシュ | ・原因菌を殺菌し、口臭を防ぐ・口中を浄化・殺菌する |
出典:厚生労働省|医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について
訴求4:「安全性・成分」の表現
「無添加」「天然」といった言葉は消費者に好まれますが、化粧品・医薬部外品に関係なく注意が必要です。
基本的に、安全性の保証と受け取られる表現は禁止です。事実に即した慎重な記述が求められます。
以下、「安全性・成分」に関するNG表現と言い換え例を表にまとめました。
| 訴求の切り口 | 【NG】違法・誇大表現(事実でも使用不可) | 【OK】言い換え表現(事実に基づく範囲) | 備考・注意点 |
| 安全性 | ・安心安全です・副作用の心配はありません・赤ちゃんが食べても大丈夫です | ・ご家族皆様でお使いいただけます・お子様にも使いやすい設計・食品にも使われる原料を配合 ※「食品レベル」などの品質誇示は避ける | 「安全」という言葉自体が保証表現とみなされるためNG |
| 肌・体への影響 | ・アトピー・アレルギーの方へ・デリケートな方専用・無害な成分のみ配合 | ・敏感な口内にも優しい使い心地・低刺激タイプ・パッチテスト済み ※「全ての方に刺激が起きないわけではありません」を併記 | 特定の疾患への効果や安全性を暗示するのはNG |
| 成分強調 | ・最高級の成分を配合・〇〇成分が効く!・無添加なので安全 | ・〇〇(清掃剤)を配合・研磨剤フリー、防腐剤不使用・こだわりの植物由来成分 | 「無添加」を強調しすぎると他社製品の誹謗(添加物は危険と暗示)とみなされるリスクがある |
出典:厚生労働省|医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について
その広告表現、本当に安全ですか?弁護士によるリーガルチェック
NGワードに注意を払っていても、薬機法や景表法の違反となる可能性はゼロではありません。薬機法や景表法の違反リスクは、単に「特定の単語を使っているかどうか」だけで判断されるものではないためです。
規制当局は、前後の文脈や写真・イラスト、文字の大きさ、そして消費者がその広告を見たときに受ける「全体の印象(トーン&マナー)」を含めて総合的に違法性を判断します。
とくに、以下の複合的なリスクは、自動チェックツールや素人の目視確認だけでは回避することは困難です。
| リスク分類 | 具体的な懸念点 | 違反の判断基準 |
| 強調・暗示 | 文字の大きさや色で、認められない効果を強調する | 消費者が受ける「全体の印象」で判断される |
| 打消し表示 | 都合の悪い情報を小さな文字で注釈する | 一般消費者が認識できない場合は無効 |
| 体験談の悪用 | 「個人の感想」として効能効果を語らせる | 事実上の効能保証とみなされ違反 |
これらを網羅的にチェックし、適法か否かを判断するには、最新の法規制や過去の行政処分事例に関する高度な知識が不可欠です。 適切な表現を使用するためにも、薬機法や景表法に精通した弁護士によるリーガルチェックを受けましょう。

広告違反でどうなる?業務停止命令のペナルティと実務的影響

「バレなければいい」「他社もやっている」という安易な考えだと、ペナルティにより事業存続の危機に陥る可能性もゼロではありません。
実際、広告違反が発覚すると、以下のようなペナルティを受ける可能性があります。
- 行政処分:措置命令と課徴金(売上の3%)
- 刑事罰:懲役または罰金(薬機法・景表法)
- 最大のリスク:売上停止とブランド毀損(信頼回復コスト)
以下、それぞれ具体的に解説します。
行政処分:措置命令と課徴金(売上の3%)
消費者庁や都道府県知事は、違反事業者に対してまず行政処分を行います。中でも代表的なのが「措置命令」と「課徴金納付命令」です。
違反認定されると、事業者は「違反した事実」を認め、それを一般消費者に広く周知徹底しなければなりません。
具体的には、全国紙の新聞広告への謝罪文掲載や、自社公式サイトのトップページへの掲載などが命じられます。また、再発防止策の策定と役員・従業員への教育徹底も義務付けられます。
景品表示法違反の場合、措置命令に加えて「課徴金納付命令」が下される点も特徴です(景表法第8条)。対象期間(最大3年間)における当該商品の売上額の3%という金額を国に納めなければなりません(景表法第8条第3項)。
利益の3%ではなく「売上の3%」であるため、薄利多売のビジネスモデルや多額の広告費をかけて売上を作っていた場合、経営を直接圧迫する要因となるでしょう。
刑事罰:懲役または罰金(薬機法・景表法)
行政処分に従わない場合や、違反の内容が悪質と判断された場合(未承認の医療効果を謳うなど)は、警察による捜査が入り、刑事罰が科される可能性があります。
薬機法違反の場合は、違反すると2年以下の懲役または200万円以下の罰金(併科あり)です(薬機法第85条)。また、薬機法第90条の両罰規定により、法人に対しても第84条〜第86条の各違反に応じた罰金刑が科されます。
景表法違反の場合は、措置命令に従わないときに2年以下の懲役または300万円以下の罰金が科せられます(景品表示法第46条)。また、故意の優良誤認・有利誤認表示には、措置命令を経ずに「100万円以下の罰金」が科されるのが特徴です(景品表示法第48条)。
最大のリスク:売上停止とブランド毀損(信頼回復コスト)
金銭的なペナルティ以上に深刻なのが、ビジネスへの直接的なダメージです。
違反商品は販売停止となるだけでなく、店頭からの自主回収を余儀なくされます。ドラッグストアや卸業者からの返品対応、購入者への返金処理にかかるコストと労力は計り知れません。
また、消費者庁の公表資料やニュース記事は、半永久的にネット上に残ります。一度「法令違反企業」というイメージがつくと、以下のような影響を受けかねません。
- 銀行融資の停止
- 取引先との契約解除
- 優秀な人材の採用難
将来にわたって経営を圧迫し続ける可能性が高いため、注意が必要です。
炎上・処分から会社を守る「広告法務チェックフロー」
担当者の個人的な知識や経験だけに頼ったチェック体制では、予期せぬ法務リスクを見落とす危険性があります。一度の行政処分や炎上は、ブランドの信頼を瞬時に失墜させかねません。
リスクを最小化し、持続可能なマーケティング活動を行うためには、組織全体で機能するチェック体制が不可欠です。
以下の「広告法務チェックフロー」を導入し、確実な運用体制を構築しましょう。
| ステップ1:商品情報の正確な把握 | ・商品区分(化粧品・医薬部外品)は正しいか?・配合成分と、その成分に認められた効能は何か?・エビデンス資料(試験データ等)は手元にあるか? |
| ステップ2:NGワードの一次スクリーニング | ・「治る」「再生する」「ホワイトニング(漂白)」などの禁止用語がないか・「最強」「No.1」などの最上級表現を根拠なく使っていないか・競合他社を誹謗中傷する表現がないか |
| ステップ3:文脈とトーン&マナーの確認 | ・記事全体の印象が、消費者に過度な期待を抱かせないか・ビフォーアフター写真は、加工や修正をしていないか・体験談が効果保証のように見えていないか |
| ステップ4:専門家による最終監修 | ・社内の法務担当のチェックを受けたか・薬機法に詳しい弁護士によるチェックを受けたか |
歯磨き粉広告のグレーゾーン表現に関するよくある質問
「歯科医推奨」はどこまで許されますか?
「歯科医推奨」はリスクが高いため、できるだけ避けましょう。
特定の医師が推薦している事実は、客観的な根拠がない限り「優良誤認表示(景表法)」に該当する恐れがあります。
どうしても「歯科医師推奨」を使用したいなら、以下の3つのポイントを守ることが大切です。
- 事実の証明:実際に推奨している医師の実在と、推奨の根拠となる客観的事実が必要
- 利益相反の開示:金銭の授受がある場合、ステマ規制の観点で透明性が必要
- 表現の限定:「絶対的な効果」を保証するような推薦コメントは不可
また、医師の権威を利用して医薬品的な効能効果を暗示した場合、薬機法違反(第66条の誇大広告)にも問われます。
独断で判断せず、弁護士に相談してから掲載するようにしましょう。
出典:消費者庁|令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。
「モニター満足度98%」の表記ルールは?
「モニター満足度98%」と表示する際は、調査の客観性と「打消し表示」の明瞭さが必須です。
数字を用いた訴求は強力ですが、その根拠(エビデンス)が不明確な場合、景表法違反となります。「満足度」という主観的な指標であっても、調査方法が恣意的であれば認められません。
満足度表記をする際は、以下の4つを併記しましょう。
- 母数の明記:調査対象人数(n数)はどれくらいか(例:n=100)
- 対象者の属性:誰を対象にした調査か(自社モニター、一般消費者など)
- 調査時期:いつ実施された調査か
- 質問内容:誘導的な質問をしていないか(客観性の担保)
裏付け資料(エビデンス)を用意し、行政から求められた場合にすぐ提出できる状態にしておくことが重要です。
「臨床試験で証明済み」は化粧品で使えますか?
「臨床試験で証明済み」という表現は、基本的に化粧品では使用できません。「臨床試験」「医学会で発表」といった権威付けは、消費者に「医薬品と同等の効果がある」という誤解を与えるためです。
化粧品では、洗浄・物理的な美化など決められた効能範囲を超えて訴求できないと覚えておきましょう。
ただ、医薬部外品の場合は、厚生労働省に承認された効能効果の範囲内に限って臨床試験での証明を権威として使用できます。
具体的な使用可否と注意点を以下の表にまとめました。ぜひ参考にしてみてください。
| 区分 | 試験データの使用可否 | 注意点 |
| 化粧品 | 原則不可 | 効果の保証と受け取られる表現はNG |
| 医薬部外品 | 限定的に可 | 承認された効能効果の範囲内に限る |
まとめ|歯磨き粉広告の規制を理解して適切に運用しよう
歯磨き粉の広告制作は、薬機法と景表法という厳格なルールに基づいて実施しなければなりません。法令遵守(コンプライアンス)は、長期的なブランド価値を守るうえで重要です。
違反によるペナルティは、課徴金や業務停止にとどまらず、企業の社会的信用を瞬時に失墜させます。本記事で紹介した言い換え表現やチェックフローを活用し、適切な表現を目指しましょう。
もし、自社の広告表現に少しでも不安がある場合は、専門家への相談を強く推奨します。弁護士に相談し、内容をリーガルチェックしてもらうことが大切です。歯磨き粉の広告が違反していないか不安な方は、専門家に相談することが大切です。丸の内ソレイユ法律事務所は、企業の薬機法・広告の法規制対応に詳しい弁護士が在籍しています。製品やケースに応じて適切な解決策をご提案できるため、まずはお気軽にご相談ください。
