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景表法違反とは?発覚してからの流れや罰則、実際の違反事例を解説【弁護士監修】

「新商品の魅力を最大限に伝えたいが、この表現が景表法違反にならないか不安だ。」と、悩んでいませんか。

商品開発や広告に携わる方にとって、景品表示法(以下、景表法)の「意図せぬ違反」は、最も避けたいリスクの1つです。

景表法は、消費者を不当な広告から守るため、大きく分けて「不当表示」の規制と「景品規制」(過大な景品類の提供)の2つを定めています。

この記事では、その中でも特に違反事例が多く、ご相談が寄せられやすい「不当表示」に焦点を当て、その基本から実際の違反事例、違反が発覚する流れ、違反を防ぐ方法などを分かりやすくご紹介します。

景表法を正しく理解し、商品の魅力をコンプライアンスに沿って最大限に伝える具体的な道筋を見つけていきましょう。

景表法に関するお悩みは専門家に相談することが大切です。

弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所には、企業の景表法・広告・新規事業の法規制対応に精通した弁護士が在籍しています。まずはお気軽にご相談ください。

景表法違反にあたる3つの「不当表示」

景表法が規制する「不当表示」とは、消費者に誤解を与え、消費者が合理的な選択をできなくなるような不当な広告表示を指します。

この不当表示は、大きく分けて以下の3種類です。(参照:消費者庁|事例でわかる景品表示法

  • 優良誤認表示|品質や性能を実際より良く見せる
  • 有利誤認表示|価格や取引条件を実際よりお得に見せる
  • その他|ステルスマーケティング・おとり広告など

まずは、これら3つの不当表示を正確に理解することが、コンプライアンス体制構築の基本です。順番にみていきましょう。

1.優良誤認表示|品質や性能を実際より良く見せる

優良誤認表示とは、商品やサービスの品質や性能を、実際のものよりも「著しく優れている」と消費者に誤解させる表示を指します。(参照:消費者庁|優良誤認とは

「消費者が『実際のものより著しく良い商品だ』と誤解し、その誤解が原因で商品を選んでしまうおそれがあるかどうか」という点が重要な判断ポイントです。

特に注意すべきは「不実証広告規制」です。

広告表示の「合理的な根拠」を証明する責任は、すべて事業者側にあります。根拠を示せない場合、景表法上の措置命令との関係では、優良誤認表示とみなされます。(参照:消費者庁|不実証広告規制

優良誤認表示の例は、以下のとおりです。

違反のおそれがある表示例問題となるケース
「業界No.1」「顧客満足度98%」客観的・合理的な調査データによる根拠がない
「松阪牛使用」「A5ランク和牛」実際には当該品質の牛肉を使用していない

もちろん、社会通念上、単なるキャッチコピーや主観的な感想(例:「最高に美味しい!」)と認識されるものは、直ちに優良誤認とはみなされません。

しかし、どこまでが「主観的な感想」でどこからが「客観的な事実(=根拠が必要)」と判断されるのかの線引きは難しく、ご自身での判断には大きなリスクが伴うでしょう。

2.有利誤認表示|価格や取引条件を実際よりお得に見せる

有利誤認表示とは、商品やサービスの価格や取引条件について、実際よりも「著しくお得」であると消費者に誤解させる表示を指します。(参照:消費者庁|有利誤認とは

ポイントは「その表示が消費者に『今買わないと損だ』という誤った切迫感を与え、冷静な商品選びを妨げてしまうおそれがあるかどうか」です。

特に注意すべきは「不当な二重価格表示」です。

「通常価格10,000円→5,000円」と表示する場合、「通常価格」と表示する場合は、一定期間の販売実績など客観的根拠が必要になります。根拠が乏しい二重価格は有利誤認のおそれがあるためです。

有利誤認表示の例は、以下のとおりです。

違反のおそれがある表示例問題となるケース
「通常価格10,000円→今だけ5,000円」「通常価格」での販売実績がほとんどない
「今月末まで半額セール!」セール終了後も、同じ価格での販売を継続している
「ライセンス取得1万円ポッキリ!」実際には必須の機材費(別途5千円)が存在する

「お得感を演出したい」という意図が、意図せず違反に繋がるケースが後を絶ちません。

どこまでが「正当な割引表示」で、どこからが「根拠のない不当表示」と判断されるのか、この線引きも、ご自身での判断が難しいポイントといえるでしょう。

3.その他|ステルスマーケティング・おとり広告など

優良誤認・有利誤認の2大類型に加え、景表法は「その他の不当表示」も定めています。

これは、時代とともに出てくる新たなマーケティング手法(例:インフルエンサーPR)や社会問題に、法律が柔軟に対応するための規定です。

近年、特に注意が必要なのが「ステルスマーケティング」と「おとり広告」です。

主な表示概要と問題点
ステルスマーケティング(ステマ)・広告であることを隠して(分かりにくくする行為も含みます)宣伝する行為(例:インフルエンサーに「#PR」表記をさせない)
・令和5年10月から規制対象となり、責任はインフルエンサー等ではなく、依頼した事業者(広告主)が負います。
おとり広告・実際には購入できない商品(例:契約済みの不動産、在庫のない特売品)で、顧客を誘引する行為。
・提供する意思がない、または供給量が著しく限定されているのに明記しない場合が該当します。

参照:消費者庁|令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。消費者庁|おとり広告に関する表示

これらの手法は、消費者の信頼を根本から裏切る行為です。

特にステマ規制は新しく、「良かれ」と思って依頼したインフルエンサー施策が、意図せぬ違反とみなされる可能性を秘めており、細心の注意が求められます。

実際に景表法違反となった4つの企業の事例

景品表示法の条文だけでは、自社の商品が違反にあたるか、具体的にイメージしにくいものです。

そこで本章では、近年実際に消費者庁から行政処分を受けた以下4つの企業の事例を分析します。

  • P&Gジャパンの事例
  • 株式会社ハハハラボの事例
  • 株式会社ユニットコムの事例
  • ロート製薬株式会社の事例

日用品メーカーからIT企業、製薬会社まで、業種を問わず景表法違反のリスクは存在します。

各事例の詳細から自社の広告活動に潜むリスクを具体的に把握し、対策を講じるヒントを見つけていきましょう。

1.P&Gジャパンの事例

P&Gジャパンの事例は、「優良誤認表示」の典型例です。

問題となったのは「置くだけで浴室全体の黒カビを防ぐ」という表示に対し、その「合理的な根拠」が認められなかった点です。

違反表示問題点
「お風呂に置くだけで黒カビを防ぐ」提出された実験データが、「合理的な根拠」とは認められなかった。

参照:消費者庁|P&Gジャパン合同会社に対する景品表示法に基づく措置命令について

この事例が示しているのは、「合理的な根拠」に求められる水準の高さです。

単にデータがあるだけでは不十分であり、消費者の実際の使用環境を反映した客観的なデータが求められます。

2.株式会社ハハハラボの事例

株式会社ハハハラボの事例も「優良誤認表示」です。この事例の問題点は2つあります。

違反表示問題点
誇大な痩身効果(例:「3週間で-13.6kg」)劇的な変化を裏づける合理的な根拠がなかった
信頼性の不十分な「ナンバーワン表記」客観性を欠く調査(サイトの印象調査)に基づいた結果であった

参照:消費者庁|株式会社ハハハラボに対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について

この事例では、アフィリエイトサイトの表示であっても、法的な責任は広告主(販売会社)が負うという「広告主責任」の原則が明確に示されています。

これらの違反の結果、同社には1,086万円という高額な課徴金納付命令が下されています。

効果や実績を示す際は、必ず客観性のある合理的な裏付け資料を用意しましょう。

3.株式会社ユニットコムの事例

株式会社ユニットコムの事例は「有利誤認表示」です。問題となったのは、実質的に「期間限定」とは言えないキャンペーン表示でした。

違反表示問題点
「期間限定」キャンペーン(例:「決算特別感謝祭」「冬のボーナス先取還元フェア」)名称を変えながら約1年間、実質的に途切れることなく継続していたため、「限定性(期間限定の実態)」がなかったと判断された消費者に「今だけお得」という不当な切迫感を与えると判断された

参照:消費者庁|株式会社ユニットコムに対する景品表示法に基づく措置命令について

この事例が浮き彫りにしたのは、「今だけ」という表現はその限定性が事実でなければ違反となる、という点です。

消費者の購買意欲を刺激する強力な手法である反面、キャンペーンを連続して実施する際は、その内容や期間設定に細心の注意が求められます。

4.ロート製薬株式会社の事例

ロート製薬の事例は、新しい規制である「ステルスマーケティング(ステマ)」に該当します。

問題となったのは、第三者に依頼したSNS投稿を、自社サイトで二次利用(転載)する際の「広告」明記漏れです。

違反表示問題点
自社サイトへのSNS投稿転載モニターに依頼した投稿(広告)を、自社サイトに転載する際、広告(PR)である旨を明記しなかった消費者が(広告ではなく一般の口コミだと誤解し)広告だと分かりにくい状態になっていた

参照:消費者庁|ロート製薬株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について

この事例からは、SNSコンテンツを自社サイトで二次利用する際の重大な注意点を読み取れるでしょう。

たとえ元のSNS投稿に「#PR」と表示があったとしても、転載先(この場合は自社サイト)でも、それが広告であることを消費者が明確に認識できる表示がなければなりません。

景表法違反で通報されたらどうなる?違反発覚から調査・処分までの流れ

景表法違反の疑いが持たれ、通報された際の流れは以下のとおりです。

  • 消費者庁が設ける窓口・フォーム等から通報される
  • 消費者庁や都道府県、公正取引委員会等による調査開始
  • 措置命令|表示の是正を求める行政処分
  • 課徴金納付命令|売上に応じた行政処分
  • 悪質な場合の「刑事罰」(拘禁刑または罰金)

この一連の流れを理解することで、万が一の事態に備えたり、冷静かつ適切に対応するための準備が可能になります。ぜひ押さえておきましょう。

1.消費者庁が設ける窓口・フォーム等から通報される

景表法違反の調査は、多くの場合、外部からの「通報」をきっかけに始まります。

通報は、一般消費者だけでなく、競合他社や業界団体、時には内部事情を知る退職者から寄せられるケースも少なくありません。

消費者庁はウェブサイト上に「景品表示法違反被疑情報提供フォーム」を設けており、誰でも匿名で情報提供が可能です。

通報のハードルは非常に低いため、「いつ誰に見られているか分からない」という前提に立ち、コンプライアンスを徹底する姿勢が求められます。

2.消費者庁や都道府県、公正取引委員会等による調査開始

通報内容の信憑性を確認したうえで、消費者庁または所轄の都道府県(地方自治体)が本格的な調査を開始します。

調査がおこなわれると、以下のような対応が必要となります。

調査内容概要
報告徴収問題の表示の根拠資料や、関連売上データなどの提出を求められる
事情聴取担当者へのヒアリングが行われる
立入検査事前の通知なく事務所などに立ち入り、帳簿や書類などを検査されることがある

この行政調査への初期対応こそが、その後の処分内容を決める重要な局面となります。

特に「立入検査」に対応するのは、精神的な負担も相当なものになるでしょう。

どの資料を提出し、どう回答すべきかという判断が迫られるこの段階でこそ、景表法に精通した弁護士のサポートが真価を発揮します。

3.措置命令|表示の是正を求める行政処分

調査の結果、景表法違反が認められると、まず「措置命令」が下されるのが一般的です。

命令される内容は、主に以下の3点です。

命令の内容概要
違反表示の差止め問題となった不当表示を直ちに取りやめる
消費者への誤認排除新聞や自社ウェブサイトなどで違反の事実を公表し(いわゆる謝罪広告)、消費者の誤解を取り除く
再発防止策の構築社内のチェック体制整備や研修など、同様の違反が再発しないよう対策を講じる

措置命令で最も恐ろしいのは、その事実が消費者庁のウェブサイトで公表されることです。

メディアがこれを取り上げれば、築き上げてきたブランドイメージは一瞬で失墜し、消費者や取引先からの信頼を回復するには、多大なコストと時間が必要となります。

4.課徴金納付命令|売上に応じた行政処分

優良誤認・有利誤認には、措置命令に加え、「課徴金納付命令」が下されることがあります。これは、不当表示によって得た利益を徴収する制裁金です。

課徴金額は原則として、違反行為が行われた期間中(最大3年間)の対象商品・サービスの売上額の3%です。(参照:不当景品類及び不当表示防止法|第8条

ただし、以下のような例外もあります。

  • 算出された課徴金額が150万円に満たない場合は、納付命令の対象外となる
  • 調査が開始される前に自ら違反を報告する「自主申告」を行えば、この課徴金額は50%(半額)に減額される

(参照:不当景品類及び不当表示防止法|第8条不当景品類及び不当表示防止法|第9条

「この表示はまずいかもしれない」と感じた時点で弁護士に相談し、自主申告を検討することが、結果として金銭的ダメージを最小限に抑える最善のリスク管理につながります。

5.悪質な場合の「刑事罰」(拘禁刑または罰金)

景表法違反が特に悪質であると判断された場合、刑事罰が科される可能性があります。

ただし、これは違反が発覚して即座に適用されるものではなく、あくまで行政処分である「措置命令」に違反し、それに従わなかった場合に問われる、最終的なペナルティです。

この場合、個人には2年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金またはこれらの併科、法人には3億円以下の罰金が科される可能性があります。(参照:不当景品類及び不当表示防止法|第46条不当景品類及び不当表示防止法|第49条第1号

措置命令を軽視することは、個人と会社の双方に、行政処分とは比較にならない重大な法的リスクを招くものと言えるでしょう。

ちなみに、2024年10月から、景表法改正により、故意に優良誤認・有利誤認をした場合など、悪質な場合に100万円以下の罰金が科されることとなりました。

景表法違反を未然に防ぐ3つの対策法

景表法違反が発覚すれば、課徴金やブランドイメージの失墜など、事業に深刻な打撃を与えかねません。

そのような事態に至る前に、違反を未然に防ぐ体制づくりを徹底することが求められます。

企業が取り組むべき基本的な対策は、以下の3つです。

  • 広告表現のチェック体制を構築し、ガイドラインを作成する
  • 景表法に関する社内研修を定期的に実施する
  • 弁護士など専門家への相談体制を整える

ここでは、これら3つの対策法について、順番に解説します。

1.広告表現のチェック体制を構築し、社内ガイドラインを作成する

広告表現を個人の感覚や判断に任せると、意図しない違反のリスクが高まります。

法務部や開発部など、複数部署で客観的にチェックする体制が重要です。

また、二重価格表示やステマ防止(「#PR」表記など)、根拠資料の管理ルールを定めた具体的な「社内ガイドライン」を策定し、運用することが組織的コンプライアンスの第一歩となります。

こうした体制を整備し、継続的に運用していくことが、意図せぬ違反を防ぐための基本となるでしょう。

2.景表法に関する社内研修を定期的に実施する

ガイドラインやチェック体制(仕組み)が整っても、それを使う「人」のコンプライアンス意識が低ければ機能しません。

景表法の基本理念や他社の違反事例などを学ぶ社内研修を、定期的に実施することが重要です。

研修は一度きりで終わらせず、継続的に実施することで知識の定着を図り、コンプライアンス意識を高く維持することが大切です。

広告に関わる部門だけでなく、関連部署も含めて組織全体の知識レベルを維持・向上させることが、違反を防ぐための確かな取り組みと言えるでしょう。

3.弁護士など専門家への相談体制を整える

社内体制の構築・運用と並行し、外部の専門家に「いつでも相談できる」体制を整えておくことが、リスク管理をより万全なものにします。

法的な判断に迷った際、すぐに専門家の意見を仰げる体制を整えておくことは、精神的な安心感にもつながるでしょう。

問題発生後の「事後対応」ではなく、企画段階から弁護士が関与できる「予防法務」の体制を持つことが、手戻りを防ぎ、安全なプロモーションの実施につながります。

景表法違反を防ぐためには弁護士に相談|依頼するメリット

景表法違反のリスクを回避するには、専門家である弁護士への相談が有効な対策の1つです。

社内対応だけでは得られない、弁護士への依頼ならではの主なメリットは、以下の表の通りです。

メリット概要
リーガルチェックによる違反の未然防止・広告が世に出る前に法務リスクを洗い出し、修正を提案します。
・意図せぬ景表法違反を未然に防げます。
最新の法規制・運用への対応ステマ規制の新設をはじめとする最新の法令改正やガイドラインの動向に基づいた、的確なアドバイスを提供します。
客観的な視点によるリスク判断「商品を良く見せたい」という社内視点ではなく、「行政からどう判断されるか」という客観的な視点でリスクを評価します。
有事の際の迅速な対応万が一、消費者庁から調査の連絡が入った場合、事情聴取の同席や行政との折衝など、代理人として迅速に対応します。
費用対効果(将来の損失回避)数千万円にもなり得る課徴金や、ブランド価値の毀損といった、将来の重大な損失の回避につながります。

弁護士への相談は、違反リスクを回避するだけでなく、企業の信頼性を高め、事業活動を安定させることにもつながります。

弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所は、景表法だけでなく、薬機法・特商法といった広告表示規制全般に精通しています。法律の内容にご不安のある企業様はぜひご相談ください。

景品表示法違反に関するよくある質問

違反した場合の罰金(課徴金)はいくらですか?

景表法違反に対する金銭的なペナルティは、刑事罰である「罰金」とは異なり、行政処分である「課徴金」が主となります。

優良誤認表示または有利誤認表示を行った場合、違反対象となった商品・サービスの違反期間中(最大3年間)の売上額の3%が課徴金として算定されます。(参照:不当景品類及び不当表示防止法|第8条

ただし、算出額が150万円未満の場合は課徴金納付命令は出されません。

また、行政の調査が入る前に違反を自主的に報告することで、課徴金額が半額に減額される制度(課徴金額の減額)があります。

課徴金制度については、Q&A形式で紹介している以下の記事もぜひご覧ください。

関連記事:景表法における課徴金についてのFAQ

「今だけ無料」は景表法違反になりますか?

「今だけ無料」や「期間限定無料」といった表示は、景表法違反(有利誤認表示)にあたる可能性があります。

もし、キャンペーン期間が終了した後も、実質的に同じ内容の無料提供を継続したり、間を置かずに同様のキャンペーンを繰り返したりする場合、それはもはや「期間限定」の有利な取引とは言えません。

消費者に「今申し込まなければ損をする」という不当な切迫感を与え、合理的な判断を誤らせるおそれがあるため、違反と判断されることがあります。

キャンペーンの「限定性」が事実に即しているかどうかが重要なポイントになるでしょう。

ガチャや1000円ガチャは景表法違反になりますか?

ガチャ(カプセルトイ形式の販売方法)自体が直ちに景表法違反となるわけではありませんが、景表法違反になる要素が多いため取り扱いに注意が求められます。

具体的には、本記事の主題である「表示規制(不当表示)」の観点と、景表法のもう一つの柱である「景品規制」の観点の両方で問題となる可能性があります。

規制の側面概要
景品規制・いわゆる「コンプガチャ」(特定アイテムを揃えるとレアアイテムが手に入る仕組み)は「カード合わせ」に該当し、全面的に禁止されています。
・ただし、有料ガチャから排出されるアイテム自体は「景品類」にあたらないため、景品規制の上限額の対象とはなりません。
表示規制ガチャの提供画面で、レアアイテムの排出率を実際より高く表示したり(例:実際0.5%→表示3%)、排出対象外のアイテムが当たるかのように表示したりすると、優良誤認・有利誤認に該当する可能性があります。

参照:消費者庁|オンラインゲームの「コンプガチャ」と景品表示法の景品規制について

ガチャの仕組みを導入する際は、景品の提供方法(景品規制)と、排出率などの広告表示(表示規制)の両面で法律に抵触しないか、慎重な検討が求められます。

特に、ガチャという仕組みの特性上、消費者の過度な期待を招かないよう、透明性の高い情報提供が求められます。

景品規制については、以下の記事もあわせてご覧ください。

関連記事:景品規制の外観

景表法違反による刑事罰で逮捕されることはありますか?

景表法違反における刑事罰は、行政処分である「措置命令」に従わなかった場合に適用される可能性があります。また、2024年10月からの改正で、故意に優良誤認・有利誤認に該当する表示を行った場合に100万円以下の罰金が科される可能性があります。

不当表示そのもので、いきなり逮捕されることは通常ありませんが、消費者庁などから「措置命令」が出されたにもかかわらず、その命令を無視するという悪質なケースでは、逮捕される可能性あります。

措置命令を軽視することは、個人と会社の双方に、行政処分とは比較にならない重大な法的リスクを招くことになるのです。

まとめ|景表法違反を防ぐために弁護士のリーガルチェックを利用しよう

「商品の魅力を最大限に伝えたい」というマーケティングの視点と、「意図せぬ違反を避けたい」というコンプライアンスの視点の間で悩まれるのは、当然のことです。

景表法違反は著名な企業でも起こりうる身近なリスクであり、発覚すれば高額な課徴金や信用の失墜という重大な結果を招きかねません。

社内体制の構築や研修は、その対策の基本です。しかし、最終的な「法的な判断」にご不安が残るのであれば、まずは広告規制に精通した弁護士にご相談ください。

弁護士と共に、商品の魅力を安全かつ最大限に伝える解決策を見つけていきましょう。

景表法に関するお悩みは、丸の内ソレイユ法律事務所にご相談ください。当事務所は、景表法はもちろん、薬機法・特商法といった広告表示規制に精通した弁護士が、信頼性を高める広告活動を全力でサポートいたします。

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